2009年12月11日金曜日

ロートレック荘事件

ロートレック荘事件
筒井康隆
新潮社
新潮文庫 つ-4-33
平成7年2月1日 発行
ISBN:4-10-117133-5 C0193
222ページ
----------

----------
ロートレック荘と呼ばれる洋館に集まった美女が一人また一人・・・、といったような内容説明が文庫の裏表紙に書かれている。ここまでの説明だけなら、オーソドックスな洋館を舞台にした作品として期待するのだが、説明文の一番最後に「前人未到のメタ・ミステリー」なんてことを書くのは邪道だと思う。正直、新潮社にはまともにミステリを読んだことのある人間がいないのか、と疑いたくなる。

作品を読んでみたが、これはちょっと好みではない。メタ・ミステリがダメとはいわないが、トリックの為に張った伏線がどうも浮いているというか、違和感を感じさせるようなものが多い、というのは頂けないし、また、バレたあとで、本文での伏線の部分をわざわざ再掲しているというのも、良くない。確認したい人がいれば、それはその人が勝手にやればいい話で、作者がそれをするというのは、読者に対して、自分が「フェア」であるとひけらかしているようで、あまり印象に良いことだとは思わない。

また、舞台はロートレック荘という、ロートレックの作品が多く飾られている洋館を舞台としているが、あえてここでロートレックを出した必然性が分からなかった。読んでいる限り、作品になぞらえて殺人が起きたというような記述もないかったし、どうせなら、もっと、舞台空間を積極的に使った方が面白い、というかミステリ的になると思う。

巻末の解説でも触れられているが、この事件の犯人、この人物を犯人としたというのが、この作品の一番の特徴であり、主張だ(勿論、似た要素を持った犯人像というのは超有名な前例があるが)というのは確かに同意出来ると思う。

全体の感想としてはイマイチ。

0 件のコメント: