2009年5月30日土曜日

リッターあたりの致死率は THANATOS(=タナトス)

リッターあたりの致死率は THANATOS(=タナトス) kill on purpose per liter
汀こるもの
講談社
講談社ノベルス ミI-04
2009年4月7日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-06-182645-8 C0293
254ページ
----------

---------------
 第37回メフィスト賞を獲得した「パラダイス・クローズド THANATOS」にはじまるシリーズの4作目にして最新作。

 読んでみての感想としては、ちょっと物足りないというか、大人しめだな、という印象。孤島の館での密室殺人だったり、爆発事件といった派手目な事件を扱っていたせいかもしれないし、あるいは、表向き犯人が分かっているためかもしれないし、単にこちらが慣れただけかもしれないが、この先何が起こるか分からない、という読んでいての緊張感というのは、あまり感じなかった。

 前作3作目と同じく、今作も応募作品らしいが、何となく最初の2作と比べると質が落ちるというか、多少のギャップがあるように思う。ただ、1作目から割とコンスタントに作品が出ているので、その点は非常にいいと思う。

 あと、それから、このシリーズここまでそれなりに主要登場人物だと思う一人がこの次以降どうなるのか、というのも少しだけ気になる。今作での1番のビッグイベントはそれか。うーん、やはり小さい気がする。

残酷号事件 the cruel tale of ZANKOKU-GO

残酷号事件 the cruel tale of ZANKOKU-GO
上遠野浩平
講談社
講談社ノベルス カO-05
2009年3月5日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182636-6 C0293
318ページ
----------

---------------
 「殺竜事件―a case of dragonslayer」にはじまる一連のシリーズの5作目にして最新作。

 この作者の書いた本は、どれも独特の世界観と言うか、独特の味のする作品ばかりだか、このシリーズは特にその傾向が強いと思う。このシリーズは勿論シリーズキャラクラーはいるし、今作でも登場するが、その登場場面は少なく、本の顔を見せる程度にしか出てこない。人物よりもむしろ、設定とか世界観そのものがこのシリーズの共通項というか、主役となっている。

 勿論この1作のみを読んで、その独特の空気を味わうことも出来るが、やはり1作目から通して読む方が、その特徴はよくわかると思う。願わくはもう少し頻繁にシリーズを更新して欲しい。次が出るのがまた数年後では、少々寂しい。

2009年5月28日木曜日

1997年―世界を変えた金融危機

1997年―世界を変えた金融危機
竹森俊平
朝日新聞社
朝日新書 074
2007年10月30日 第1刷発行
ISBN:978-4-02-273174-6 C0233
245ページ
----------

---------------
 1997年ごろの東アジアでの通貨危機に始まり、その後の経済を特徴付けるものとしてナイト流不確実性についてだいぶページを割いて説明している。書かれたのが2007年であるため、現在大きな問題となっている、サブプライムに端を発する一連の経済危機についてはあまり多く書かれていないが、それを差し引いても、いろいろと得られるところはあると思う。特に、ナイト流不確実性についての説明をこれだけ詳しく書いた本というのは、なかなか見たことがないのでそれを理解するというだけでも、充分に元が取れると思う。

 また、文章が上手というか、非常に読みやすい文章で書いてあるので、専門用語など見慣れない語句が出てきても、特に問題なく読める。さらに、巻末に参考文献が付いているところもいい。専門書では当然としても、新書などだと、そういったレファレンスを省略する人が時々いるが、このあたりをきちんとしてあるというのも、とても大事な要素だと思う。また、もう少ししたら、今回の金融危機についてどう考えているのかというのも聞いてみたいと思う。

2009年5月25日月曜日

OZ(=オズ)の迷宮

OZ(=オズ)の迷宮
柄刀一
光文社
光文社文庫 つ-12-7
2006年5月20日 初版第1刷発行
ISBN:4-334-74059-6 C0193
512ページ
----------

