2009年12月28日月曜日

キノの旅XIII -the Beautiful World-

キノの旅XIII -the Beautiful World-
時雨沢恵一
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-8-30
2009年10月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868068-4 C0193
263ページ
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キノの旅本編のシリーズ13作目。

口絵部分を読んで、プロローグへ。プロローグの「この世界の話・b」でのキノの行動に違和感を覚えたが、エピローグの「この世界の話・a」を読んで納得。この辺りの本1冊の構成も含めて、流石に上手いと思う。

今回も大きな作りとしては、これまで通りだし、また、作品の水準も安定していると思う。ただし、今回決定的な違いとしては、まともなあとがきがついていること。まともとは言っても、普通に20ページ以上もあるので、全然まともではないけれど、それでもごく普通の質問に、割合キチンと応えているという点では、非常にまとも。作家9年目だということで、何か特別な記念とか言うことではないようなので、今回のようにQ&Aみたいな普通のことをやられると、逆に何かあるのか、と不安になってしまう。

妖怪ソング お化けは死なない…

妖怪ソング お化けは死なない…
コロムビアミュージックエンターテインメント
2007
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タイトル通り、妖怪、悪魔などのアニメ、実写のテーマ曲によるコンピレーションアルバム。

悪魔くん(アニメ版)のオープニング曲を聞きたくて探していたところ、発見。一つ一つの曲については、他のコンピレーションアルバムでも聞けるだろうが、妖怪、悪魔をテーマにして、1枚のアルバムを作った、という点は面白いアイディアだったかも。勿論、この中に入っていてしかるべき曲もまだまだあると思うが、とりあえずの出来としてはまずまず、悪くないと思う。さらに、よくある決定盤とかの企画ものと違って、曲の情報が作詞者、作曲者だけではなく、放映当時の情報であったり、歌い手の情報であったり、より細かな情報についても書かれている点も好印象だと思う。

その他、印象深かったこととしては、「カランコロンの歌」(ゲゲゲの鬼太郎)を歌っているのが、サザエさんのフグ田サザエ役の加藤みどりだったこと、「妖怪人間ベム」の歌の完成度、というか出来が非常に高かったこと、悪魔くん(実写版)の主題歌の面白さなど、いろいろ興味深いこともあった。

≠(=ノットイコール)の殺人

≠(=ノットイコール)の殺人
石崎幸二
講談社
講談社ノベルス イN-06
2009年12月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182694-6 C0293
218ページ
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女子高生&サラリーマンによるシリーズの第6作目。

今回の舞台も前回と同じく孤島。シリーズを通して、ここまで孤島の頻度が突出して多くなると、今後も半ばお約束的にどんどん孤島を舞台にして欲しい気もする。

今作を読んだ印象として、これは前回とも共通するが、女子高生(今回は)トリオらによる会話(というか,ほとんど漫談)は確かに面白いと思う。若干やり過ぎ感はあるが、それでもこれがこのシリーズの魅力でもあるし、なくてはならないものだとも思う。ただ、その一方で、ミステリ的な部分が弱く感じるのも、これまた前作と同じ。余りにヘビーなものを求める気もないが、メインキャラたちの会話の印象が強い分、その印象ばかりが残ってミステリ的な部分の印象があまり残っていない。それが悪いとはいわないが、やはりそれでは本末転倒だと思う。他にはない面白さを持っているのだから、そのストロングポイントを活かしつつ、更に面白いものを作って欲しい。

私立霧舎学園ミステリ白書 十二月は聖なる夜の予告殺人

私立霧舎学園ミステリ白書 十二月は聖なる夜の予告殺人
霧舎巧
講談社
講談社ノベルス キG-16
2009年12月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182605-2 C0293
191ページ
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霧舎学園シリーズの9作目、12月の事件。十一月と2冊同時刊行。

作者自身が言っている通り、「11月」、「12月」共に、それぞれ独立になっているので、別に読んでもそれ自体は大丈夫だが、やはり「12月」の後半部解答に向かう場面のことを考えると、やはり「11月」の方から順に読んだ方が話しの流れが分かるし、また、そうすることで「11月」の方に対する見方というのも、180°とはいわないまでも、大分違ってくると思う。

個人的な印象としては,作者がこの2冊に仕掛けたトリック、というか仕掛けというのは、ミステリ的にはやや反則な気もしないでも無い。まあ、特に困ることもないけれど。あと、気になるところとしては、最終的にこのシリーズのラストをどうやって終わらせるのか、その終わらせ方に注目したい。よくあるみたいに、「その20年後…」、なんて安易ことをしないでくれれば良いけれど。まあ、前作「10月」から2年半かかっているので次がいつのなるのか、分からないが気長に待ちたい。

私立霧舎学園ミステリ白書 十一月は天使が舞い降りた見立て殺人

私立霧舎学園ミステリ白書 十一月は天使が舞い降りた見立て殺人
霧舎巧
講談社
講談社ノベルス キG-15
2009年12月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182604-5 C0293
199ページ
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霧舎学園シリーズの8冊目、11月の事件。

まず内容より何よりも、前作十月からおよそ2年半ぶりの新作ということで、キャラの性格とかおおよそのことはともかく、前回までの流れなど、細かい事件の経過などは殆ど覚えていない。まあ、これ自体特に支障はないが、シリーズ物でしかも、1作目(四月)から作中では、わずか半年程度が経過しているだけだが、1作目が2002年刊行ということで、やはりちょっと時間が経ちすぎているように思う。また、作中の設定が1998年なのも、やはり現時点と比べて10年以上というのは、どうしても違和感を覚えてしまう。今回は12月も同時刊行だが、ぜひ次回はあまり時間を置かずに出して欲しい。

読んでみての印象としては、これまでの作品と変わらず、普通に読めた。もともと、それほどヘビーなシリーズでもないし、割と短時間で読めるものだったが、良い意味でその辺りの軽さというのは変わっていなかった。まあ、ラストの解決シーンに向けての展開が、ちょっと急すぎるというか、あっさりしすぎの気もするが、まあ、こんな感じのシリーズだったかな、という感じ。

以下、その他は12月と合わせて。

子門真人ヴォーカル・コンピレーション ーひらけ!ポンキッキ・コレクションー

子門真人ヴォーカル・コンピレーション ーひらけ!ポンキッキ・コレクションー
子門真人
Pony Canyon
2003
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「およげ!たいやきくん」、「はたらくくるま2」や「ホネホネ・ロック」 など「ひらけ!ポンキッキ」での子門真人の曲と、同じく「ひらけ!〜」のヒット曲を子門真人がカバーした曲を集めたもの。

子門真人がオリジナルである「たいやきくん」や「はたらくくるま2」などは、これ以外にも「ひらけ!〜」の曲を集めたコンピレーションアルバム等で聞くことは出来るが、カバー曲は他ではほとんど見かけたことがないので、それらだけでも聞いてみる価値はあると思う。また、少し珍しいところだとこのアルバムに収録されている「アメリカインディアンの教え」や、特撮ものやアニメソングなどでの歌い方とはひと味違った「ケンカのあとは」なども子門真人の別の一面が見えるようで、興味深かった。

「たいやきくん」以外の曲についても知っているつもりだったが 、まだまだ知らない名曲が沢山ありそうなので、子門真人の曲をこれとは違ったテーマで集めたCDアルバムもあるようなので、そちらも聞いてみたい。

 参考:Amazon.co.jpで子門真人を検索

2009年12月22日火曜日

うみねこのなく頃に Episode 2 Turn of the golden witch(下)

うみねこのなく頃に Episode 2 Turn of the golden witch(上)
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-21
2009年11月4日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-283735-4 C0093
318ページ
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Episode 2の下巻。以下、上巻と合わせた感想。

Episode 1を読んで登場人物の関係、性格等は把握出来ている。また、一連の『ひぐらし〜』も読んで作者のやってきそうな手についても、ある程度の免疫がある。その上で、この『うみねこ〜』の2作目でどう持ってくるのか、という点に注目、期待していたが、それほどの驚きはなかったというのが正直なところだ。

Episode 1との違いとしては、物語の筋に幾らかの違いはあること(イメージとしては、それぞれの人物に割り振られている役割の違いという感じ)、また、前巻では姿を見せなかった魔女が実際の姿を見せること、あるいは、前巻では特に記述されていない場面が記述されることで、それぞれのキャラについての情報が少し増えたことなどがある。しかしそれでも、『ひぐらし〜』のときと同じく、物語が進んでいく方向としてはEpisode 1と同じ方向であるし、また、Episode 1との違いにしても、予想される範囲内、大きな驚きを与えるほどのものではないと思う。Episode 3以降どのようになるのかは分からないが次巻以降に期待したい。

うみねこのなく頃に Episode 2 Turn of the golden witch(上)

うみねこのなく頃に Episode 2 Turn of the golden witch(上)
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-20
2009年11月4日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-283730-9 C0093
266ページ
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Episode 2の上巻。感想(→Episode 2(下))は下巻とまとめて。

Chrome Closed Chronicle -クロム・クローズド・クロニクル

Chrome Closed Chronicle -クロム・クローズド・クロニクル-
日下弘文
富士見書房
富士見ファンタジア文庫 く-2 1-1
平成21年10月25日 初版発行
ISBN:978-4-8291-3458-0 C0193
296ページ
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シリーズの第1作目。

裏表紙の内容説明や、巻末の作者あとがきなどを見ると、いろいろと壮大な、スケールの大きな話しのような印象を受ける。確かに、舞台となる世界の設定や、主人公たちの能力の不自由さなどは非常に魅力的なものに思える。しかし、個人的には少々物足りなさを感じる。一つには登場人物たち、特に主人公の人物造形がどうにも作り物のような違和感がある。小説の主人公であるから特徴的であることは必須条件でもあると思うが、少しやり過ぎというか、無理に作ったように思える。このままの性格、キャラクターで何作も続くのは少々飽きがくるというか、食傷気味になるような気がする。

表紙のイラスト、文字のデザイン等は良いと思う。本文中の挿絵ももう少し、硬めの感じの方がいいと思う。どの程度の読者を想定しているのか知らないが、少し幼すぎるように思う。

QED 出雲神伝説

QED 出雲神伝説
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-28
2009年10月21日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182683-0 C0293
350ページ
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QEDシリーズ第16作目。

今作の舞台は出雲。ただし、出雲とはいっても、島根県の出雲ではなく、奈良の出雲が舞台となっている。ここで、事件が発生し、また、いつものメンバーがそれに巻き込まれて、というか、関わっていくというパターン。今作についても、読者の側が推理して、犯人を当てたり、動機を予想したりというよりは、普通に読んで楽しむという感じ。

今作の一つの特徴としては、この1冊の中に、後日談というか、もう1編、『QED〜flumen〜 出雲大遷宮』が収録されていることだろう。これは、2009年1月のメフィストに掲載されたらしい短編だが、その内容は特に何があるわけでもないのだが、ある意味で本編以上に衝撃的というか、予想外の内容だった。

WebのEssay等に書かれていることから察するに、作者はどうやら物語の結末というか、シリーズの幕の引き方、終わらせ方を既に考えているようだが、変な終わらせ方をせず、きちんとハッピーエンドで終わらせてもらいたい。

2009年12月21日月曜日

念写探偵 加賀美鏡介 The thought photography detective Kyosuke Kagami

念写探偵 加賀美鏡介 The thought photography detective Kyosuke Kagami
楠木誠一郎
講談社
講談社ノベルス クJ-03
2009年6月4日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182652-6 C0293
219ページ
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楠木誠一郎作の念写探偵シリーズ1作目?(講談社のホームページでも、この作品が何作目になるのか等、記述がないので断定出来ないがおそらくこの作品がシリーズの第1作目)。2009年12月時点で2作目の『消された龍馬 念写探偵 加賀美鏡介』も出ている。

読み物としてみた場合、なかなか面白い作品だと思う。今回、この楠木誠一郎という作家の本を初めて読んだが、既に青い鳥文庫で何冊も書いているだけあって、構成とか、読者に面白く読ませるすべを知っているという印象を受けた。

また、多くの探偵という人種がそうであるように、このシリーズの探偵もある種の変人である。人の意見を聞かず、自分の話したい時に話し、そうでない時にはどれだけ求められようと話さない、という名探偵のフォーマットをきちんと踏襲している。そのあたり、ミステリのお約束でもあり、違和感なく読める一方で、この探偵役も含めて、ワトソン役の作家、あるいはメイド服のバイトの女性などなど、登場人物たちに新しさが感じられない、というマイナスの作用もあると思う。

また、探偵小説としてみた場合、過去の歴史上の事件と、現在の事件を並行してみていくという点でも、従来からある手法ではあるが、そのどちらについても 、今作では割と軽く扱っている。そのため、ほとんど聞いたことのない歴史上の人物、読めない漢字等で辟易させられることがない、という読みやすさがある一方、やはり物足りない、という印象を抱いてしまう。彼らの交わす会話などは面白いと思うので、もう少し、ミステリ的な部分を強化してもらいたいと思う。

全体の印象としては悪くないと思うが、個人的に気になるところを1点。裏表紙の説明では、「千利休の謎解きへ!」とあるが、この作品の歴史の方の事件、謎は必ずしも千利休という一言で片付けられるものではないと思う。勿論、一つのきっかけではあるが、この書き方は誤解を招くものになるので、改めた方が良いと思う。

とある魔術の禁書目録(=インデックス)19

とある魔術の禁書目録(=インデックス)19
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-22
2009年11月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868137-7 C0193
363ページ
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シリーズの第19巻。

15巻、SSシリーズ(12)に続き描かれる、『学園都市の暗部』編登場」等と表紙裏の扉や、電撃文庫の紹介ページに書かれていたので、きっと番外編だろうと、高をくくって読み始めたが、完全にこちらの予想を裏切ってきた。厳密に言えば、番外編であるのは間違いないし、その意味では前にあった番外編や短編と通じるのだが、今回の場合はシリーズ本編と直接的に関係している可能性が高いというか、この巻の終了時点で、それぞれの話の主人公たちが、同じ舞台に上がることになる。勿論、これで直ちに作品の完結が見えたというわけではないが、そのための舞台が整いつつある、というか、終幕に一歩ずつ近づいているという印象が強く感じられた。ということで、この巻はシリーズ全体の中でも重要な巻になると思う。

my Classics!

my Classics!
平原綾香
Dreamusic
2009
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全曲クラシックの曲に歌詞を付けたカヴァーアルバム。カヴァーとは言っても、別の歌手の歌った曲を歌うのではなく、元々の曲にオリジナルの詞を付けて歌っているので、ほとんどオリジナルに近いものになっている。

「Jupiter」や「ノクターン」などの既発表曲とともに、アンケートで選曲を決めているため、それぞれの元になった曲がどれも超有名曲ばかりで、また、全体の出来も良く、通常のアルバムというよりも、ある意味、ベストアルバムに近い出来だと思う。

一つ一つの曲が、それ自体聴き応えがあるのは勿論、BGMとして聞いていても、邪魔にならずに良い意味で聞き流せる点も個人的にはいいと思う。多くの場合、途中の歌詞が耳に入ってしまい、作業の邪魔になるというか、集中がそがれるときがあるが、今アルバムの曲は、勿論きちんと歌詞があるが、これまでに何回か聞いた限りにおいては、それに気を取られることもないので、今後も割と頻繁に聞くことになるかもしれない。

2009年12月20日日曜日

忙しい死体

忙しい死体
ドナルド・E・ウェストレイク
木村浩美 訳
論創社
論創海外ミステリ87
2009年8月15日 初版第1刷印刷/2009年8月25日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8460-0903-8 C0097
243ページ
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The Busy Body
by Donald E. Westlake
1966
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ドナルド・E・ウェストレイクの初期(1966年)の作品。

『やとわれた男』(1960)、『361』(1961)などのクライムノベルから、『弱虫チャーリー、逃亡中』(1965)を経て、徐々にコミカルな作品に向かっていくその過程の作品。そのためか、主人公がギャング組織の若手幹部でありながら、話の展開はというと、後のドートマンダーの作品のように、どんどんと面倒に巻き込まれていく…、という正にウェストレイク的な作品になっている。また、作品自体もそれ程長くなく、テンポも良いので、スムーズに読んでいける。

ウェストレイクは2008年の大晦日に亡くなってしまったが、彼の作品自体はドートマンダーもの、悪党パーカーもの、また、今作のようなノンシリーズもまだ未訳の作品が何作かあるので、出来れば早く読みたいと思う。2009年の秋に"Thieves dozen"の邦訳が出たが、この数年長編の新訳が出ていなかったので、それほど期待していなかったが、ぜひその他の作品も出して欲しいし、現在絶版になっている作品の復活も望みたい。

2009年12月18日金曜日

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)#6. New World

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)#6. New World
三浦勇雄
メディアファクトリー
MF文庫J み-01-14
2009年6月30日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2802-5 C0193
231ページ
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シリーズ第6巻。

前巻の5巻が、連作短編集のような形で物語の本編の余白を埋めるような位置付けであったのにたいし、この第6巻は、きちんと本編が進行している。既刊では、窮地に陥るも最後にはなんとか勝利を得る、というパターンであったが、この巻ではそれが一変し、むしろ最初から最後まで負け続き、一度は敵の手に落ち、辛くも脱出するも再び…、というようにほとんど良いところがなく、むしろ主人公たちだけでなく、都市全部が窮地に陥いるというところで終わっている。これまでは、1巻でひとまず事件が解決していたが、今回はそうならずに次巻に続く、という意味でもこれまでとはひと味違っている。ここから、どういう風に持っていくのかということも楽しみだ。

気になったところとしては、この巻の副題に「New World」とついていることだ。これ自体は、この第6巻に収録されている章のタイトルではあるのだが、読んでみての印象ではどうしても違和感を感じてしまう。New Worldというと、どこまでも広がっている世界、あるいは可能性といったものをイメージするが、この巻の雰囲気だと、むしろ物語の終盤に差し掛かりつつある、クライマックスがもう目の前にくるのでは、といった印象を受ける。まだ、次を読んでいないので何ともいえないが、その点が少し気になった。

2009年12月13日日曜日

Star Collection Dschinghis Khan

Star Collection Dschinghis Khan
Dschinghis Khan
BMG
2002
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曲数や価格などについて言えば、大きな不満はないですが、2点だけ気になった点を。


まず1点目は、ジンギスカンのベストアルバムでありながら、その代表曲でもあり、グループ名でもある「ジンギスカン」が収録されていないこと。勿 論、超有名曲なので、他のアルバム等で良く見かける曲ではあるものの、これを外すのは、画竜点睛を欠く印象は拭えないと思います

2点目は、歌詞カードがないこと。購入前から値段を見てある程度覚悟はしていたものの、予想通り歌詞カードはなし。ジャケットの裏に曲のクレ ジットが書かれた見開き1ページのみ。まあ、これもこのクラスになると、大概はネットで探せるのですが、対訳などはともかく、原語での歌詞カードくらいは 付けて欲しかった。

以上2点ほど不満はあるものの、十分にもとがとれるアルバムだと思います。

2009年12月11日金曜日

ロートレック荘事件

ロートレック荘事件
筒井康隆
新潮社
新潮文庫 つ-4-33
平成7年2月1日 発行
ISBN:4-10-117133-5 C0193
222ページ
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ロートレック荘と呼ばれる洋館に集まった美女が一人また一人・・・、といったような内容説明が文庫の裏表紙に書かれている。ここまでの説明だけなら、オーソドックスな洋館を舞台にした作品として期待するのだが、説明文の一番最後に「前人未到のメタ・ミステリー」なんてことを書くのは邪道だと思う。正直、新潮社にはまともにミステリを読んだことのある人間がいないのか、と疑いたくなる。

作品を読んでみたが、これはちょっと好みではない。メタ・ミステリがダメとはいわないが、トリックの為に張った伏線がどうも浮いているというか、違和感を感じさせるようなものが多い、というのは頂けないし、また、バレたあとで、本文での伏線の部分をわざわざ再掲しているというのも、良くない。確認したい人がいれば、それはその人が勝手にやればいい話で、作者がそれをするというのは、読者に対して、自分が「フェア」であるとひけらかしているようで、あまり印象に良いことだとは思わない。

また、舞台はロートレック荘という、ロートレックの作品が多く飾られている洋館を舞台としているが、あえてここでロートレックを出した必然性が分からなかった。読んでいる限り、作品になぞらえて殺人が起きたというような記述もないかったし、どうせなら、もっと、舞台空間を積極的に使った方が面白い、というかミステリ的になると思う。

巻末の解説でも触れられているが、この事件の犯人、この人物を犯人としたというのが、この作品の一番の特徴であり、主張だ(勿論、似た要素を持った犯人像というのは超有名な前例があるが)というのは確かに同意出来ると思う。

全体の感想としてはイマイチ。

世界名探偵倶楽部

世界名探偵倶楽部
パブロ・デ・サンティス
宮崎真紀 訳
早川書房
ハヤカワ文庫HM HM-テ-12-1 HM-366-1
2009年10月10日 印刷/2009年10月15日 発行
ISBN:978-4-15-178451-4 C0197
397ページ
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El Enigma de París
by Pablo de Santis
2007
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  2007年第1回プラネタ‐カサメリカ賞受賞(ラテンアメリカの文学を世界に広める、という趣旨の下に創設された賞らしい)。

世界中の名探偵たちによる"十二人の名探偵" クラブのメンバーが万博直前のパリに集まり・・・という、ミステリが好きな人間にとっては、非常に魅力的な設定になっている。読み始める前に勝手に抱いていた予想では、ホームズやクイーンといった実在の?(架空の)名探偵が登場するのかと思っていたら、全然関係なかった。

また、作品自体もまずは主人公の探偵助手が師である探偵の下に弟子入りするというところからスタートする。まあ、当然といえば当然だが、この最初のアルゼンチンでの場面、それから、パリに到着してから事件が起こるまでの場面というのは、退屈というか、あまり楽しめない場面が結構な長さになっている。

また、探偵と助手という、「ホームズとワトソン」のペアができているが実際は助手はお喋りばかりで探偵助手らしい ことはしないし、かの名探偵たちも、役割としては、むしろワトソンの役が与えられているように見える。この辺りは著者一流の、のいわゆる「名探偵」という人種への皮肉というか、わざわざ舞台を19世紀末のパリ万博の直前を舞台にした理由にもなっているのだと思う。

そういう意味では、この作品は現代のミステリの水準からすると、必ずしも高くはないし、色々と違和感が感じられる部分も多いが、中盤以降の展開、あるいは最後パズルのピースが収まるべきところに収まる様は、なかなか面白いと思う。たまには、ドロドロした長編作品ばかりではなく、こういうちょっとレトロなものも良いかなと思う。

午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン
相沢沙呼
東京創元社
2009年10月15日 初版
ISBN:978-4-488-02449-9 C0093
332ページ
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第十九回鮎川哲也賞受賞作。

一つ一つ完結している短編が集まって長編を構成しているという構造。最近割と多いタイプのスタイルだと思う。

鮎川哲也賞受賞作ということで、本編のあとに審査員を務めた人たちの(他の候補作の作品も含めた)感想が載っている。その中でも指摘されているように、伏線の仕掛け方や、全体の構成等については、ミステリとしてちゃんとしていると思う。また、作品全体の空気、或いは雰囲気というのも、適度な緊張感もありつつも、ねっとりしたそれではなく、爽やかに感じられるのも好印象だと思う。

ただ、それでも全体的には弱いというか、いまいちメリハリに欠ける気がする。いわゆる日常の謎を扱っているのだから、派手な事件が起きるわけではないが、それでもどうにも中途半端な印象が拭えない。或いは意図的なものかもしれないが、作品のディティールが、曖昧な部分も多く、また、主人公を含めた高校生たちの描写が、爽やかではあるが現実の高校生たちのリアルな姿というよりは、青春小説とかに登場する、ある意味ではステレオタイプの姿なように見えるからかもしれない。ただ、まあ、作品の雰囲気という点を優先するなら、これもありかも知れない。

その他、今作品とは直接関係ないが気になった点として、本文のあとに、審査員たちに夜採点、講評が掲載されているという点が少々気になる。 この作品についての解説があるのは、ある意味では至極当然とも思うが、それ以外の候補作(この作品の他に3作品)の評価(とダメ出し)が少し問題だと思う。どういう採点の経緯によるものかは知らないが、それらの作品はこの本を読んでも全く分からない。おそらくはごく一部審査に関わった人間だけが読んだものだと思う。それについて、あれこれと話の筋書きや、トリックを書き、また、どの部分が悪いかなど具体的に書くというのは、正直自避けてもらいたい。仮に将来、それら作品が出版されて、そして、その作品を読んだとしたら、その肝心のトリックを知っているというのは、それだけでミステリとしては致命的だと思う。審査をする人たちというのは当然、何らかの意味でミステリのプロである人たちなのだから、その辺りの配慮をして欲しかった。

探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」 Invention I"Le Métal" pour HONKAKOU japonais

探偵小説のためのインヴェンション「金剋木」 Invention I"Le Métal" pour HONKAKOU japonais
古野まほろ
講談社
講談社ノベルス フJ-08
2009年9月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182669-4 C0293
280ページ
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探偵小説シリーズの4作目。

これまでの3作と比べて、一番ミステリらしいミステリになっていると思う。過去の3作は、一応ミステリとしても読めるが、それに加えて、妖怪?(というか人外というか)が出てきて、それも踏まえて、もう一度解釈し直して、みたいなプロセスを辿ったり、少々くどい、或いは鬱陶しいくらいの印象があった。

それに対し、今作は「吸血鬼」という異常が物語に入ってくるけれども、その特殊性もルールの内と考えたミステリとして読めば、きちんとその中に収まる。その意味では、きちんと普通のミステリとなっている。

その他、主人公の妄想も前3作と比較すると、若干抑え気味という点も好印象。人によって見方は色々だと思うが、本筋に関係のないノイズは、あまり多すぎても邪魔なだけだと思うので、このくらいのバランスの方が良いと思う。

2009年11月20日金曜日

世界の中心、針山さん③

世界の中心、針山さん③
成田良悟
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 な-9-32
2009年10月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868074-5 C0193
365ページ
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短編集第3弾。

今回も前2冊と同じく、非常に緩くつながった連作短編集。ストーリー自体、あってないというか、各話ごとに一応のストーリーはあるが、全編を通じてどうこうというものでもないし、そもそもメインで前作に登場するキャラクターさえ、いない。勿論、主人公的な位置にいるのが、タイトルにもなっている針山さんなのだろうが、基本的に彼は何もしない。というか、名前だけとか、後ろ姿とかそういう扱いなので、その意味でも非常に緩い。ただ、その辺の緩さというか、いい加減さがこの作品の魅力でもあると思う。ひょっとしたら、このシリーズが一番安定しているかもしれない。

2009年11月12日木曜日

One of the Boys

One of the Boys ワン・オブ・ザ・ボーイズ
Katy Perry
EMI Records / Capital Records
2008
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Katy Perryのアルバム。日本盤なので、ボーナストラックとして2曲が追加されている。

ラジオやポッドキャストで"Hot 'N Cold"や"I Kissed A Girl"などの曲は前々から聞いていたが、アルバムで聴くのは初めて。で、第一印象としては、曲の印象よりもヴィジュアルの方が印象的だった。特にキテレツな格好をしているというわけではないけれど、曲とか、声から抱いていた印象とは全くつながらなかった。アルバム全体としての印象は割と聞きやすかった。以前から知っていた2曲もそうだが、その他の曲にしても、ポップで聞きやすかった。その他、曲のクレジットに彼女の名前があり、自分で曲を作るところからやっているということにも驚いた。

ピクシー・ワークス

ピクシー・ワークス
南井大介
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 み-15-1 1823
2009年9月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868013-4 C0193
287ページ
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女子高生とか、戦闘機とかの出てくる話。爽やかな印象。

技術マニアの女子高生が主人公であるとか、夏休みとか、青春とか、一つ一つの要素として見れば、決して珍しい設定とは云えないが、 非常にきれいな作品になっていると思う。

その意味では、この作品の描く世界観というの表紙絵、挿絵も含めて成功だと思うが、それだけにシリーズ化して、続編をというのは、結構難しいと思う。『とある飛空士への追憶 (Link to amazon.co.jp)』などでも、作品の舞台を残し、登場人物を変えて続編を書いている。今作では、その手は使えないだろうから、作品の質を落とさずに続けるというのは、尚更大変だと思う。まだ、世界観とか各登場人物の過去など、いろいろと明らかになっていない部分はあるので十分に可能だと思うが、ぜひ出来のいい続編を読みたい。まあ、続編が出るのはほぼ確実だと思うが。

無貌伝 〜夢境ホテルの午睡〜

無貌伝 〜夢境ホテルの午睡〜
望月守宮
講談社
講談社ノベルス モI-02
2009年10月6日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182676-2 C0293
380ページ
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メフィスト賞受賞の前作『無貌伝 〜双児の子ら〜(Link to amazon.co.jp)』(Link to 感想)に続く、第2作目。

全体として期待を裏切らない出来だったと思う。メフィスト賞受賞作の中には、かなり独特というか、正直やり過ぎでかえってつまらなくなっている作品も少なからずあると思うが、この作品に限って云うならば、舞台、登場人物設定などを最大限に活用しつつ、きちんとミステリしているという点で、非常に完成度が高いと思う。

今作では、夢境ホテルという、ある意味クローズドな舞台での事件だが、そこの宿泊客一人一人にしても、無意味な人物など一人としてなく、それぞれがきちんとパズルのピースのようにきちんと嵌っていく様は、鮮やかでもある。

前作が2009年1月で、2作目が10月と、決して早い方ではないと思うが、この水準の作品であるならば、多少待たされても十分にその価値があると思う。このペースで行くと、2010年刊行予定とある、次の『無貌伝 〜人形姫(=ガラテア)の産声〜』は、夏頃になりそうだが、また、楽しみに待ちたい。面白い作品に限って云えば、このように次回作のタイトルが事前に明かされている方が楽しみが増して、良いかもしれない。

灼眼のシャナXIX

灼眼のシャナXIX
高橋弥七郎
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 た-14-25 1817
2009年9月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868007-3 C0193
283ページ
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シリーズ19巻。

前巻から比べて物語的にはほとんど進展は若干のみ。来るべき決戦に向けて、それぞれの場面において予想される通りに展開が進んでいった感じ。当然、小説であるのでこういった大きな動きのない場面というのも緩衝剤的に必要だと思うが、ちょっと物足りないかな、という印象。

その他、気になる点としては 、そろそろ最終決戦でシリーズ自体が終了かと思っていたが、本文中に新たな戦いの始まり的な記述があったのが少し気になる。無駄にシリーズをだらだら続けるよりも、きれいな終わり方をしてくれた方が全体の印象はいいと思うが、杞憂であることを願う。

2009年11月5日木曜日

iPod touch (2nd G)ケース

iPod touch (2nd G)ケース
Belkin
2008
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BELKINの第2世代iPod touch用のケース。

2008年11月第2世代のiPod touchが発売されてから、間もなく購入。第1世代のiPod touchとはサイズが微妙に変わっているということもあり、その時点では、まだケースの種類が少なかったので、価格なども考え、ビックカメラで購入。

使う前の印象としては、そう悪くなかったが、使ってみると、最悪とはいわないまでもかなり良くない、というのが正直な感想だ。

touch本体とのフィット感という点では最初のうちは問題ないが、使い勝手については全く考えずに、作られたという印象だ。ケースが袋状になっている為に、操作する為には一度出さなければならない。つまり、touchの向かって左上にある音量ボタン、上部にあるボタンに触れる為には、或いは画面に触れる為にも、ケースから取り出す必要がある。すなわち、操作するには、ほぼ必ず両手を使わなければならない。これは非常に面倒に感じた。

また、使用し始めて間もなくは、ぴったりフィットしているどころか、むしろ窮屈にさえ感じるが、使っているうちに、次第に縫製が緩むのか、出し入れする側を下に向けるだけで、中のtouchが滑って出てくるようになった。製作段階では、これもやはり想定していないだろうが、最低限の品質はキープしてもらいたい。

一度操作して、しばらくはそのままというなら問題はないかもしれないが頻繁に操作するには、非常にストレスがかかる。全体的な印象としては、良くない。正直、サイズの仕様のみを参考に作られた、という印象を受ける。

放課後の魔術師(=メイガス) ⑤スパイラル・メッセージ

放課後の魔術師(=メイガス) ⑤スパイラル・メッセージ
土屋つかさ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-208-5
平成21年10月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-474005-4 C0193
298ページ
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シリーズ5作目。

前巻が短編集だった為か、これまでに比べて次が出るのが早かった。

流石に5冊目にもなると、最初の頃の「完結した円環(=フォル・キアカル)」対「鴉(=ノックス)」=善悪の戦いみたいな単純な構図では無くなってきている。色々と過去の因縁が明かされ、次第に物語に奥行きが出てきているというか、立体的になりつつある。

その一方で、文章という意味では、やはり最初の頃の新鮮な感じは無くなっているように思う。各節ごとに視点が次々と変わる書き方というのは、新鮮に思ったが、ちょっとその辺りの印象が薄れているように感じる。単にこちらが慣れたのか、あるいは作者の方の書き方が変わりつつあるのか。

とはいえ、この巻でまた少し、明らかになった部分もあり、ある程度ラストにどちらに向かうのか、その方向性は見えてきたと思う。また、次回に期待。なるべく早く出て欲しいが、ちょっと難しいか。

ウィキペディア・レボリューション 世界最大の百科事典はいかにして生まれたか

ウィキペディア・レボリューション 世界最大の百科事典はいかにして生まれたか
アンドリュー・リー
千葉敏生 訳
早川書房
ハヤカワ新書juice 005
2009年8月20日 初版印刷 /2009年8月25日 初版発行
ISBN:978-4-15-320005-0 C0200
443ページ
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The Wikipedia Revolution: How a Bunch of Nobodies Created the World's Greatest Encyclopedia
by Andrew Lih
2009
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ウィキペディアというサービス、企業について書かれた本。ウィキペディアという名前は勿論知っているし、使ったこともある。当然、どういう会社かという話もちらほらとは聞いてもいた。しかし、それらから受ける印象と、この本を読んで感じた印象とでは大分違う。もっと順風満帆かと思っていたら、かなり大きなトラブルに何度も見舞われているし、ある意味では人間的というか、ぐちゃぐちゃとしているという印象を受けた。

ウィキペディアの、ある意味では、内部に近いところにいる人間が書いた本なので、その成り立ち、歴史を知る、もしくはそれらを参考に起業しようと考えている人には、本書は有益かもしれないが、全体としては、冗長に感じる。1冊丸ごと一つの企業の話、ましてウィキペディアという決して長い歴史を持っているわけでもない企業の話なので、割と小さな事件というか出来事にもページを割いている。つまり、創業当時に関わっているなど、中心的な人物のエピソードがあるというのは、ある意味では自然だと思うが、ある一時期に関わった、世間的には全く無名の人物の名前(あるいはハンドルネーム)がいくつも出てくるというのは、正直、あまり興味がないというか退屈に感じる。

折角ウィキペディアという、旬なテーマを扱っているのだから、もっと的を絞った、凝縮された文章で読みたかった。そういう意味では、同じくハヤカワ新書juiceのジェフ・ハウの『クラウドソーシング みんなのパワーが世界を動かす』あたりは違った種類の色々なサービスについて書いているという点において、退屈せず興味深く読めた。この新書juiceは良い本に当たれば、非常に充実した読書になるし、はずれを引くと結構苦痛になるように思う。まあ、他の新書に比べればはずれは少ないように思うが。

ミスマルカ興国物語V

ミスマルカ興国物語V
林トモアキ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-150-24
平成21年9月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-426620-2 C0193
287ページ
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シリーズ第5巻。

相変わらず、いまいち世界観が分からない。作者自身でもまだ固まっていないのか、それとも敢えて分からないように書いているのかは知らないが、そのせいで、いまいち先が読みづらいというか、どうにも不確定な部分が気になる。

この巻でもいくつか隠れた設定が明かされ、おそらくはそれが今後の伏線にもなるのだろうが、やはりいくつかの筋は予想出来るが、向いている方向が読みづらいというのは、ある意味ではプラスなのだろうが、どうにも行き当たりばったりの感じがする。とりあえずは、今後の展開に期待。

2009年10月2日金曜日

とある飛空士への恋歌2

とある飛空士への恋歌2
犬村小六
小学館
ガガガ文庫 ガい 2-7
2009年7月22日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-09-451149-9 C0193
251ページ
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とある飛空士への恋歌』に続く第2巻目。シリーズとしては、『とある飛空士への追憶』から数えて、3冊目。

きちんとこのシリーズの世界観を守っているので、安心して読むことが出来ると思う。また、前作を読んだ時に、1巻で完結せず次の巻に続いたことは少々意外だったが、今回この巻で終わらずに次に続くというのは、まあ、予想通りというか、ありがちな展開だと思う。この雰囲気だと、次の3巻目で終わらず、更に続きそうな感じもする。

ストーリーとしては、ファンタジー系としてはある意味、王道というか、非常にシンプルで構えずに読める話だと思う。クラスメートとして何人も新たなキャラクターがいるが、まだ、彼ら自体が大きく取り上げられるということもないので、その意味でも、話がもう少し続く予感はある。

1冊目とこの巻の時もそうだったが、あまり間が空くと、ストーリーとかはともかく、細かい設定などはどうしても忘れてしまうので、刊行する真での期間を短くするなり、前巻の巻頭にあったような、島の全景の地図をまた掲載するなり、そういったこともしておいてもたいたかった。勿論、続けて刊行されるのがベストだと思うけど。1巻が2月、この2巻が7月とすると、次は12月か?割と楽しみにしているだけに、もうちょっとペースアップして欲しい。

2009年9月30日水曜日

スリー・パインズ村と運命の女神

スリー・パインズ村と運命の女神
ルイーズ・ペニー
長野きよみ 訳
ランダムハウス講談社
ランダムハウス講談社 ヘ4-2
2009年6月10日 第1刷発行
ISBN:978-4-270-10301-2 C0197
554ページ
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 Dead Cold /(U. S.  title: A Fatal Grace)
by Louise Penny
2006 /(2007 in U.S. )
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スリー・パインズ村の不思議な事件』に続くシリーズ第2作目の邦訳。

今作の舞台も前作と同じく、スリー・パインズ村。前作を読み、続きを読みたくなった人間としては、期待以上の出来だったと思う。前作と同じく登場人物たちは生き生きと動いている。また、登場人物たちにとってみればかなりつらい事件が起きているにもかかわらず、読後感も全く悪くない。こういったタイプの作品はあまり無い(というか、読んでいる中にはない。ひょっとしたら知らないだけで存在するのかもしれないが)ので、より一層印象的に感じた。

アガサ賞受賞などの宣伝文句が並んでいるが、看板に偽りなしというか、それ以上に面白い作品だと思う。次作も連続で受賞したようなので、また、邦訳が出るのを楽しみに待ちたい。それとも、いちいち待っていないで英語で読んでみるか。

花窗玻璃(=はなまどはり) シャガールの黙示

花窗玻璃(=はなまどはり) シャガールの黙示
深水黎一郎
講談社
講談社ノベルス フK-04
2009年9月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182671-7 C0293
312ページ
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深水黎一郎の講談社ノベルスでの4冊目。シリーズとしては、『エコール・ド・パリ殺人事件 レザルティスト・モウディ』、『トスカの接吻 オペラ・ミステリオーザ』に続く第3作目。講談社ノベルスでの1作目がメフィスト賞のノンシリーズの『ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ !』。

シリーズ前2作では、通常のミステリ小説のように、同時進行で発生する事件を追い、解決するというスタイルだったが、今作では作中作として、既に解決している事件を探偵がワトソン役の人物に話す(というか、今作では小説として読ましている)という形をとっている。

今作の舞台は、フランスのランスとなっていて、このシリーズの特色を考えると、日本国外の事件を扱うというのは、ある意味で ごく当然という印象を受ける。あるいは、この辺りが作中作という形を採用した理由かもしれない。ワトソン役に警察官を選択した以上、日本国外の事件に巻き込まれるという手は使いづらいし。

読んでみての印象としては、同シリーズの前2作、特に前作と比べるとやや弱いという印象を受ける。或いは、作品中の大聖堂やシャガールといった部分のイメージがなかなかないからかもしれないが、どうしても前作の方が濃度が濃いように感じる。特別出来が悪いとは思わないが、それでももっと事件が連続して起きるとか色々と期待してしまうからかもしれない(今作では、探偵が登場した時点で既に事件自体は過去のものとなっていて、新たに起きた事件を調査する場面より、過去の事件を解釈する方がメインになっていたし)。

また、今作ではカタカナを使わずに漢字と当て字ですべてを表そうとしている。実際読んでみると、ルビもかなり振ってあったこともありあった、当初予想していた、

放課後の魔術師(=メイガス) ④ワンサイド・サマーゲーム

放課後の魔術師(=メイガス) ④ワンサイド・サマーゲーム
土屋つかさ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-208-4
平成21年8月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-474004-7 C0193
317ページ
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シリーズ第4巻。短編集?この巻は、メインストーリーではなく、閑話休題というか、次の段階へのつなぎ、或いは準備のような感じ。

まあ、登場人物の設定とかを考えると、肝心なストーリーを外してしまうと、あとは恋の行方とか、そっちの方向に行ってしまうのは、やむを得ないところがあると思うけれど、そればかりというのもちょっと退屈に感じる。色々なゲームなど、ガジェット的な要素はいくつかあるが、もう少し、1話1話の方向性というか、毛色の違う作品であった方が楽しめると思う。

まあ、次の巻に向けて、メインキャラクター候補?が一人増えたし、第5巻も既に出ているので、また、本編を楽しみにしたい。

探偵諸説のためのノスタルジア「木剋土」 Nostalgie I "L'arbre" pour HONKAKOU japanais

探偵小説のためのノスタルジア「木剋土」 Nostalgie I "L'arbre" pour HONKAKOU japanais
古野まほろ
講談社
講談社ノベルス フJ-07
2009年6月4日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182648-9 C0293
406ページ
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「探偵小説」シリーズの第3作。

このシリーズ(というか、もう一つのシリーズもそうだが)は普通のミステリとしても読めるし、更にその上にもう一層、妖怪?というか、そのようなものを重ねている。そのこと自体も、また、全体的にうっとうしい文体というか作りになってもいるのもあり、好き嫌いが結構あると思う。個人的にはあまりやりすぎるのは好きではないが、最近はその手の小説が(ミステリに限らず)増えているように思う。

そういった中で、今作は終盤までは普通のミステリとして読めるし、その意味では前2作よりもまともかもしれない。ただ、最後の部分、その終わり方はどうなのだろう。結局、どうなったのか、というか、今までのは何だったのか、という感じで終わってしまった。次巻でどうなっているのか、というのもそうだが、結局何がしたかったのかが少し分からないように思う。

もっと言うと、このシリーズ自体の位置付けというのもよくわからないし。まあ、もう少し様子を見ようという感じ。

2009年9月24日木曜日

うみねこのなく頃に Episode 1 Legend of the golden witch(下)

うみねこのなく頃に Episode 1 Legend of the golden witch(下)
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-19
2009年8月3日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-283721-7 C0093
307ページ
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上巻の続きから。

上巻が誰一人として殺されずに終わっているので、この巻では最初から派手にスタートしている。最初の展開としては、ミステリらしく手加減なしに結構派手に死んでいく。ただ、普段割とミステリを読んでいる人間として誤算&不満はいくつかあった。

というのは、もうちょっとミステリに対して忠実というか、誠実になっているかと思ったことだ。つまり、「最初の夜に6人が生け贄」という予告に対して6人が1度に殺されるのはいい(いや、普通は良くはないのか)。しかし、「2日目の夜に…」、「3日目の夜に…」という予告にも関わらず、数時間後にそれが実行されるというのは、ミステリ的には反則、というかずるいだろうと思う。勿論、そんなに悠長にやっている暇もないというのはわかるし、そうしたからと言ってその点で大きな不都合が生じたわけではないが、予告をした以上それを忠実にやってもらいたい(まあ、結局この作品はそういう王道のミステリではないということなのだろうが)。

あと、個人的に殺されるだろう人間と殺されないだろう人間、という風に予想していたが、あっさり外れた。まあ、考えてみれば当然ではあるが、ああ、そうなのという感じだ。

その他、この作品『うみねこの…』にしても、前作『ひぐらしのなく頃に』シリーズと同様だった、というのも一つ特徴だろう。あれは、1回限りのものと思っていたが、作者側としてはそういうつもりでもないようだ。前回のは、言ってみればパラレルワールド系といった感じだったが、今作はどうなのだろう。まだ、Episode 2を読んでいないが、雰囲気としては、ふりだしにもどる系か。まあ、もうじき次が出るだろうから、それを待ちたい。個人的には、ミステリっぽい要素のある今作の方が前作『ひぐらし…』よりもすきな部類に入ると思う。

イスカリオテIII

イスカリオテIII
三田誠
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 さ-10-7
2009年7月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867909-1 C0193
353ページ
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シリーズ第3巻。

このシリーズはまだ3冊だが、ここまで読む限り非常に面白いと思う。作者事態がかなり上手いというか、流石にキャリアがあるだけにレベルが高いと思うし、何よりテンポが良い。毎回、ちょっと(?あるいはかなり?)強くなった敵がきちんと出てきて、それに勝つために主人公側が変化、というか成長?して、おまけにストーリー自体に関わるような割と重要そうな情報が少しずつ明かされて、という風にある意味ではこの手の小説の王道ともいえるやり方をきちんと押さえている(ということは、このシリーズが何冊も沢山出るというのはあまり期待すべきでないかもしれない)。また、(今のところは)1冊ごとに事件が解決していて、次巻に続くといったことがないのも個人的には大きい。最短で1ヶ月、続きを待たされるのはちょっとねという気がする。

勿論、他の作品も抱えているのでなかなか難しいとは思うが、なるべく早く次の巻が出ることを期待したい。レンタルマギカの方(レンタルマギカ  滅びし竜と魔法使い)は結構大きな動きがあったし。そちらもそちらで楽しみではあるけど。

とある魔術の禁書目録(=インデックス)⑱

とある魔術の禁書目録(=インデックス)⑱
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-20
2009年7月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867897-1 C0193
417ページ
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前巻17巻の続き(感想はコチラ)。

とりあえず17巻からはじまるイギリスでの事件は一件落着。ただし、きれいにすべて終わったわけではなく、また、次の巻へ待ったなしで動き出している。ここにきて、いよいよ神の右席のもう一人が姿を見せたり、シリーズそのものも佳境に向かっている。主人公の右腕など、まだ回収していない伏線がいくつかあるが、それをどう処理するのか楽しみにしたい。

しかし、この作品に限らず、バトルの場面がある作品(小説でも或いは漫画でも) について思うことだが、登場する敵キャラの力のインフレ具合がすごいことになっている。このシリーズはそもそも魔術あり、超科学ありと、初期設定に一応織り込み済みではあるけれど、それでもちょっとやり過ぎだと思う。あんまりやると先々進めづらくなると思うけど大丈夫なのだろうか。

まあ、次がいつ出るか、なるべく早く出てもらいたい。

2009年9月22日火曜日

砂漠のゲシュペンスト〔下〕

砂漠のゲシュペンスト〔下〕
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-7 NV-1201
2009年8月10日 印刷/2009年8月15日 発行
ISBN:978-4-15-041201-2 C0197
347ページ
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Die Dunkle Seite
by Frank Schätzing
1997
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深海のYrr〔上〕〔中〕〔下〕』、『黒のトイフェル〔上〕〔下〕』に続くフランク・シェッツィングの早川書房からの第3冊目の訳書。小説家としてみた場合、『黒の〜』、『グルメ警部キュッパー』に続く第3冊目にあたるらしい。

話の展開、あるいは犯人が暴かれる場面であったりは、ミステリとしてみればそう珍しくもないし、むしろ登場人物が限られている本書においては、ごく自然な展開なのかもしれない。その意味で、ミステリ小説としてみた場合、その出来は特別良いとはいえない。しかし、話の進め方や、細部の描写等々、最後まで飽きさせずに読むことは出来る。その辺りは、作者のレベルの高さだろう。

また、 本書においては、(湾岸)戦争、傭兵といった、単純に善悪で割り切れない問題、多くの人にとっては、非日常かもしれないが、現在の世界の裏側に確実に存在している問題を中心的なテーマとして扱っている。

また、インターネット等の作中での扱い方というのも非常に興味深い。本書が出版された時期の、インターネットを取り巻く状況について詳しいわけではないが、本書で書かれているような書き方、或いは見方は、当時というよりも、むしろ現在の視点に近い視点から書かれているように思う。

作者の狙いが、単純なミステリ作品というよりも、それらのテーマに対するメッセージ、或いは批判、として、小説の形態を選んだような書き方をしている。勿論、小説としても十分に楽しめる出来になっているが。

これで、早川書房からは計3作品が出版されたことになるが、この雰囲気だと他の未訳作品もいずれ出されそうなので、そちらも楽しみにしたい。

大人のための新オーディオ鑑賞術 デジタルとアナログを両立させた新発想

大人のための新オーディオ鑑賞術 デジタルとアナログを両立させた新発想
たくきよしみつ
講談社
講談社ブルーバックス B-1641
2009年6月20日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-257641-3 C0273
174ページ
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現時点で、オーディオ機器の趣味というのはないが、ちょっとだけ興味があったので読んでみた。読んだ感想としては、ある意味では、ごくごく当然の結論というか、まあ、そうだよねといった感じ。

アンプ、スピーカといったオーディオ機器が非常に高額なものであるということは知っていたが、その善し悪し、或いは選び方等は全く知らなかった。その意味で本書は、どのメーカーのどれがベストだといった書き方はしていない。もちろん、このぐらいの費用でこの音であれば、というようなことはあるが、結局、どのような環境で聞くか、どのような音を求めるか、各自の必要に応じて、最適なものは変わってくるという、感覚的にも納得のいく結論であったと思う。その一方で、やはり素人からすると、手を出しにくい世界であるし、よくわからないという当初の考えを変えることもなかった。

ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い(=ざれごとづかい)

ネコソギラジカル(下) 青色サヴァンと戯言遣い(=ざれごとづかい)
西尾維新
講談社
講談社文庫 に-32-9 西尾維新文庫
2009年6月12日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-276389-9 C0193
605ページ
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ネコソギラジカル(上)十三階段」、「ネコソギラジカル(中)赤き征裁vs.橙なる種」に続く、ネコソギラジカルの下巻。この巻で、西尾維新の戯言シリーズの文庫化も一段落。

どの巻だったか忘れたが(第1冊目だっけ?)、作者があとがきで文庫化に際しての修正は基本的にしていない、と書いていたが、改めて1冊目から読んでみて、全体的に結構鬱陶しいな、という印象が強い。このシリーズは、特殊な能力を持った人や、変な名前の登場人物が多い、というかほとんどだが(天才とか殺人鬼とかが何人も出てきたりなどなど)、最初の内は、割合ミステリ色強いというか、一応ミステリの枠に収まっていたが(メフィスト賞だし、講談社ノベルスだし)、途中からどんどん変な方に進んできた。それ自体別にどうとも思わないが、最近の作品を読んだ印象と比べると、かなりごちゃごちゃしている。つまり、鬱陶しい。

まあ、その間作者の書く技術が上がっているということの裏返しということでもあるが、本人としてはどうなのだろうか。その辺はよくわからないが、このシリーズの位置付けがどういう風になっているのか、というのは少し聞いてみたい気もする。

この巻で人まず、文庫化も一区切りだと思うが、その他のシリーズの文庫化等はどうするのか。あるいは、同シリーズの番外編的位置付けのあの作品たちは。個人的にいえば、過去の作品の文庫化というのも悪くはないが、現在進行形で進んでいる作品、シリーズを一日も早く読みたいと思う。

万年筆を極める

万年筆を極める
赤堀正俊 監修
かんき出版
「上手になる本」シリーズ
2008年2月22日 第1刷発行
ISBN:978-4-7612-6501-4 C0070
159ページ
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 全体的に物足りない印象。この本のタイトルは「万年筆を極める」となっているが、極めるというかなり大きなタイトルを付けていることを考えると、ちょっと誇大広告とはいわないまでも内容的に少々弱いと思う。むしろシリーズ名の「上手になる」位が妥当だと思う。

 本文の内容自体は(勿論門外漢なので、正誤の判定は出来ないが)きちんとしているという印象だし、カラーの写真も沢山あり、魅力的だと思うが、本書の内容自体は参考図書としてあげている「趣味の文具箱」等とかなりかぶっているし、単純な分量的な面にしても、本書の方が圧倒的に少ない。扱う内容の幅にしても、何度も特集出来る雑誌と、1回でまとめる必要がある書籍とでは比べるべくもない。そうしてくると、敢えて本書が存在している意義はどこにあるのか。その辺りがいまいち不明瞭になっている。質、量共に勝てないのならば、例えば初心者に限定して、超初歩の初歩をキチンと書くなど、何らかのコンセプトが必要だと思う。

ゼロから学ぶベクトル解析

ゼロから学ぶベクトル解析
西野友年
講談社
ゼロから学ぶシリーズ
2002年5月10日 第1刷発行
ISBN:4-06-154662-7 C3342
214ページ
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 Amazonの評価はかなり高いが、個人的にはそれほど良いとは思わなかった。確かに、ベクトル解析について、面白く書いていると思うし、おそらくはこういった書き方をした数学の本というのはあまりないだろうとは思うが、やはりこれだけではまずいと思う。本書の意義自体は認めるにしても、この1冊でどうにかなるわけではない。必ず、きちんと理論を押さえた本での勉強が必要になる。その意味で、通常の勉強でいまいちイメージがつかめない場合に2冊目以降として使うのがいいだろう。だからこそ、参考文献等で、そういった1冊目候補となりうる歯ごたえのある本を紹介しておくなりして欲しいと思う。本書に限らず、学術書、専門書に属する本についていえば参考文献等は必須だと思う。

 

2009年9月8日火曜日

東京ヴァンパイア・ファイナンス

東京ヴァンパイア・ファイナンス
真藤順丈
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-14-1
2009年2月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867519-2 C0193
307ページ
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 表紙と、それからタイトルから本物の(?)ヴァンパイアが出てくると思って読み始めてしまった。特に、そう思わせるような説明書きも何もないのだけれど、まあ、電撃文庫だし、そのくらいあり得ると思って読んでいたら、全然普通の人間ばかりだった。ちょっと肩すかしというか、まあ、思ったより普通だったね、という話だ。

 読んでみての印象は、思ったより普通だったね、或いはちょっと弱いかな、という感じだ。何組もの登場人物が別々に動いて、場面が何度も変わって、というのは、別におかしくもないし、上手く使えば非常に効果的でもあると思う。本書の場合は前半部分においては、それがそれなりに上手く機能していると思うが、後半、登場人物が合流して以降、または、主人公がいったん姿を消してその他のサブキャラがメインで動くようになって以降がどうしてもキャラとして弱いというか、全体的に印象が薄いというか、竜頭蛇尾といった感じで終わってしまっているのが残念だ(勿論、こういう結論が悪いとは思わないが、どうしても前半の勢いを考えると弱いかな、と感じてしまう)。

 それから、本文とは関係ないが、途中に入る挿絵(というより、漫画)がもうちょっとどうにかとならないかと思う。こういう作風ならまあ、しょうがないというか、それば良いのだろうが、同じ人物が描いたにしては、表紙とのレベルの差がありすぎると思う。まあ、どっちでもいいといえば、どっちでもいい話だが、気になったのでついでに。

ロングテール[アップデート版] 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略

ロングテール[アップデート版] 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
クリス・アンダーソン
篠森ゆりこ 訳
早川書房
ハヤカワ新書juice 004
2009年7月20日 初版印刷 /2009年7月25日 初版発行
ISBN:978-4-15-320004-3 C0263
446ページ
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The Long Tail:Why the Future of Business Is Selling Less of More
by Chris Anderson
2006, 2008
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原書は2006年7月にアメリカで刊行されベストセラーに、次いで2008年7月に改訂、更新された。日本語版は本書と同じく早川書房から2006年9月に発行された。原著とこの版の変更点は、時間の経過に伴う、全体的な加筆修正とマーケティングについての章(第15章)と、補遺が付け加えられた点。以下感想。

筆者は「ロングテール」とそれを上手く利用して経済活動を行う企業に対してかなり好意的な見方をしている、また、既存の企業に対してもそのような行動の仕方を奨励しているという印象を受けた。それ自体は、もちろんそうなのだろうし、その点について異論はないのだが、iTunes Music Storeであれ、Googleであれ、或いは、本書に登場する多くの成功例とされる企業は、時代の流れに上手に乗った企業としてほとんど手放しで賞賛に近い扱われ方をしているように感じた。もちろん、ロングテールのすごさ、インパクトを示そうという意図ならば正解だと思うが、もう少し批判的な見方をしても良いのでは、と思ってしまう。

次、本書を通じていくつもの成功、或いは失敗の例を見ると、日本の大企業、あるいは政策というのはかなり遅れていると思えてくる(特に、著作権に関するくだりなどはすぐにでも考えるべき問題だと思う。先送りにすることによるメリットは何もないと思う)。まあ、実際遅れているのだけれど、一方でこれだけ先進的な企業が出てくる国があり、翻って、日本はというと、ちょっとひどいというか、このような国とまともに経済競争をしてもまず勝ち目はないなと思ってしまう。その意味では、本書は起業家というよりも、法律だとかそういう下らない規制ばかり作っている人たちが真っ先に読むべき本だと思う。

本書を書くにあたり、著者はいくつもの企業に取材を行っている。勿論、雑誌ワイアードという名前に強い効力があったりもしたのだろうが、日本の企業が外部の人間にこれだけデータを見せるということがあるかな、とちょっと考えてしまった。その点については、純粋にうらやましいと感じた。法律にしても何にしても色々な点でオープンな方が良いように思える本だった。

直接的な言及というより、本文中に何度か出てくるという程度だが、何度かクラウドソーシングという言葉が出てきた。本書の中で触れられているものの中には、正にこのクラウドソーシングを利用しているものが少なくない。その点では、同じく早川書房から新書で出ている「クラウドソーシング—みんなのパワーが世界を動かす」と通ずるところがあると思う。

また、Chris Andersonの新著"Free: The Future of a Radical Price"が2009年7月に出たらしい。

2009年9月1日火曜日

砂漠のゲシュペンスト〔上〕

砂漠のゲシュペンスト〔上〕
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-6 NV-1200
2009年8月10日 印刷/2009年8月15日 発行
ISBN:978-4-15-041200-5 C0197
398ページ
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Die Dunkle Seite
by Frank Schätzing
1997
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 上巻。感想等は下巻と併せて。

レンタルマギカ 滅びし竜と魔法使い

レンタルマギカ 滅びし竜と魔法使い
三田誠
角川書店
角川スニーカー文庫 S-177-16
平成21年7月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-424922-9 C0193
361ページ
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 前作『レンタルマギカ 旧き都の魔法使い』の後半部。

 この巻は第2部の最終巻と位置付けられており、ここまでの流れをとりあえずは一区切りにしている。今までの巻では、妖精眼が何であるか、或いはそもそも全体のストーリーがどこに向かって進んでいるのか、などなかなか読めなかったが、とりあえずここまでの流れが一段落したので、多少は見通しが良くなったと思う。まだ、最終的なところはわからないが、最後の方の光景も、また、今後のアストラルについても、先代のそれに近づくだろうとはある程度予想出来る。

 ある程度の予想を立てた上でこちらの読みをどう裏切ってくれるのかについても今後は期待して読みたい。

2009年8月20日木曜日

グーグル・ジャパンで働く11人の英語勉強法

グーグル・ジャパンで働く11人の英語勉強法
EnglishZone編集部 取材班
中経出版
2009年1月25日 第1刷発行
ISBN:978-4-8061-3260-8
143ページ
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 タイトル通り、グーグル・ジャパンで働く人たちの英語との関わりについてインタビューした本。

 読んでみると、その多くの人に共通点があることがわかる。それぞれが自分の英語について自身があったが留学してみるとほとんど通用しなかった、だとか、その後相当量の勉強をしたとか、現状に満足していないとか、などなど。

 色々な人の体験談を読んでみることもそれなりに有益で、また、面白くあると思うが、この本を読んで得られるものは決して多くはないと思う。また、インタビューにしても一つ一つのインタビューが長くない、或いは、浅いため、それほど出来がいいとも思えない。雑誌の記事として箸休め的にある分にはいいのかも知れないが、そればかり集めて本にするにはちょっと色々な部分が弱いように思う。ついでに言えば、本の内容の割に値段が高いようにも思う。まあ、そういう人もいるよね的に流しておけばいい感じ。

2009年8月12日水曜日

学園キノ③

学園キノ③
時雨沢恵一
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-8-29
2009年6月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867840-7 C0193
281ページ
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 第3巻。

 相変わらずのグダグダっぷり。しかし、ただグダグダしていただけの印象が強い前2作に比べて、だいぶまともになっているというか、一番ストーリィらしいストーリィがあるので、意外ときちんとしていたというか、向かっている方向が割合はっきりしていたので、読む側としても今までで一番読みやすかった。

 ただ、こうした番外編的な作品よりもどちらかというとメインの作品を読みたい気もするが。

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)#5. Sacrifice

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)#5. Sacrifice
三浦勇雄
メディアファクトリー
MF文庫J み-01-13
2009年3月31日 初版第一刷発行
ISBN:978-4-8401-2723-3 C0193
250ページ
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シリーズ5作目。今作の前半部は、閑話休題的に4人主人公、準主人公たち、各キャラクターの日常を描いた短編。後半部で、直接のメインのストーリーの続きというか、次の巻への橋渡し的な準備段階を少し、という感じ。

読んでみた印象としては、今までの巻よりもきれいに収まっているというか、まとまっているように感じた。こちらが、慣れたということもあるだろうし、登場人物たちも初期と比べて、少し丸くなったところがあるからかもしれない。そして、中編、或いは長編として書くよりも、このくらいの少し短めの話をつなげていく方がこの作者には良いのかもしれない。現時点で次の巻も出ているようなので、また読んでみようと思う。

とりあえず、この巻で重要な秘密というか設定が明らかになったので、この次の動きがあるだろうし、同時に作品自体の終着点もある程度見えた来た感じ。もちろん、こちらの予測、期待を良い意味で裏切って欲しいが、その辺りもどうなるか見てみたい。

