2010年12月26日日曜日

ふゆのうた HiHiRecords Season Best

ふゆのうた HiHiRecords Season Best
Victor
2009
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 冬の歌を集めたアルバム。

 この季節、というよりもクリスマス、正月関係の曲が多い。その他では、「北風小僧の寒太郎」などNHKみんなのうたからのものもいくつか見られる。どうせなら、田中星児ではなく、堺正章の歌っているバージョンであれば面白かった。そのほか、珍しいところでは、「ごんべさんの赤ちゃん」(田中星児)とかがある。また、同じく田中星児が歌っているが「おにのパンツ」というのは、完全に「フニクリ・フニクラ」だが、一体何があってこうなってしまったのだろうか。

cf. Wikipedia-フニクリ・フニクラ

2010年12月24日金曜日

マルドッゥク・スクランブル The 3rd Exhaust—排気〔完全版〕

マルドッゥク・スクランブル The 3rd Exhaust—排気〔完全版〕
冲方丁
早川書房
ハヤカワ文庫JA JA ウ 1 10 JA1016
2010年10月10日 印刷
2010年10月15日 発行
ISBN: 978-4-15-031016-5
C0193
316ページ
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 完全版第3巻。

 カジノでのブラックジャック(対マーロウ)から、対アシュレイ。そして、ラストまで。

 2003年の最初の版。改訂新版。そしてこの完全版。これまで3度読んでいる。最初の時は、その圧倒的な存在感にただ凄いという感想しかなく、2度目には懐かしさと同時に、最初の時よりももう少し深い所まで覗き込めたような気がした。そして、今回の3度目、やはり、その凄さを感じた。当然それぞれの番で大幅な修正がなされているとはいえ、ストーリー自体は当初のものと変わっているわけではない。したがって、初めて読んだ時と同じ種類の衝撃を受けることはもうない。しかし、それでいてなお、読んでいて引き込まれてしまう。また、ある程度流れがわかっていることで、これまであまり見えていなかった部分が見えてきたのか、それとも文章が直されたため気付けたのか、バロットの変化の様子が非常によく見えた気がした。それは色々な人物との会話であり、或いは対決であり、そこから何かを得、変化もしくは成長していく過程が、その様子が強く感じられた。

 まだこの作品を知らない人、読んだことがない人が羨ましい。願わくは、この作品に関する記憶を消去して、もう一度体験したい。

2010年12月22日水曜日

マルドッゥク・スクランブル The 2nd Combustion—燃焼〔完全版〕

マルドッゥク・スクランブル The 2nd Combustion—燃焼〔完全版〕
冲方丁
早川書房
ハヤカワ文庫JA JA ウ 1 9 JA1015
2010年10月10日 印刷
2010年10月15日 発行
ISBN: 978-4-15-031015-8
C0193
325ページ
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 完全版第2巻。

 隠れ家屋上でのボイルドとのバトルから、楽園、カジノでのルーレット(対ベル・ウィング)、ブラックジャック(対マーロウ)まで。

マルドッゥク・スクランブル The 1st Compression—圧縮〔完全版〕

マルドッゥク・スクランブル The 1st Compression—圧縮〔完全版〕
冲方丁
早川書房
ハヤカワ文庫JA JA ウ 1 8 JA1014
2010年10月10日 印刷
2010年10月15日 発行
ISBN: 978-4-15-031014-1
C0193
295ページ
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 完全版第1巻。

 スタートから、隠れ家での畜産業者(バンダースナッチ・カンパニー)、ボイルドとの最初のバトルまで。

鬼神伝

鬼神伝
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-31
2010年10月6日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182735-6
C0293
396ページ
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 講談社ミステリーランドのシリーズとして、2004年に書かれた『鬼神伝 鬼の巻』、『鬼神伝 神の巻』の2冊を1冊にしてまとめたもの。