---------------
 以前、同じ作者の密室キングダムを読んで面白かったので、同じシリーズ探偵の作品を読んでみた。密室キングダムを読んだときには、この探偵でシリーズ化は無理だろうと踏んでいたがその後探してみたらあったので、期待しつつ読んでみた。

 まず、これが短編集であったという辺りでがっくりときた。しかもその第1話のタネというか、解決の仕方もかなりひどいというか、強引なものだった。

 が、その後の何篇かはなかなか出来がいい、というか、水準は高いと思う。また、期待したシリーズ探偵が後のほうの短編まで登場して来なかったり、探偵がとある理由で交代したり、一つ一つの作品だけでなく、この短編集の中にもいろいろと仕掛けが仕掛けられていて、その辺も割りと新鮮というか面白いアイディアだと思う。

2009年5月21日木曜日

リリアンと悪党ども

リリアンと悪党ども
トニー・ケンリック
上田公子 訳
角川書店
角川文庫 ケ-1-1
昭和55年3月12日 初版発行 /昭和63年9月26日 7版発行 /平成10年9月25日 改版初版発行
ISBN:4-04-253103-2 C0197
396ページ
----------
Stealing Lilian
by Tony Kenrick
1975
----------

---------------
 この作品は、「殺人はリビエラで(角川文庫 赤-531-2)」、「スカイジャック(角川文庫)」に続くトニー・ケンリックの第3作目らしい。

 トニー・ケンリックの本は初めて読んだが、まず、前半部分を読んでいての印象は良く言えばテンポが良い、悪く言えばばたばたしているというか、雑な作りになっている、という印象を受けた。特に最初の何章かは、登場人物の紹介といったことが目的だろうから、やむを得ない気もするが、その辺り最近の作品だともう少しいろいろ書き込んでいそうな気もする。

 それに対して、誘拐事件が起きた中盤以降は、起きた出来事などケ高丁寧に書いているという印象を受けた。その辺は前半とのギャップかもしれない。

 作者の紹介として、「奇想天外なプロット」や「ユニークなキャラクター設定」といった紹介をされていたが、読んでみるとミステリとして読んでも、以外といっては失礼かもしれないが、きちんと事件を解決していたり、また、最後のオチというのもなかなか洒落ていたり、ユーモア推理という言葉で片付けるのは勿体ないと思えるくらい楽しめた作品だった。

とある魔術の禁書目録(=インデックス)⑰

とある魔術の禁書目録(=インデックス)⑰
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-19
2009年3月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867591-8 C0193
383ページ
----------

---------------
 シリーズ本編の第17作。

 今作では、vs「ローマ正教神の右席」はひとまず中断して、イギリスでの事件の調査のために、飛行機に乗るというあたりからスタートしている。そして、案の定イギリスへ向かう飛行機の機上でハイジャック事件に巻き込まれ、着いたら着いたでいろいろ怪しい集団が動いていたりと、今作も盛りだくさんになっている。

 ただ、次巻に続くため全体として、主人公の活躍というか、動いている場面が少ないような印象があるし、色々な要素が込み入っていてちょっとやり過ぎのような気もする。また、いろいろな流派の術式とか、道具とかそういうものがどんどん出てきて、巻が進むごとにストーリー以上にパワーバランスがインフレ状態になっているのが少し気になる。

 今回のように、次巻に続く形を取る場合は他の作品でもそうだが、早く次を読めるようにして欲しい。

2009年5月19日火曜日

イスカリオテII

イスカリオテII
三田誠
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 さ-10-6
2009年3月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-867594-9 C0193
365ページ
----------

---------------
 シリーズ2作目。

 前作で既に世界観などの設定はだいたい把握出来た。そして、今作では新キャラが出てきたり、寝ていたはずの存在が覚醒したり作品全体を大きく左右しそうなこともちらほらと出てきている。どうやら、当初予想していたよりも物語が進むのが早くなりそうだし、その一方で、物語の革新に触れるような謎がまだいくつも明かされないままなので、今後も色々と展開がありそうで、読むのが楽しみだ。

