2009年4月1日水曜日

生物と無生物のあいだ

生物と無生物のあいだ
福岡伸一
講談社
講談社現代新書 1891
2007年5月20日 第1刷発行 /2007年8月9日 第7刷発行
ISBN:978-4-06-149891-4 C0245
285ページ
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 ☆x4。良質なポピュラーサイエンス。

 本書は分子生物学を研究する著者が、生物と無生物について、特に「動的平衡」という考え方を用いて、その両者のあいだにある差異について書いてある本。主に、2つの部分からなる。前半部分では、生物学、特に20世紀に大きく発展した遺伝子などを扱う分子生物学の発展の歴史を概略している。後半部分では、それらをうけて著者自身がどのような研究を行ってきたのかなどの、比較的狭い分野についての記述がなされている。また、前者は生物学の発展の歴史を辿るともに、それらに関わった学者たちの、あるいは彼らの研究の別の側面についても同時に描いている。

 読み終えてみて、非常に面白かったと思う。帯には、「極上の科学ミステリー」といった文句が並んでいるが、むしろ本書の内容からすると、「良質なポピュラーサイエンス」といったところだと思う。海外ではサイモン・シンの「フェルマーの最終定理 (新潮文庫)」などの一連の著作に代表されるように多くの書籍があるが、日本人が日本語書いたものでこれだけ読みやすいものはそうは無いと思う。その意味でも、本書の存在意義は大きいと思う。

 サイモン・シンの著作との相違点は、サイモン・シンの場合は彼自身がその分野の専門家ではないが、福岡氏は正にこの分野を専門にしているというところか。また、フェルマーの最終定理がもう決着のついた問題を扱っているのに対し、本書の終盤で触れられている問題は、まだ解明されていない問題だというのも一つの違いであると思う。

 本書は、重要な科学上の問題をわかりやすく書いてあるという点で非常に優れていると思うし、また、野口英世などが世間で思われているような「偉人」とは違った人物であったようだというのも興味深く読むことが出来た。一方で、本書の最終盤においては、やや尻切れとんぼな感じがどうしても拭いきれないところが少し残念な気がする。

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