偽物語(下)

偽物語(下)
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-18
2009年6月10日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-283702-6 C0093
323ページ
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 『偽物語(上)』に続く下巻。但し、上巻と直接的なつながりがあるというよりは、その後日の別の物語。

 全体を通じて、今作の主役であるはずの下の妹の出番は少なかったように思う。まあ、本来の主人公が別にいるのだから仕方ないにしても、前半部の関係なさは、もう少し抑えめでもとも感じた。

 今作(というか、あとがき)を読んでの、一番の収穫は、最終話と言いつつ、まだ少なくとも2冊は続くということか。まあ、これも予想出来ることではあるが。とりあえずは、発売される2010年を待つ。

2009年7月29日水曜日

うみねこのなく頃に Episode 1 Legend of the golden witch(上)

うみねこのなく頃に Episode 1 Legend of the golden witch(上)
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-18
2009年7月1日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-283719-4 C0093
273ページ
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 前作『ひぐらしのなく頃に』に続き、講談社BOXからの新シリーズ。同人誌や、ゲームなどの他メディアについては未読のため、『うみねこの〜』は講談社BOXで初体験。上巻を読んでみての感想、全体としては下巻後に。

 とりあえず、上巻を読み終えての感想としては、ある程度期待していた通りの出来である一方、物足りなさも感じる。ポジティブな点としては、『ひぐらしの〜』の1冊目を読んだときのような鬱陶しさはそれほど感じなかった。こちらが慣れているためか、作者側の文章が良くなったのかはともかくとして。また、作品というか、巻によっての当たり外れというのもないというのも安心して読める一因だと思う。

 マイナス点は上巻だからやむを得ないところもあるだろうが、大量殺人事件開幕と宣伝しつつも、この巻では誰一人として死んでいないというのは、誇大広告とはいわないまでもちょっと肩すかしを食った感じだ。実質的にまだ事件は起きていないに等しいのだから、下巻までのおよそ1ヶ月のタイムラグはなんとかして欲しかった。

 以下、全体の感想は下巻後に。

デュラララ!!×6

デュラララ!!×6
成田良悟
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 な-9-31
2009年7月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867905-3 C0193
419ページ
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 シリーズ6巻目にして、第5巻『デュラララ!!×5』の後編。

 雰囲気としては、まあ、いつも通りの感じで派手に暴れ回っている感じ。場面展開がそれぞれの登場人物にあわせて頻繁に変わるので、全体の絵を見せずにうまく進めていっていると思う。

 主人公たちのすれ違いぶりも相変わらずだが、この巻でちょっと取り返しがいかないところまで進んでしまった感もあり、この先どうなるのかちょっと心配だったり。

このデュラララシリーズは、他のシリーズや他の作家や作品と比べてダークな感じが強いように思うが、この巻でもそれがだいぶ現れているように思う。次がいつ頃になるのかはわからないが、ちょっと期待して待ちたい。

2009年7月15日水曜日

金融立国試論

金融立国試論
櫻川昌哉
光文社
光文社新書 187
2005年1月20日 初版1刷発行
ISBN:4-334-03287-7 C0233
228ページ
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 経済、金融、或いは金融機関について、色々な考えを述べる、或いは批判をした本。

 全体的な印象としては、そう変わったことは言っていない、というか、引用した文献などきちんと参考文献として巻末に載せているので、どこが情報源かきちんとたどれるようになっている。必ずしも、すべてを見るわけではないが、どこから引用したかを明示しない本も結構あるので、こういうところをきちんとしておくのは絶対に必要だと思う。

 内容はごく当たり前の、論理的な一方で、金融行政、金融機関などに対する批判については、割と過激な、というか強く言っているので、その当事者たちがそれを素直に耳を傾けるとはちょっと思えない。もし、素直に受け入れられるとしたら、日本の金融ももっとましになっていただろうけど、望み薄か。

2009年7月9日木曜日

MORI LOG ACADEMY 12 モリログ・アカデミィ12 たそがれの天職

MORI LOG ACADEMY 12 モリログ・アカデミィ12 たそがれの天職
森博嗣
メディアファクトリー
2008年12月28日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2623-6 C0195
368ページ
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 ブログ書籍化第12巻。ラストから2冊目。

 今回も、ブログ+対談ということで、次の13巻と同じつくり。最後の2冊だけ読む順番が逆になってしまったが、基本的にブログをリアルタイムで読んでいたので、これといった影響はなし。違っているのは巻末に対談が載っていることと、ブログのときと違い学科ごとに分かれていること。

 個人的には、学科ごとに分かれているよりも、ブログのときのように、HR+学科の組合せのほうが読みやすく感じた。単なる慣れの問題かもしれないが、その方が一定のペースでいけるせいかもしれない。

 対談を読んでみて、当たり前のことだが、今まで自分が見てきた、というか、見たつもりになっていたものが、全体の内の極々一部でしかない、あるいは、まったく誤解していたように感じた。まあ、だからといって何が変わるわけでもないが、ああ、なるほどという感じ。

2009年7月8日水曜日

MY SHORT STORIES

MY SHORT STORIES
YUI
Sony Music Records
2008
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 カップリングの曲を集めたアルバムらしい。

 元々、シングルやら、アルバムを熱心に聴いているわけでもないので、このアルバムに収録されている曲はすべて今回初めて聞いたものだった。カップリングというと、表現は悪いが、出来がいまいちであるとか、ちょっと前面に出すには弱いようなマイナスイメージを持ってみていたが、今回聞いてみて特にそんな印象はなく、普通のアルバムと同じく聞けた。むしろ、YUIの曲の特徴を上手く表した曲が多く、これはこれで非常に面白いと思う。

地団駄は島根で踏め 行って・見て・触れる《語源の旅》

地団駄は島根で踏め 行って・見て・触れる《語源の旅》
わぐりたかし
光文社
光文社新書 395
2009年3月20日 初版1刷発行
978-4-334-03498-6 C0281
326ページ
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 扱っているテーマとしては非常に面白いと思う。これらの言葉は日常生活に深く結びついているものだし、と同時に、多くの場合、その語源についての知識はほとんど知らないでいるし。

 ただ、この本を読んでみての印象としては、どうしても不満が残る。テーマとしては面白い。書かれている内容も、自分では知らなかったことばかり。取り上げられている言葉も数が多い。しかし、一つ一つの言葉を扱っている分量がどうにも少ないように思う。これは、数多くの言葉を載せていることの、裏返しでもあるだろうし、また、雑誌に連載していたらしいときの名残でもあるだろうけれど、非常に物足りない。どうせなら、もっと読み応えのあるものが欲しかった。

 また、全編を通じてのパターンというかフォーマットが同じであるため、どの言葉についての文章もワンパターンのように見えてしまっていたように感じた。全体的にもうちょっとなんとかして欲しいという感じ。

2009年6月30日火曜日

MORI LOG ACADEMY 13 モリログ・アカデミィ13 ウは宇宙のウ

MORI LOG ACADEMY 13 モリログ・アカデミィ13 ウは宇宙のウ
森博嗣
メディアファクトリー
2009年3月31日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2754-7 C0195
399ページ
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 ブログ「MORI LOG ACADEMY」の書籍化の最終第13巻。

 11巻までは,順番通りに読めたが、最後12と13が逆になってしまった。とはいえ、影響は殆どなし。そもそも、時事ねたがメイントピックというわけではないし、ブログで毎日読んでいるときは、本には数ヶ月ずれていたわけだし。

 巻末に萩尾望都氏との対談の様子が載っているが、「トーマの心臓」という作品も読んだことがないし、ほかの作品も読んだことがないのであまりよくわからないというのが正直なところ。多分、当時の少年漫画誌というのが、あまり、コンテンツ的に魅力的でなかったというか、作品の傾向に偏りがあったのかな、という位。今後読んでみてみるのかも未定。

 ブログが終了して、一番きになるのは、毎日安定し水準のコンテンツを書いている人というのが本当に少ない、というか、いないということ。不規則だったり、いまいち、自分に合わなかったり、ということが多いので、貴重だったな、と。特に、この人の作品を読んでいると、自分に近い種類の人間のようだったし。残念。まあ、まだしばらくは作家を続けるようなので大丈夫か。

 そういえば、Bradburyのあの作品のタイトルはこれなのか、それとも、太陽の黄金のりんごなのか、両方あるみたいだが、どちらだろう。個人的には「霧笛」がすきだが。

2009年6月24日水曜日

クラウドソーシング みんなのパワーが世界を動かす

クラウドソーシング みんなのパワーが世界を動かす
ジェフ・ハウ
中島由華 訳
早川書房
ハヤカワ新書juice 001
2009年5月20日 初版印刷 /2009年5月25日 初版発行
ISBN:978-4-15-320001-2 C0234
421ページ
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Crowdsourcing -Why the Power of the Crowd is Driving the Future of Business
by Jeff Howe
2008
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 「ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)」と同じく、早川新書juiceの1冊。

 こちらは、クラウドソーシングという言葉の生みの親である著者がクラウドソーシングという方法?、システム?によって大きな成功を収めた企業を取材し、紹介している本。もちろん、成功している企業の影で、失敗している企業もそれ以上にたくさん存在しているはずだが、成功しているタイプにもいろいろあって、非常に興味深い。

 上手くいっている例の特徴として、群集に何かをさせるというよりも、そのための場、プラットフォームを提供し、後は群衆に任せ、企業はそれを上手くコントロールあるいは、コーディネイトしていく、というのが多いようで、これは、日本政府が良く採る政策の真逆で、さもありなんという感じ。

 成功した企業の中には本当に単純なアイディアで大きな成功を達成しているところも少なくないようで、いろいろと示唆に富んでいるというか参考にすべき点は多いと思う。少しは見習っていもいいと思うが、多分大企業ほどしないだろうとも思う。残念。

2009年6月19日金曜日

誰の死体?

誰の死体?
ドロシー・L・セイヤーズ
浅羽莢子 訳
東京創元社
創元推理文庫 M-セ-1-2 183-02
1993年9月24日 初版 /1993年11月12日 再版
ISBN:4-488-18302-6 C0197
287ページ
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Whose Body?
by Dorothy L. Sayers
1923
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 ドロシー・L・セイヤーズによる、ピーター・ウィムジイ卿の長編第1作。

 今まで、セイヤーズの本は読んでこなかったが、読んでみると、思っている以上に読みやすかった。最近の本のように、必要以上に複雑にしてひっくり返したりしていないという点もその一員だと思う。

 また、クリスティなど同時代の作家の本と比べてみて印象的なのは、ピーター卿の使用人らに対する態度がある。これまで読んだ中では、使用人やあるいは一般的な市民に対して、ここまでフレンドリーというか、普通に接している貴族の姿というのは、ほとんど読んだ記憶がなかったので、そのあたりも興味深かった。

2009年6月18日木曜日

なぜ世界は不況に陥ったのか ―集中講義・金融危機と経済学

なぜ世界は不況に陥ったのか ―集中講義・金融危機と経済学
池尾和人/池田信夫
日経BP社
2009年3月2日 第1版第1刷発行 /2009年3月12日 第1版第3刷発行
ISBN:978-4-8222-4723-2 C0033
301ページ
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 サブプライムローン問題に端を発する今回の一連の金融危機に対して、経済学的な分析を書いた本。

 この本の中で述べられている内容については、すべて同意できるわけではないが、今回の経済危機において、日本経済がアメリカの問題に巻き込まれただけというわけではなく、構造的に成長率が低下しているというような類の話は、確かにそうだと思うところも割とあったと思う。

 この本のプラスに評価すべきところとしては、割と早い時期に出たというあたりだとか、きちんと経済理論を理解したうえで、それを基に話を進めている点だと思う。

 一方で、金融関連の用語など必ずしもすべての読者がそれらに通じているわけではないという所も考慮してほしいと思う。巻末に用語一覧が付いているものの、読みながらいちいちそれを参照するのは面倒だし、今回の金融危機は、金融業に携わる一部の人の問題というより、もっと多くの人にとって重要な問題なのだから、読者を自ら限定するようなつくりになっているというのは、読む側にとっても、或いは出版者的にもマイナスだと思う。

 また、折角二人の経済学者が話をしているのだから、もっとその形を活かすような作り方をしてもよかったと思う。すなわち、例えばベッカー&ポズナーのように、お互いが同様専門的な立場から意見を言っているのかなどを明確にしたうえでの議論をしたりするなどの工夫があってもよかったと思う。もちろん、本文でも、それぞれが自らの専門分野について説明をする場面はあったが、それ以外の場面では、お互いがすでにその結論を知ったうえで話をしているというか、仮にせりふを逆にしたとしても特に問題なく読めてしまうように感じた箇所が多かった。もっと、本のコンセプトというか、工夫があってもいいと思った。