 また、主要な登場人物たちが皆、色々な秘密を抱えているためか、自分の中でいろいろ悩んだり葛藤したりしている。これは1巻でもそうだったし、おそらく今後も最後まで悩み続けそうで、その辺りもまた、一つ注目するところかもしれない。

 また、流石にキャリアがあるというか、作品全体の完成度なども高く、不満を感じることもなく読むことが出来た。

2009年5月18日月曜日

ZOKURANGER

ZOKURANGER
森博嗣
光文社
2009年4月25日 初版1刷発行
ISBN:978-4-334-92658-8 C0093
286ページ
----------

---------------
 「ZOKU(文庫)」、「ZOKUDAM(ノベルス)」に続くZOKUシリーズの第3作。

 前2作も登場する人物は同じでもそれぞれが割り振られている役、或いは物語を見る視点が異なっている、という形だったけれど、今作でも同じく同じ人物たちが登場する。さらに、今作では前2作までと違い、それぞれ1話ごとに異なった人物の視点から見ている。

 今作ZOKURANGERの舞台は大学で、品川ロミが大学に移動というか、転職してくる。そして、何やら怪しげな委員会に出ることになり、更に、活動内容もどことなく怪しくてというところからスタートする。

 タイトルから分かるように、今作でのモチーフは戦隊ものとなっている。そして、当然、例の原色のコスチュームを着用するという話になる。このコスチュームを着て何かと戦う、とかなにかの活動を行うといった大きな事件はほとんど起きないけれど、同じ事象を立場を変えてみて見ると人によってだいぶ抱いている印象が違うウというのは、ある意味では当たり前のことではあるが、面白いと思う。また、最初は嫌がっていた品川が、いつの間にか色々なことを受け入れているというのも妙にリアリティがあって面白いと思う。

DOG & DOLL

DOG & DOLL
森博嗣
TOKYO FM 出版
2009年3月24日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-88745-212-1 C0095
173ページ
----------

---------------
 森博嗣によるエッセイ集。内容はTOKYO FMの携帯音楽サイトに連載されていたもの。

 連載次期が2008年の1月からほぼ1年分になっている。この時期はダ・ヴィンチのサイトでMORI LGOG ACADEMYを毎日書いている時期でもあるので、書かれている内容の多くは以前それらブログで目にしたことのある話で、全く初めて見るという話は、それほど多くなかった。しかし、ブログで触れていた内容でも、ブログに書かれていたことの続きが書かれているということもいくつかあったし、また、西尾維新氏らとの対談でどんな話をしたのか、など色々興味があったところも確認出来たので個人的には満足。

 内容は音楽エッセイというよりも、普通のエッセイと言うか、以前書いていたブログと非常に近いものがあると感じる。その他、思うところとしては、携帯サイトという形態が不親切というか、気に入らない。以前の、スカイ・イクリプスの連載のときも、見るためには確か登録を必要としたと思うが、それによって、確実に断念する人はいると思う。出版社(この場合はラジオ局?)側にも考えがあってしていることだとは思うが、多くの人に認識して欲しいなら、普通に誰でも見れる状態にしておく方がいいと思う。携帯電話でネット、或いはブログを見る人がどれほどいるか知らないが、携帯というメディアは、長めの文章を見るのには適していないと思う。

2009年5月14日木曜日

マグレと紅白歌合戦 間暮警部の事件簿

マグレと紅白歌合戦 間暮警部の事件簿
鯨統一郎
小学館
小学館文庫 く-2-3
2009年1月13日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-09-408342-2 C0193
329ページ
----------

---------------
 鯨統一郎によるマグレ警部シリーズの第3弾。バカミス第3弾。

 第1作「「神田川」見立て殺人」では短編1話につき1曲、第2作「間暮警部の事件簿 マグレと都市伝説」では短編1話につき1人の歌手のメドレー+都市伝説、そしてこの第3作においては、短編集からついに長編へと順調に?パワーアップしてきた。が、物語としては前2作と同じ緩いテイストなので緩く読める。

 前作名前だけ出てきて、最後まで謎のままで終わったブラックローレライについてもひとまず解決し、物語的にも一段落ついたので、今作で完結のような気もしないでもないが、特にそういう宣言、或いは宣伝文も見当たらないので、また1年後くらいに出るかもしれない。まあ、期待せずに待ってみようと思う。

 内容としては相変わらず、ただ短編から長編へとだいぶ長くなっていることもあり、最初の導入の当たりなど少し勝手が違っている。とくに、事件にマグレ警部が関わってくるようになるまでに、100ページ以上かかっており、その間かなりの数の殺人事件が起こっている。そうそう、今作では見立て連続殺人事件になっている。その辺りも前2作よりもパワーアップしている。以後、解決までは、相変わらず歌を歌って、というパターンで進んでいく。歌う曲の数も半端ではないので1曲1曲は流し気味になっているが、細かいトリビアネタが入っていたり、というのも前と同じだ。

 結局1番の謎は、このシリーズが続くのかどうか、ということか。

天才魔法少女トリオがいく! だったらあたしが戦ってやる

天才魔法少女トリオがいく! だったらあたしが戦ってやる
山本豪志
徳間書店
徳間ノベルズEdge
2009年3月31日 初刷
ISBN:978-4-19-850820-3 C0293
315ページ
----------

---------------
 山本豪志による天才魔法少女シリーズの2作目。前作「天才魔法少女トリオがいく! それは、卒業からはじまるのだよ」から数ヶ月経過し、魔法学校の生徒だった主人公3人も軍に入隊、その休暇中に事件に巻き込まれるという場面からスタートする。

 休暇を楽しみつつ、この残忍な殺人事件の捜査に協力しつつ、その街の悪漢?たちとのバトルしつつ、という感じで進んでいく。

 いくつか気になるところとしては、まず、「残忍な殺人事件が起きた!」と裏表紙の説明にあるのは間違いないのだが、それ以上に戦闘などで負傷、或いは死亡する人間が多すぎて、正直言って「残忍な殺人事件」がかなりかすんで見える、というか普通の事件にしか感じられない。その辺りは勿体ないし、魔法というガジェットは、ミステリの要素としても、もっと色々使い道があると思う。

 それから、全体の印象として、何か決定的に欠けているというわけではないが、分量と比べても物足りないという印象がある。また、このシリーズそのものが、どこに向かおうとしているかがイマイチ読めないというのも、このモヤモヤ感の原因かもしれない。

 一つ一つのパーツとしては色々と面白いものがあると思うので、もう一段上のレベルの作品を期待したい。

 それから、一応ミステリの要素は満たしているとは思うが、読んでみてそういう印象はほとんど受けないので、あまりミステリという部分を前面に押さない方が良いと思う。

2009年5月13日水曜日

悪魔はすぐそこに

悪魔すぐそこに
D・M・ディヴァイン
山田蘭 訳
東京創元社
創元推理文庫 M-テ-7-1 240-03
2007年9月28日 初版
ISBN:978-4-488-24003-5 C0197
409ページ
----------
Devil at Your Elbow
by D. M. Devine
1966
----------

---------------
 全体のストーリーとしては、殺人事件が続けて発生するという、割とシンプルな作りになっている。しかし、それでも視点を変えることにより、その単純さをあまり感じること無く、読むことができ、とても上手く表現していると思う。

 読んでみての面白さというのもあるが、全体の空気感というのが非常に良い、というか自分の好みに合っている。大学という舞台を生き生きと書けていて、その部分もとても好印象だった。

 この作者の作品は、シリーズ作品ではないようだが、他の作品も読んでみたいと感じさせるものだった。

2009年5月9日土曜日

マグレと都市伝説 間暮(=マグレ)警部の事件簿

マグレと都市伝説 間暮(=マグレ)警部の事件簿
鯨統一郎
小学館
小学館文庫 く-2-2
2007年4月11日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-09-408162-6 C0193
364ページ
----------

---------------
 鯨統一郎による間暮警部シリーズの2作目。前作「「神田川」見立て殺人」では、1話につき1曲の歌謡曲、というパターンだったが、今作では1話につき1人のヒットメドレー、加えて都市伝説というように前作よりもパワーアップしている。

 前作は雑誌に連載していたものを集めた形だったが、今作は書き下ろしになっている。ということは、この作品のスタイル、或いはテイストを気に入った読者が大勢いたのか、もしくは小学館の内部にそういった人がいたのか、その辺は分からないが多分そういうことだと思う。

 内容的には前作と同じく、ミステリというよりもコントに近いようなテイストで、前作のラストで警察を離れたはずの間暮警部と矢田貝刑事は特命刑事というよくわからない役職で出てくる。さらに、主人公?小林君の兄が出てきたり、あるいはブラックローレライというなんだか分からない組織の名前が出てくる。そして、それらの謎はほとんど説明の無いまま終わってしまう。これまた、前作と同じく気楽に読める1冊だと思う。

スタジオジブリの歌

スタジオジブリの歌
徳間ジャパン
2008
----------

---------------
 スタジオジブリの劇場映画の主題歌,テーマソングなどを集めたアルバム。「風の谷のナウシカ」から「崖の上のポニョ」まで幅広く入っている、

 ただ、「ナウシカ」は本編で使われた曲ではなく、安田成美の歌ったテーマソング1曲だけ、と本編が好きな人間からすると非常に不満の残る選択になっている。他の作品も1曲ないしは2曲のみと、広く採用している一方で物足りない無いようになっている。特に、知っている曲を聴きたくて聞いているのに、その存在すら知らなかったような映画の曲を聴いても何とも思わない。むしろ、いらないとさえ思ってしまう。

 全部の作品からバランスよく持ってくるというよりも、代表的な作品の曲を中心にして選んで欲しかった。

2009年5月7日木曜日

ひぐらしのなく頃に礼 〜賽殺し編〜

ひぐらしのなく頃に礼 〜賽殺し編〜
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-17
2009年3月2日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-283704-0 C0093
240ページ
----------

----------
 「ひぐらしのなく頃に」の問題編、解決編を受けて、それらをふまえての総まとめ的な1冊。この賽殺し編では、昭和58年6月を無事に乗り越えたその先での出来事から幕を開ける。プールの帰りに交通事故に遭い、目覚めたのが別の世界で、というそれはそれで色々とシリアスな展開であるものの、読む側としてはハッピーエンドを一度経た上での出来事なので、安心して読み進むことが出来る。その意味では、シリーズ通して、この1冊が最も気軽に読めるかもしれない。

 この『ひぐらし〜礼 〜賽殺し編』は、解答編まで含めた解答編というような形で、これまで明かされていなかったことなどもいくつか明かされているが、それを読んでも、作者がどの時点でどこまで計算した上で書いてきたのかなど、また、新たに気になる点は残る。また、最後のあとがきでも特に書かれていなかったが、どうして、舞台が昭和58年という年なのか,なども気になるところだ。

2009年5月6日水曜日

Too Many Cooks / Champagne for One

Too Many Cooks/Champange for One
by Rex Stout
1938, 1958
----------

---------------
 まだ読んでいないので、ぱらぱらとめくってみた印象を。

 まず気がついたのは、何よりも手触りが良い。

 また、今作は1冊に2作品が収録されているが、前半の"Too~"と後半の"Champagne~"とで文字のサイズが目に見えて違っているところが気になる。おそらくはページ数を調整するためだと思うが、どうせなら、1冊通して、同じサイズの文字で統一した方が良いように感じた。感想等はいずれ読んでみてから。

