2009年12月11日金曜日

午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨン
相沢沙呼
東京創元社
2009年10月15日 初版
ISBN:978-4-488-02449-9 C0093
332ページ
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第十九回鮎川哲也賞受賞作。

一つ一つ完結している短編が集まって長編を構成しているという構造。最近割と多いタイプのスタイルだと思う。

鮎川哲也賞受賞作ということで、本編のあとに審査員を務めた人たちの(他の候補作の作品も含めた)感想が載っている。その中でも指摘されているように、伏線の仕掛け方や、全体の構成等については、ミステリとしてちゃんとしていると思う。また、作品全体の空気、或いは雰囲気というのも、適度な緊張感もありつつも、ねっとりしたそれではなく、爽やかに感じられるのも好印象だと思う。

ただ、それでも全体的には弱いというか、いまいちメリハリに欠ける気がする。いわゆる日常の謎を扱っているのだから、派手な事件が起きるわけではないが、それでもどうにも中途半端な印象が拭えない。或いは意図的なものかもしれないが、作品のディティールが、曖昧な部分も多く、また、主人公を含めた高校生たちの描写が、爽やかではあるが現実の高校生たちのリアルな姿というよりは、青春小説とかに登場する、ある意味ではステレオタイプの姿なように見えるからかもしれない。ただ、まあ、作品の雰囲気という点を優先するなら、これもありかも知れない。

その他、今作品とは直接関係ないが気になった点として、本文のあとに、審査員たちに夜採点、講評が掲載されているという点が少々気になる。 この作品についての解説があるのは、ある意味では至極当然とも思うが、それ以外の候補作(この作品の他に3作品)の評価(とダメ出し)が少し問題だと思う。どういう採点の経緯によるものかは知らないが、それらの作品はこの本を読んでも全く分からない。おそらくはごく一部審査に関わった人間だけが読んだものだと思う。それについて、あれこれと話の筋書きや、トリックを書き、また、どの部分が悪いかなど具体的に書くというのは、正直自避けてもらいたい。仮に将来、それら作品が出版されて、そして、その作品を読んだとしたら、その肝心のトリックを知っているというのは、それだけでミステリとしては致命的だと思う。審査をする人たちというのは当然、何らかの意味でミステリのプロである人たちなのだから、その辺りの配慮をして欲しかった。

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