2009年6月16日火曜日

ミスマルカ興国物語IV

ミスマルカ興国物語IV
林トモアキ
角川書店
角川スニーカー文庫 S150-23
平成21年5月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-426619-6 C0193
298ページ
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 シリーズ4作目。

 前2作と同様、紋章の情報を基に他国に出かけていき、そこで(トラブルに巻き込まれつつ)紋章を探す、というパターン。

 最後のあとがきの部分に漫画化の情報があるが、この作品のように主人公が簡単に服を脱ぐような作品の場合、アニメ化のときの障害になるような気がする。特に、角川とかメディアワークスあたりは、その辺、力を入れているようだから、どうするのか。作者もわかってそれをしているとは思うが、どう処理するか、少し興味がある。

 ストーリー全体としては、物語全体にも影響を及ぼしそうな情報も出てきたりと、少しずつ先が見えてきたというか、全体の輪郭が定まりつつあるような感じ。しかし、この作品に登場する人物は権謀術数をめぐらすというか、腹黒い人物が多過ぎる感じがする。

ミラーニューロンの発見 「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学

ミラーニューロンの発見 「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学
マルコ・イアコボーニ
塩原通緒 訳
早川書房
ハヤカワ新書juice002
2009年5月20日 初版印刷 /2009年5月25日 初版発行
ISBN:978-4-15-320002-9 C0245
363ページ
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Mirroring People: The New Science of How We Connect with Others
by Marco Iacoboni
2008
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 ニューロンや或いはシナプス、といった話は少しは聞いたことがあって知っているつもりだったが、今回のミラーニューロンについては、まったく初めて聞く話題だった。読んでみての印象は、面白かったということと、そして、思っていた以上に歯応えがあるように感じたということだ。

 ハヤカワ新書juiceの第1回の配本ということもあり、出来のいい作品を持ってきたということも勿論あると思うが、それでも質は高いと思う。通常のいわゆる新書よりも、サイズも大きくページ数も多いが、1、2時間で簡単に読むことが出来るものと違って、やはり、それなりに難しくもあった。特に、図表が少ない(というか殆どない、ほんの数点ほど)ことや、いきなりミラーニューロンの発見の話が始まり、そもそもミラーニューロンがどういうものなのかわからないまま話が進んでいったりと、最初のうちは特に難しく感じた。

 また、同時期に紀伊国屋書店から出た「ミラーニューロン」もぱらぱらとめくってみたが、こちらは実験の細かいデータなどの結果がでていて、もっと専門レベルが高いというか、よく知らない素人には少し敷居が高いというか、そもそも対象とする読者が違っているように思う。

 それに比べると、本書は、一般のレベルの読者向けに書いてあるようで、読んでみて明快な説明だったと思う。感じとしては、同じく早川書房の「予想どおりに不合理―行動経済学が明かす「あなたがそれを選ぶわけ」」の脳科学の観点からのアプローチ、という表現が近いと思う。少なくとも、両者の書き方などは、非常に筆者が実際にその分野のエキスパートであるとか、さまざまな実験の結果などを多く引用している点など、共通点が多いと思う。

 新書としてみた場合、この1365円という価格は確かに高いと思うが、ミラーニューロンという非常に新しいテーマで日本語の文献が(前述の書籍を除いて)殆ど、特に一般向けの書籍がないこと、また、本書の内容を考えた場合、この値段はむしろ安いと思う。

2009年6月12日金曜日

ネコソギラジカル(中)赤き征裁vs.橙(=だいだい)なる種(=しゅ)

ネコソギラジカル(中)赤き征裁vs.橙(=だいだい)なる種(=しゅ)
西尾維新
講談社
講談社文庫 に-32-8 西尾維新文庫
2009年4月15日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-276337-0 C0193
611ページ
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 ネコソギラジカル(上)十三階段(講談社文庫)に続く戯言シリーズの最終作の第2冊目。

 今回の文庫化はシリーズを通して、基本的に本文はノベルス版との違いはない。表紙のイラストや栞、あとがきが付くくらいでほぼ当時のままになっている。さすがに最初の頃の鬱陶しい感じは弱まってきていると思うが、それでも600ページ超の文庫はちょっときつい。

 まもなく下巻も文庫で出るが、そのほかのシリーズなどもまた、文庫化していってほしいと思う。個人的な印象としては、このシリーズよりも他のシリーズのほうが完成度としてはいいと思う。

2009年6月9日火曜日

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)#4. Hero

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)#4. Hero
三浦勇雄
メディアファクトリー
MF文庫J み-01-12
2009年1月30日 初版第一刷発行
ISBN:978-4-8401-2602-1 C0193
259ページ
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シリーズ4作目。

今回は前作までの、都市内でそこに現れた相手撃退するというパターンとは違い、珍しく遠征している。ただ、移動中の場面におおくのページが割かれるということもなく、動き回っている場所がいつもとは違うというだけでパターンというか構造は基本的に一緒。

前作までとの違いというと、主人公2人が随分と素直になったというか、今までだったら外に出さないようにしていたようなところまで含めた感情を出すようになったというあたりだと思う。角が取れたというか、丸くなったというか、そんな感じ。

今作は、物語全体の流れの中からいうと、かなり大事件が起きているが、作品全体の雰囲気はどちらかというと、のんびりしているというか、第1幕と第2幕の間、或いは閑話休題のような雰囲気だったと思う。もしかすると、前作までと比べて、悪意が少ないからそう感じるのかもしれない。まだ、聖剣が聖剣たる所以が何なのかなど、重要な要素がオープンになっていないが、色々と物語が動き出す要素は揃って来ているので、次作を楽しみにしたい。

ミレニアム2 火と戯れる女〔下〕

ミレニアム2 火と戯れる女〔下〕
スティーグ・ラーソン
ヘレンハルメ美穂・山田美明 訳
早川書房
早川書房 117240
2009年4月10日 初版印刷 /2009年4月15日初版発行
ISBN:978-4-15-209020-1 C0097
452ページ
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Flickan Som Lekte Med Elden
by Stieg Larsson
2006
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 ミレニアムシリーズ3部作の2作目の下巻。このシリーズは1冊ずつが独立した作品となっているので、2作目から読むことも可能だが、登場人物の多くは、1作目で出てきた人物ばかりだし、また、書かれている内容にしても、第1作を前提としているので、順番通りに読む方が良い。

 読んでみての感想としては、1作目よりもこちらの方が面白いと感じた。1作目が過去の事件を軸に物語が展開していたのに対し、今作では、過去のある出来事が重要な意味を持つという点はあるが、現在進行形で動いている事件が中心にあるので、緊張感という意味では前作よりもあるし、より躍動感があるように思う。

 加えて、読む側が各キャラクターがどういう人物でどういうパーソナリティであるかということを知っているというのも、前作を読んだときとは大きく異なっている。その辺りも、ほぼはじめから物語に入って行けた一つの要因かもしれない。

 とりあえず、2作目までは読んだが、次の第3作が、まだ出ていない(英語などでも2009年10月頃らしい)ので、しばらくはお預け状態になる。日本語版がいつ頃出るかはわからないが、いくつかの状況もふまえたうえで、個人的な予想では、英語などの諸外国語版とそう変わらない時期、おそらく、それより早いということはないだろうと思う。もし、英語などよりも幾らか遅れるようなら、英語ででも読むことになると思う。

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2009年6月12日 追記
 ミレニアム三部作の3冊目の日本語訳のタイトル、発売日が発表された。

 タイトルは『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』(上・下)。英語版のタイトルが"The GIrl Who Kicked the Hornets' Nest"(=蜂の巣を蹴る少女)となっており、これまでの2冊はスウェーデン語版のタイトルではなく、英語版のタイトルにそろえていたが3冊目ではオリジナルタイトルを採用しているようだ。

 また、英語版等の発売が2009年10月ということを考えると、日本語版の7月9日というのはずいぶんと早い。うれしい誤算だった。

 詳しい情報は以下の早川書房のニュースリリース(2009年6月11日)から(あらすじなどもあり)。
早川書房のニュースリリース(2009年6月11日)のページ


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2009年6月13日 更に追記
 早川書房の刊行予定のページを見ると、タイトルが『ミレニアム3 蜂の巣をつつく女』(上・下)となっている。どちらのタイトルが正しいかは不明。
早川書房のページ

2009年6月2日火曜日

ミレニアム2 火と戯れる女〔上〕

ミレニアム2 火と戯れる女〔上〕
スティーグ・ラーソン
ヘレンハルメ美穂・山田美明 訳
早川書房
早川書房 117239
2009年4月10日 初版印刷 /2009年4月15日初版発行
ISBN:978-4-15-209019-5 C0097
462ページ
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Flickan Som Lekte Med Elden
by Stieg Larsson
2006
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 感想は下巻と一緒に。

 P.S.
 L・C・パルノー博士『数学のさまざまな側面』(ハーバード大学出版局)をチェック。本当に存在するか、簡単に調べた限りでは、該当する著者名は見つからない。

2009年5月30日土曜日

リッターあたりの致死率は THANATOS(=タナトス)

リッターあたりの致死率は THANATOS(=タナトス) kill on purpose per liter
汀こるもの
講談社
講談社ノベルス ミI-04
2009年4月7日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-06-182645-8 C0293
254ページ
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 第37回メフィスト賞を獲得した「パラダイス・クローズド THANATOS」にはじまるシリーズの4作目にして最新作。

 読んでみての感想としては、ちょっと物足りないというか、大人しめだな、という印象。孤島の館での密室殺人だったり、爆発事件といった派手目な事件を扱っていたせいかもしれないし、あるいは、表向き犯人が分かっているためかもしれないし、単にこちらが慣れただけかもしれないが、この先何が起こるか分からない、という読んでいての緊張感というのは、あまり感じなかった。

 前作3作目と同じく、今作も応募作品らしいが、何となく最初の2作と比べると質が落ちるというか、多少のギャップがあるように思う。ただ、1作目から割とコンスタントに作品が出ているので、その点は非常にいいと思う。

 あと、それから、このシリーズここまでそれなりに主要登場人物だと思う一人がこの次以降どうなるのか、というのも少しだけ気になる。今作での1番のビッグイベントはそれか。うーん、やはり小さい気がする。

残酷号事件 the cruel tale of ZANKOKU-GO

残酷号事件 the cruel tale of ZANKOKU-GO
上遠野浩平
講談社
講談社ノベルス カO-05
2009年3月5日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182636-6 C0293
318ページ
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 「殺竜事件―a case of dragonslayer」にはじまる一連のシリーズの5作目にして最新作。

 この作者の書いた本は、どれも独特の世界観と言うか、独特の味のする作品ばかりだか、このシリーズは特にその傾向が強いと思う。このシリーズは勿論シリーズキャラクラーはいるし、今作でも登場するが、その登場場面は少なく、本の顔を見せる程度にしか出てこない。人物よりもむしろ、設定とか世界観そのものがこのシリーズの共通項というか、主役となっている。

 勿論この1作のみを読んで、その独特の空気を味わうことも出来るが、やはり1作目から通して読む方が、その特徴はよくわかると思う。願わくはもう少し頻繁にシリーズを更新して欲しい。次が出るのがまた数年後では、少々寂しい。

2009年5月28日木曜日

1997年―世界を変えた金融危機

1997年―世界を変えた金融危機
竹森俊平
朝日新聞社
朝日新書 074
2007年10月30日 第1刷発行
ISBN:978-4-02-273174-6 C0233
245ページ
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 1997年ごろの東アジアでの通貨危機に始まり、その後の経済を特徴付けるものとしてナイト流不確実性についてだいぶページを割いて説明している。書かれたのが2007年であるため、現在大きな問題となっている、サブプライムに端を発する一連の経済危機についてはあまり多く書かれていないが、それを差し引いても、いろいろと得られるところはあると思う。特に、ナイト流不確実性についての説明をこれだけ詳しく書いた本というのは、なかなか見たことがないのでそれを理解するというだけでも、充分に元が取れると思う。

 また、文章が上手というか、非常に読みやすい文章で書いてあるので、専門用語など見慣れない語句が出てきても、特に問題なく読める。さらに、巻末に参考文献が付いているところもいい。専門書では当然としても、新書などだと、そういったレファレンスを省略する人が時々いるが、このあたりをきちんとしてあるというのも、とても大事な要素だと思う。また、もう少ししたら、今回の金融危機についてどう考えているのかというのも聞いてみたいと思う。