メグとセロンIV エアコ村連続殺人事件

メグとセロンIV エアコ村連続殺人事件
時雨沢恵一
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-8-28
2009年3月10日 初版発行
978-4-04-867592-5 C0193
291ページ
----------

---------------
 シリーズ4作目。

 夏休みの新聞部の合宿が舞台。このシリーズは第1巻から、夏休みに起きた事件がメインだったので、実質的にはまだ数週間もたっていないことになる。

 今回は、舞台が学校ではなく別荘地なためか、夏休み中の合宿というためか、全体的にのんびりしているという印象がある。今回も事件に(少しだけ)巻き込まれ、また、今回はニックと、ジェニーの過去というか、どういう人間かということが少しだけ見えてくる感じになっている。まだ、今作が出て間もないし、次は別シリーズのようでもあるので、次巻が出るまでだいぶ時間がありそうな気もするが,早く次を読みたいと思う。

「神田川」見立て殺人 間暮(=マグレ)警部の事件簿

「神田川」見立て殺人 間暮(=マグレ)警部の事件簿
鯨統一郎
小学館
小学館文庫 く-2-1
2006年4月1日 初版第1刷発行
ISBN:4-09-408078-3 C0193
377ページ
----------

---------------
 こういうのをバカミスというのか、なんというのかわからないが、決して真面目に読んでは行けない1冊。

 登場人物の名前も間暮警部をはじめ、ほとんどしゃれで付けたような名前だし、登場していきなり歌いだす、あるいは「犯人はこの部屋にいます」などとやる。毎度お決まりのパターンで、違うのと言えばテーマというか、歌う曲が変わるくらいだ。雑誌で連載していたときがどうだったかは分からないが、こういうのは作者と読者との間で了解事項のようなものが出来ていないとまず出来ないと思う。そういう意味では、すごいことをやっていると思う。続編もあるみたいだが、このシリーズがそんなにも人気があるということが一番信じられない。

ジャンクガール・ジグ ②負け犬たちの村

ジャンクガール・ジグ ②負け犬たちの村
日日日
角川書店
角川スニーカー文庫 S-185-12
平成21年4月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-481012-2 C0193
276ページ
----------

---------------
 アンダカの怪造学シリーズ番外編ジャンクガール・ジグの2作目にして完結編。今作も前作同様、アンダカシリーズの数年前という設定。

 この第2巻の舞台は寂憐院一族の不知野の地。今作では、後のアンダカシリーズにつながっていく数々の因縁がどのような経緯でもって出来たのかということが、色々と明かされているし、示唆されていもいる。そういった意味で、この巻がアンダカシリーズも含めて、一番ヘビーな1作かも知れない。

 このジャンクシリーズの第1作は、普通に番外編として軽く読めた印象があるが、この第2巻に関しては、アンダカシリーズの展開を知って読むのと知らずに読むのとで全く意味が違ってであろうし、また、これを読んだ後に、アンダカの方を読むとまた違って読めるかもしれない。

 個人的には、これで完結というのは色々と勿体ない気もする。もっともっと彼らの動くところを見てみたいように思う。

2009年5月4日月曜日

無縁塚 浪人左門あやかし指南

無縁塚 浪人左門あやかし指南
輪渡颯介
講談社
2009年4月27日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-215435-2 C0093
235ページ
----------

---------------
輪渡颯介による浪人左門シリーズの3作目。

このシリーズは1作目から読んでいるが、毎回コンスタントに安定した質の作品に仕上がっている。今作でも、剣の腕は一級だが幽霊、怪談話を異常に怖がる甚十郎、その手の話と酒が大好きで、いつも甚十郎を怖がらせて楽しんでいる浪人の左門、生真面目な辻村鉄之助といった、おなじみの面々が幽霊屋敷に関わりを持つことが発端となっている。

今作が、前2作と違うのは、いつもなら真っ先に飛び込んでいく左門が、あの屋敷には近づくなといい、また、普段なら自分からは絶対に近づかない甚十郎が自ら出張って行くところか。もしくはそもそもの発端となった鉄之助の行動か、勿論それぞれ理由があった上での行動なのだが、いつもの面子のいつもとは違った行動というのも、今作での一つのポイントだと思う、

作品の出来は、今作でも期待通りの出来といっていいと思う。

今作で気になるというか,若干の不満点は、作品の内容ではなく、本自体の話になるが、前2冊が、ノベルス版であるのに対し、今作はソフトカバーの単行本となっていることだ。それによって値段がおそらく400〜500円くらい上がっているし、また、サイズが大きくなっているためにかさばる等のマイナス面がいくつかある。加えて個人的に言うなら、前2冊の表紙のデザイン、イラストが割と気に入っていたので、それが変わってしまったことも不満だ。ノベルスであれば、作品自体に番号が振ってあるので何作目か分かりうるが、それも無くなり後から読む読者などに取ってはそういう意味でも不親切だと思う。どういう理由かは分からないが、新シリーズなどならともかく、シリーズの途中でそういうことをするのは、少し無神経すぎると思う。

黒のトイフェル(下)

黒のトイフェル(下)
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-5 NV-1193
2009年2月10日 初版印刷 /2009年2月15日 初版発行
ISBN:978-4-15-041193-0 C0197
364ページ
----------
Tod und Teufel
by Frank Schätzing
1995
----------

---------------
 『深海のYrr』が若干SFよりの海洋サスペンスで、かなり沢山の人間が死ぬ作品だった(カバー裏の登場人物の大半が最終的には死んだ)のに対し、この『黒のトイフェル』はきちんとした歴史ミステリとなっている。

 舞台となっているのが中世のケルンであり、当時のヨーロッパ世界、あるいはキリスト教世界の様子などには、勿論なじみが無いが、それでも十分に楽しめた。個人的には『深海の〜』よりもこちらの方が好みに合っている。

 作品の舞台,或いは背景についての知識が乏しいため、記述などがどこまで史実に忠実で,或いはどこからが作者の想像によるものなのかの判断も出来ずに読んでいたが、随分と丁寧に下調べをしたようなので、割と信用出来るのかもしれない。

 その他,気になったところというか、良いと思ったのは、登場人物の名前がヤコプ,或いはヤスパーとなっていたことだ。別になんでもないことではあるのだが,昔の本だったら、ジェイコブ、ジャスパー等とやりかねないとも思う。今作ではその辺りきちんとしていたところも良かったと思う。

 『深海の〜』と、『黒の〜』と早川書房からはフランク・シェッツィングの本は2冊出ているが、そのどちらもがNV文庫から出ている。これまでだとNV文庫の背表紙は、白を基調とし、赤、青系統の文字というパターンだったが、フランク・シェッツィングの作品に関しては、その例に従わず、黒を基調としたデザインを採用しているところ、また、表紙のイラストが横に並べるとつながるようにしているあたり,この作者をだいぶ評価しているようにも思う。詳しい内容は分からないが、他にも何冊か作品があるようなので、もしそれがミステリ系のものなら、また読んでみたいと思う。

2009年5月2日土曜日

黒のトイフェル(上)

黒のトイフェル(上)
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-4 NV-1192
2009年2月10日 初版印刷 /2009年2月15日 初版発行
ISBN:978-4-15-041192-3 C0197
381ページ
----------
Tod und Teufel
by Frank Schätzing
1995
----------

---------------
 深海のYrr (上)(中)(下)の著者であるフランク・シェッツィンによる作品。順番的に言うと、『深海のYrr』よりもこの作品の方が早く、今作がデビュー作らしい。内容的には『深海の〜』が海洋サスペンスであるなら、この『黒のトイフェル』は歴史ミステリになる。その他、もう少し細かい感想等は『黒の〜(下)』と合わせて。

2009年5月1日金曜日

探偵を捜せ!

