詠坂雄二
光文社
2008年7月25日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-334-92622-9 C0093
259ページ
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☆x4.5〜5(前作『リロ・グラ・シスタ little glass sister』に対する評価も低かったようだが、前作も含めて個人的には満足出来る水準にあると思う)
本書は2007年、『リロ・グラ・シスタ―the little glass sister
本作品は、86件もの殺人を告白し死刑になった、佐藤誠という人物が起こした殺人の中で、最も際立った特徴を持った遠海(=とおみ)事件を通じて、事件の真実、或いは彼自身に迫ろう、という意図のもと書かれた作品、という体裁を取っている。また、この作品の著者は犯罪学者で、それを小説家である詠坂雄二が文章を書く、しかもこの作品より前にもう1冊、同種の意図の下に書かれた作品がある(タイトルは「昨日の殺戮儀 yesterday's killer」勿論架空の小説で、実在はしない)、という設定となっている。
この小説内でのタイトルの遠海事件そのものの扱いは必ずしも大きくはない。むしろ単なるステップという以上の意味はないと思う。本書の前半は確かに、遠海事件(遺体の首を切断した連続殺人(被害者は二人))を警察が調査する過程を書いているが、これといった証拠が挙がらずに、1年ほどで捜査本部は解散、後に、別の事件で自首してきた佐藤誠が告白する…という構成になっている。そして、そこから先に、仕掛けられた様々な仕掛けが効いてくるという感じになっている。
前作においてもそうだったが、描かれている事件以外に、文章全体に仕掛けられた、もう一回り大きな仕掛けというのが、大きな特徴になっている。本作を実際の事件の犯罪実録小説という形を取っていることについても、その一つであるし、本の後ろに架空の前作「昨日のー」の架空の広告を入れるなど、その辺りの工夫、或いはこだわりが徹底されているのは、個人的には非常に好感が持てる。仕掛けられた数々の仕掛けのバランス感覚も非常に優れていて、最後まで楽しめる作品だと思う。
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