2009年5月25日月曜日

OZ(=オズ)の迷宮

OZ(=オズ)の迷宮
柄刀一
光文社
光文社文庫 つ-12-7
2006年5月20日 初版第1刷発行
ISBN:4-334-74059-6 C0193
512ページ
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 以前、同じ作者の密室キングダムを読んで面白かったので、同じシリーズ探偵の作品を読んでみた。密室キングダムを読んだときには、この探偵でシリーズ化は無理だろうと踏んでいたがその後探してみたらあったので、期待しつつ読んでみた。

 まず、これが短編集であったという辺りでがっくりときた。しかもその第1話のタネというか、解決の仕方もかなりひどいというか、強引なものだった。

 が、その後の何篇かはなかなか出来がいい、というか、水準は高いと思う。また、期待したシリーズ探偵が後のほうの短編まで登場して来なかったり、探偵がとある理由で交代したり、一つ一つの作品だけでなく、この短編集の中にもいろいろと仕掛けが仕掛けられていて、その辺も割りと新鮮というか面白いアイディアだと思う。

2009年5月21日木曜日

リリアンと悪党ども

リリアンと悪党ども
トニー・ケンリック
上田公子 訳
角川書店
角川文庫 ケ-1-1
昭和55年3月12日 初版発行 /昭和63年9月26日 7版発行 /平成10年9月25日 改版初版発行
ISBN:4-04-253103-2 C0197
396ページ
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Stealing Lilian
by Tony Kenrick
1975
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 この作品は、「殺人はリビエラで(角川文庫 赤-531-2)」、「スカイジャック(角川文庫)」に続くトニー・ケンリックの第3作目らしい。

 トニー・ケンリックの本は初めて読んだが、まず、前半部分を読んでいての印象は良く言えばテンポが良い、悪く言えばばたばたしているというか、雑な作りになっている、という印象を受けた。特に最初の何章かは、登場人物の紹介といったことが目的だろうから、やむを得ない気もするが、その辺り最近の作品だともう少しいろいろ書き込んでいそうな気もする。

 それに対して、誘拐事件が起きた中盤以降は、起きた出来事などケ高丁寧に書いているという印象を受けた。その辺は前半とのギャップかもしれない。

 作者の紹介として、「奇想天外なプロット」や「ユニークなキャラクター設定」といった紹介をされていたが、読んでみるとミステリとして読んでも、以外といっては失礼かもしれないが、きちんと事件を解決していたり、また、最後のオチというのもなかなか洒落ていたり、ユーモア推理という言葉で片付けるのは勿体ないと思えるくらい楽しめた作品だった。

とある魔術の禁書目録(=インデックス)⑰

とある魔術の禁書目録(=インデックス)⑰
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-19
2009年3月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867591-8 C0193
383ページ
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 シリーズ本編の第17作。

 今作では、vs「ローマ正教神の右席」はひとまず中断して、イギリスでの事件の調査のために、飛行機に乗るというあたりからスタートしている。そして、案の定イギリスへ向かう飛行機の機上でハイジャック事件に巻き込まれ、着いたら着いたでいろいろ怪しい集団が動いていたりと、今作も盛りだくさんになっている。

 ただ、次巻に続くため全体として、主人公の活躍というか、動いている場面が少ないような印象があるし、色々な要素が込み入っていてちょっとやり過ぎのような気もする。また、いろいろな流派の術式とか、道具とかそういうものがどんどん出てきて、巻が進むごとにストーリー以上にパワーバランスがインフレ状態になっているのが少し気になる。

 今回のように、次巻に続く形を取る場合は他の作品でもそうだが、早く次を読めるようにして欲しい。

2009年5月19日火曜日

イスカリオテII

イスカリオテII
三田誠
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 さ-10-6
2009年3月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867594-9 C0193
365ページ
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 シリーズ2作目。

 前作で既に世界観などの設定はだいたい把握出来た。そして、今作では新キャラが出てきたり、寝ていたはずの存在が覚醒したり作品全体を大きく左右しそうなこともちらほらと出てきている。どうやら、当初予想していたよりも物語が進むのが早くなりそうだし、その一方で、物語の革新に触れるような謎がまだいくつも明かされないままなので、今後も色々と展開がありそうで、読むのが楽しみだ。

 また、主要な登場人物たちが皆、色々な秘密を抱えているためか、自分の中でいろいろ悩んだり葛藤したりしている。これは1巻でもそうだったし、おそらく今後も最後まで悩み続けそうで、その辺りもまた、一つ注目するところかもしれない。

 また、流石にキャリアがあるというか、作品全体の完成度なども高く、不満を感じることもなく読むことが出来た。

2009年5月18日月曜日

ZOKURANGER

ZOKURANGER
森博嗣
光文社
2009年4月25日 初版1刷発行
ISBN:978-4-334-92658-8 C0093
286ページ
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 「ZOKU(文庫)」、「ZOKUDAM(ノベルス)」に続くZOKUシリーズの第3作。

 前2作も登場する人物は同じでもそれぞれが割り振られている役、或いは物語を見る視点が異なっている、という形だったけれど、今作でも同じく同じ人物たちが登場する。さらに、今作では前2作までと違い、それぞれ1話ごとに異なった人物の視点から見ている。

 今作ZOKURANGERの舞台は大学で、品川ロミが大学に移動というか、転職してくる。そして、何やら怪しげな委員会に出ることになり、更に、活動内容もどことなく怪しくてというところからスタートする。

 タイトルから分かるように、今作でのモチーフは戦隊ものとなっている。そして、当然、例の原色のコスチュームを着用するという話になる。このコスチュームを着て何かと戦う、とかなにかの活動を行うといった大きな事件はほとんど起きないけれど、同じ事象を立場を変えてみて見ると人によってだいぶ抱いている印象が違うウというのは、ある意味では当たり前のことではあるが、面白いと思う。また、最初は嫌がっていた品川が、いつの間にか色々なことを受け入れているというのも妙にリアリティがあって面白いと思う。

DOG & DOLL

DOG & DOLL
森博嗣
TOKYO FM 出版
2009年3月24日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-88745-212-1 C0095
173ページ
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 森博嗣によるエッセイ集。内容はTOKYO FMの携帯音楽サイトに連載されていたもの。

 連載次期が2008年の1月からほぼ1年分になっている。この時期はダ・ヴィンチのサイトでMORI LGOG ACADEMYを毎日書いている時期でもあるので、書かれている内容の多くは以前それらブログで目にしたことのある話で、全く初めて見るという話は、それほど多くなかった。しかし、ブログで触れていた内容でも、ブログに書かれていたことの続きが書かれているということもいくつかあったし、また、西尾維新氏らとの対談でどんな話をしたのか、など色々興味があったところも確認出来たので個人的には満足。

 内容は音楽エッセイというよりも、普通のエッセイと言うか、以前書いていたブログと非常に近いものがあると感じる。その他、思うところとしては、携帯サイトという形態が不親切というか、気に入らない。以前の、スカイ・イクリプスの連載のときも、見るためには確か登録を必要としたと思うが、それによって、確実に断念する人はいると思う。出版社(この場合はラジオ局?)側にも考えがあってしていることだとは思うが、多くの人に認識して欲しいなら、普通に誰でも見れる状態にしておく方がいいと思う。携帯電話でネット、或いはブログを見る人がどれほどいるか知らないが、携帯というメディアは、長めの文章を見るのには適していないと思う。

2009年5月14日木曜日

マグレと紅白歌合戦 間暮警部の事件簿

マグレと紅白歌合戦 間暮警部の事件簿
鯨統一郎
小学館
小学館文庫 く-2-3
2009年1月13日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-09-408342-2 C0193
329ページ
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 鯨統一郎によるマグレ警部シリーズの第3弾。バカミス第3弾。

 第1作「「神田川」見立て殺人」では短編1話につき1曲、第2作「間暮警部の事件簿 マグレと都市伝説」では短編1話につき1人の歌手のメドレー+都市伝説、そしてこの第3作においては、短編集からついに長編へと順調に?パワーアップしてきた。が、物語としては前2作と同じ緩いテイストなので緩く読める。

 前作名前だけ出てきて、最後まで謎のままで終わったブラックローレライについてもひとまず解決し、物語的にも一段落ついたので、今作で完結のような気もしないでもないが、特にそういう宣言、或いは宣伝文も見当たらないので、また1年後くらいに出るかもしれない。まあ、期待せずに待ってみようと思う。

 内容としては相変わらず、ただ短編から長編へとだいぶ長くなっていることもあり、最初の導入の当たりなど少し勝手が違っている。とくに、事件にマグレ警部が関わってくるようになるまでに、100ページ以上かかっており、その間かなりの数の殺人事件が起こっている。そうそう、今作では見立て連続殺人事件になっている。その辺りも前2作よりもパワーアップしている。以後、解決までは、相変わらず歌を歌って、というパターンで進んでいく。歌う曲の数も半端ではないので1曲1曲は流し気味になっているが、細かいトリビアネタが入っていたり、というのも前と同じだ。

 結局1番の謎は、このシリーズが続くのかどうか、ということか。

天才魔法少女トリオがいく! だったらあたしが戦ってやる

天才魔法少女トリオがいく! だったらあたしが戦ってやる
山本豪志
徳間書店
徳間ノベルズEdge
2009年3月31日 初刷
ISBN:978-4-19-850820-3 C0293
315ページ
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 山本豪志による天才魔法少女シリーズの2作目。前作「天才魔法少女トリオがいく! それは、卒業からはじまるのだよ」から数ヶ月経過し、魔法学校の生徒だった主人公3人も軍に入隊、その休暇中に事件に巻き込まれるという場面からスタートする。

 休暇を楽しみつつ、この残忍な殺人事件の捜査に協力しつつ、その街の悪漢?たちとのバトルしつつ、という感じで進んでいく。

 いくつか気になるところとしては、まず、「残忍な殺人事件が起きた!」と裏表紙の説明にあるのは間違いないのだが、それ以上に戦闘などで負傷、或いは死亡する人間が多すぎて、正直言って「残忍な殺人事件」がかなりかすんで見える、というか普通の事件にしか感じられない。その辺りは勿体ないし、魔法というガジェットは、ミステリの要素としても、もっと色々使い道があると思う。

 それから、全体の印象として、何か決定的に欠けているというわけではないが、分量と比べても物足りないという印象がある。また、このシリーズそのものが、どこに向かおうとしているかがイマイチ読めないというのも、このモヤモヤ感の原因かもしれない。

 一つ一つのパーツとしては色々と面白いものがあると思うので、もう一段上のレベルの作品を期待したい。

 それから、一応ミステリの要素は満たしているとは思うが、読んでみてそういう印象はほとんど受けないので、あまりミステリという部分を前面に押さない方が良いと思う。

2009年5月13日水曜日

悪魔はすぐそこに

悪魔すぐそこに
D・M・ディヴァイン
山田蘭 訳
東京創元社
創元推理文庫 M-テ-7-1 240-03
2007年9月28日 初版
ISBN:978-4-488-24003-5 C0197
409ページ
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Devil at Your Elbow
by D. M. Devine
1966
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 全体のストーリーとしては、殺人事件が続けて発生するという、割とシンプルな作りになっている。しかし、それでも視点を変えることにより、その単純さをあまり感じること無く、読むことができ、とても上手く表現していると思う。

 読んでみての面白さというのもあるが、全体の空気感というのが非常に良い、というか自分の好みに合っている。大学という舞台を生き生きと書けていて、その部分もとても好印象だった。

 この作者の作品は、シリーズ作品ではないようだが、他の作品も読んでみたいと感じさせるものだった。

2009年5月9日土曜日

マグレと都市伝説 間暮(=マグレ)警部の事件簿

マグレと都市伝説 間暮(=マグレ)警部の事件簿
鯨統一郎
小学館
小学館文庫 く-2-2
2007年4月11日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-09-408162-6 C0193
364ページ
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 鯨統一郎による間暮警部シリーズの2作目。前作「「神田川」見立て殺人」では、1話につき1曲の歌謡曲、というパターンだったが、今作では1話につき1人のヒットメドレー、加えて都市伝説というように前作よりもパワーアップしている。

 前作は雑誌に連載していたものを集めた形だったが、今作は書き下ろしになっている。ということは、この作品のスタイル、或いはテイストを気に入った読者が大勢いたのか、もしくは小学館の内部にそういった人がいたのか、その辺は分からないが多分そういうことだと思う。

 内容的には前作と同じく、ミステリというよりもコントに近いようなテイストで、前作のラストで警察を離れたはずの間暮警部と矢田貝刑事は特命刑事というよくわからない役職で出てくる。さらに、主人公?小林君の兄が出てきたり、あるいはブラックローレライというなんだか分からない組織の名前が出てくる。そして、それらの謎はほとんど説明の無いまま終わってしまう。これまた、前作と同じく気楽に読める1冊だと思う。