2009年9月8日火曜日

ロングテール[アップデート版] 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略

ロングテール[アップデート版] 「売れない商品」を宝の山に変える新戦略
クリス・アンダーソン
篠森ゆりこ 訳
早川書房
ハヤカワ新書juice 004
2009年7月20日 初版印刷 /2009年7月25日 初版発行
ISBN:978-4-15-320004-3 C0263
446ページ
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The Long Tail:Why the Future of Business Is Selling Less of More
by Chris Anderson
2006, 2008
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原書は2006年7月にアメリカで刊行されベストセラーに、次いで2008年7月に改訂、更新された。日本語版は本書と同じく早川書房から2006年9月に発行された。原著とこの版の変更点は、時間の経過に伴う、全体的な加筆修正とマーケティングについての章(第15章)と、補遺が付け加えられた点。以下感想。

筆者は「ロングテール」とそれを上手く利用して経済活動を行う企業に対してかなり好意的な見方をしている、また、既存の企業に対してもそのような行動の仕方を奨励しているという印象を受けた。それ自体は、もちろんそうなのだろうし、その点について異論はないのだが、iTunes Music Storeであれ、Googleであれ、或いは、本書に登場する多くの成功例とされる企業は、時代の流れに上手に乗った企業としてほとんど手放しで賞賛に近い扱われ方をしているように感じた。もちろん、ロングテールのすごさ、インパクトを示そうという意図ならば正解だと思うが、もう少し批判的な見方をしても良いのでは、と思ってしまう。

次、本書を通じていくつもの成功、或いは失敗の例を見ると、日本の大企業、あるいは政策というのはかなり遅れていると思えてくる(特に、著作権に関するくだりなどはすぐにでも考えるべき問題だと思う。先送りにすることによるメリットは何もないと思う)。まあ、実際遅れているのだけれど、一方でこれだけ先進的な企業が出てくる国があり、翻って、日本はというと、ちょっとひどいというか、このような国とまともに経済競争をしてもまず勝ち目はないなと思ってしまう。その意味では、本書は起業家というよりも、法律だとかそういう下らない規制ばかり作っている人たちが真っ先に読むべき本だと思う。

本書を書くにあたり、著者はいくつもの企業に取材を行っている。勿論、雑誌ワイアードという名前に強い効力があったりもしたのだろうが、日本の企業が外部の人間にこれだけデータを見せるということがあるかな、とちょっと考えてしまった。その点については、純粋にうらやましいと感じた。法律にしても何にしても色々な点でオープンな方が良いように思える本だった。

直接的な言及というより、本文中に何度か出てくるという程度だが、何度かクラウドソーシングという言葉が出てきた。本書の中で触れられているものの中には、正にこのクラウドソーシングを利用しているものが少なくない。その点では、同じく早川書房から新書で出ている「クラウドソーシング—みんなのパワーが世界を動かす」と通ずるところがあると思う。

また、Chris Andersonの新著"Free: The Future of a Radical Price"が2009年7月に出たらしい。

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