 「QED」や「カンナ」など他のシリーズは読んでいるが、ミステリーランドの方は、そもそも子供を読者対象として想定して書かれたものであるので避けていたが、今回、ノベルスになったということもあり、読んでみた。

 作品の基本的なメッセージは非常にシンプルだ。つまり、他のシリーズと同じく、今現在我々が歴史として認識しているものが、そもそも強固な客観的な事実などではなく、様々な争いの結果としての、極めてアンバランスなものでしかない、ということを言っている。したがって、結局の所、この本(というよりも、ミステリーランドのシリーズとして書かれた2作品)の主たる目的は、その認識を読者である少年少女に示すことにあったのだと思う。

 この作品はメッセージという点では、他シリーズと共通しているが、その一方でアプローチの仕方は大いに異なっている。「QED」や「カンナ」がミステリという枠組みを通じて、現代から、過去の歴史を見る、という方法をとっているのに対し、この『鬼神伝』においては、主人公がファンタジー世界(の、そのまた過去の時代)に入り、当時の歴史に現在進行形で向き合っている。

 少年少女向けのファンタジーであるためか、人対鬼、というある意味非常にシンプルな構造になっており、他シリーズの作品と比べると相当読み易くなっている。その一方で、主人公は平安時代で戦っていながら、その時代の人物たちが「歴史」という時間に対する認識を持っているなど、メタ的な構造もあり、その辺りが少し緩くなっている。或いは、歴史上の人物や、神話上の生き物、妖怪が大勢出てくるというのも、少々やりすぎというか、若干気になる点ではある。

 他シリーズを読んでいる人間からすると、物足りなさを覚えるかもしれない。一方、このシリーズが本来想定しているような少年少女では、たとえ読んだとしても、本書の提示する問題意識を持つことすらほとんど出来ないだろう。ただ、どれだけの人が気付けるかはともかくとして、それほど多く売れた、とも思えない作品を映像化する動きがあるなど、そのメッセージは非常に重要なものだろうと思う。

 cf. 映画『鬼神伝』のサイト
http://onigamiden.jp/

2010年12月20日月曜日

スナフキンの名言集

スナフキンの名言集
トーベ・ヤンソン 文・絵
サミ・マリラ 編
渡辺翠 訳
講談社
2010年9月17日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-215907-4
C8097
55ページ
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Nuuskamuikkusen Mietekirja
Text by Tove Jansson
Edit by Sami Malila
Illustrations by Tove Jansson
2006
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 ムーミンのシリーズの様々な場面から、スナフキンのセリフを集めたもの。前後の文脈がわからないものの、その部分だけ見てもはっとさせられるセリフが多い。ムーミンの原作の方は未読で、わずかにアニメからの印象しかなかったが、その中で漠然と抱いていたスナフキンの印象よりも、「孤高」という印象を強く受けた。

 こういうつまみ食い的な読み方もきっかけとしては悪くないが、やはりこういった作品は一度きちんと目を通そうと思う。個人的には、この「スナフキン」版は、日本語版よりも英語版のちょっとダークな雰囲気の表紙の方が良いような気がする。

 英訳は見つけられたが、原著(スウェーデンでなくフィンランドで編纂されたらしい)は見つけられなかった。日本でフィンランド語の書籍を扱う書店は一体何軒くらいあるのだろうか。

2010年12月16日木曜日

はるのうた HiHiRecords Season Best

はるのうた HiHiRecords Season Best
Victor
2009
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 春にまつわる曲を集めたアルバム。

 「さくらさくら」や「ぶんぶんぶん」など懐かしい曲からちゃんとはいっているのはグッド。また、「ぶんぶんぶん」がボヘミア民謡とか「ちょうちょう」がスペイン民謡とか、ちょっとしたトリビア的な要素に驚かされるのも「なつのうた」と同じく。