探偵を捜せ!
パット・マガー
井上一夫 訳
東京創元社
創元推理文庫 164-1
1961年3月10日 初版 /1986年5月9日 19版
----------
Catch Me If You Can
by Pat McGerr
1948
----------

---------------
 やはりこれに関して言えば、アイディアで勝負ありという感じか。通常の探偵が犯人を捜すというのを逆手にとり、犯人が探偵を捜す、という状況を作り出した時点で、もう決まり、後はそれをどう料理するか、という問題だ。

 登場人物の行動、考え方や、あるいは犯人対探偵?の対決のシーンなど、細かいところについて見ていけば、気になるところはかなりあるが、それでもこの1冊は、読む意味のある本だと思う。

 1点あげるとすれば、なんと言うか、各人物のセリフがイマイチというか、不自然に思える。それは単に翻訳された当時と、今の言葉遣いの違いと言えばそれまでだが、或いは翻訳し直す、というのも有りかと思う(多分、やらないと思うが)。

 今回読んだのは、例によって図書館の本なので、Amazonに乗っているのとはジャケットが違っている。雰囲気が違いすぎる、というか、前のは少し不気味すぎる。これだと,本屋で見かけても、なかなか手に取って買おうとは思わないと思う。

放課後の魔術師(=メイガス) ③マスカレード・ラヴァーズ

放課後の魔術師(=メイガス) ③マスカレード・ラヴァーズ
土屋つかさ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-208-3
平成21年4月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-474003-0 C0193
269ページ
----------

---------------
 シリーズ3作目。

 まだ今回も事態が大きく動く、というよりは少しずつ進展する&背後にあるシステム、人間関係が明らかになるというかたち。1作目から、各人物から見た視点を通して、物語が進むという見せ方できたが、今作では、ついに主人公2人以外の人物からの視点、という箇所が出てきた。当然このやり方であればそれは可能だが、何となく疑問と言うか違和感を感じる。少し反則というか、ある意味それが縛りになっているというところもあったとも思うし。

 まあ、この後どうするか、ストーリーもそうだが、その辺りも注意してみたい。どうやら次回からは今まで以上に動き出すようなので。

 しかし、色々な伏線はあるけれど最終的にはどこに持っていきたいのか、いくつかあるだろうが、まだはっきりとは見えていない。

NHK名曲アルバムベスト30 アダージョ〜癒しのオーケストラ名曲30選

NHK名曲アルバムベスト30 アダージョ〜癒しのオーケストラ名曲30選
キングレコード
2008年
----------

---------------
 NHKの名曲アルバムからの選曲(たぶん)。今回のは癒しのオーケストラ、ということで比較的静かな曲が並んでいる。

 パッヘルベルのカノンだとか、亡き王女のためのパヴァーヌなどの定番の曲や、あるいはあまり聴かない曲まで入っているが、このシリーズは全体的に見て、はずれが少ないと思う。これもヴァイオリン・チェロの時と同じだが、演奏時間が長過ぎないのも良い。

 個人的な好みとしては3枚目に収録されている、ブラームスのハンガリー舞曲第4番が良いと思う。

 前回、ヴァイオリン・チェロの時もそうだったが、CDを入れたときにiTunesが曲名を正しく認識しないのは、本当に勘弁して欲しい。今回はCD名は正しく、曲名の殆どもあっていたけれど、ごく一部だけ曲名、演奏者とも、全く関係ない曲名&演奏者名になっていた。どうして聰なったかは不明だが、全部をいちいちチェックするのは結構めんどうなのでどうにかして欲しい。