2009年12月21日月曜日

念写探偵 加賀美鏡介 The thought photography detective Kyosuke Kagami

念写探偵 加賀美鏡介 The thought photography detective Kyosuke Kagami
楠木誠一郎
講談社
講談社ノベルス クJ-03
2009年6月4日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182652-6 C0293
219ページ
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楠木誠一郎作の念写探偵シリーズ1作目?(講談社のホームページでも、この作品が何作目になるのか等、記述がないので断定出来ないがおそらくこの作品がシリーズの第1作目)。2009年12月時点で2作目の『消された龍馬 念写探偵 加賀美鏡介』も出ている。

読み物としてみた場合、なかなか面白い作品だと思う。今回、この楠木誠一郎という作家の本を初めて読んだが、既に青い鳥文庫で何冊も書いているだけあって、構成とか、読者に面白く読ませるすべを知っているという印象を受けた。

また、多くの探偵という人種がそうであるように、このシリーズの探偵もある種の変人である。人の意見を聞かず、自分の話したい時に話し、そうでない時にはどれだけ求められようと話さない、という名探偵のフォーマットをきちんと踏襲している。そのあたり、ミステリのお約束でもあり、違和感なく読める一方で、この探偵役も含めて、ワトソン役の作家、あるいはメイド服のバイトの女性などなど、登場人物たちに新しさが感じられない、というマイナスの作用もあると思う。

また、探偵小説としてみた場合、過去の歴史上の事件と、現在の事件を並行してみていくという点でも、従来からある手法ではあるが、そのどちらについても 、今作では割と軽く扱っている。そのため、ほとんど聞いたことのない歴史上の人物、読めない漢字等で辟易させられることがない、という読みやすさがある一方、やはり物足りない、という印象を抱いてしまう。彼らの交わす会話などは面白いと思うので、もう少し、ミステリ的な部分を強化してもらいたいと思う。

全体の印象としては悪くないと思うが、個人的に気になるところを1点。裏表紙の説明では、「千利休の謎解きへ!」とあるが、この作品の歴史の方の事件、謎は必ずしも千利休という一言で片付けられるものではないと思う。勿論、一つのきっかけではあるが、この書き方は誤解を招くものになるので、改めた方が良いと思う。

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