 残念なのは、まず、表記のひらがなだ。タイトルは漢字が入っているのに、歌詞がすべてひらがなになっていることだ。小さいこどもが読むのを想定しているのだろうが、元々漢字ならばそれに合わすべきだと思う。小さいこどもがCDのブックレットを読むかどうかも不明だし、親などに読んでもらえば済む問題でもある。加えて、「うれしいひなまつり」が「嬉しい雛まつり」と表記されていること。この表記は見たことがなかったので確証はないが、多分これはひらがなが正解だと思う。もう一点、残念なのは必ずしもフルに収録されているわけではないことだ。すべて確認したわけではないが、気付いただけでも「荒城の月」の3番の歌詞は飛ばされて、1、2、4番を歌っている。どうせならちゃんとフルでやって欲しい。残念。

2010年12月12日日曜日

Stand by Me

"Stand by Me"
by Prince Royce
from album "Prince Royce"
2010
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 Ben E. Kingの"Stand by Me"のカバー。(英語とスペイン語)原曲の雰囲気を壊していない点は評価して良いと思うが、そもそも個人的にはカバーする必要性を感じない。どうやったってオリジナルには勝てないのだから。

cf. Link to Wikipedia on Prince Royce, and on album "Prince Royce",


"Stand by Me"
by Ben E. King (Original)

Take It off

"Take It off"
by Ke$ha
from album "Animal"
2010
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これも耳に残り易いメロディ。ずっと聴いていたいという曲ではないが、たまに聞くには悪くない感じ。

cf. Link to Wikipedia on Ke$ha, and on album "Animal"

Who Owns My Heart

Who Owns My Heart
by Miley Cyrus
from album "Can't Be Tamed"
2010
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 YouTubeのコメントなんかでも、結構否定的な意見も多いようだが、個人的にはそんなに嫌いではない。といって、特に大好きというほどでもないが。

cf. Link to Wikipedia on Miley Cyrus, and on album "Can't Be Tamed",

日本レコード大賞 50th Anniversary Vol. 1 1959-1984

日本レコード大賞 50th Anniversary Vol. 1 1959-1984
Independent Label Council Japan
2009
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 歴代のレコード大賞受賞曲を集めたコンピレーション・アルバムの前半分。

 収録されている曲は勿論、どれも有名曲、ヒット曲ばかり。近年のぱっとした印象がないのに比べると、この頃の方がそのレコード大賞それ自体の存在感がずっとあったのだという印象を受ける。

 しかしながら、ヒット曲ばかりであるが故に、アルバムのコンセプトがないのが致命的となっているように思える。これらの曲のほとんど、(おそらくすべて)このアルバム以外の手段で効くことが出来る。というか、すでに他のコンピレーション・アルバムに入っている(例えば、青春歌年鑑とか)。勿論、各賞の受賞者のリストなどプラスアルファの情報はあるが、それもWikipedia等で調べられるだろう。だとすれば、ただ有名曲を並べただけのアルバムの存在意義は何なのか。もっと考えてやって欲しい。

 アルバムをVol.1(とまだ出ていないようだが、おそらくVol. 2まで。) という風に分けた理由もわからない。全50曲ならば、CD3ないし4枚で収まる。一気に50年分という方が、インパクトとしてはあるだろう。或いは、2回にアルバムを分けて出すのなら、大賞受賞の時の映像をDVDかなにかで付けるとかしたら良かったと思う。(最初の数回は確証はないが)当時のテレビの映像ならばテレビ局に残っているはずだし、YouTubeなどの再生回数でも結構な数があったと思う。そういったおまけがあれば、多少高くても買う人はいるのでは、と思う。

"ブルー・シャトー"(第9回レコード大賞受賞曲(1967年))
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
1968年第10回の時の映像


"喝采"(第14回レコード大賞受賞曲(1972年))
ちあきなおみ


"勝手にしやがれ"(第19回レコード大賞受賞曲(1977年))
沢田研二

剣の女王と烙印の仔VI

剣の女王と烙印の仔VI
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-06
2010年9月30日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8401-3506-1
C0193
231ページ
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 シリーズ第6巻。

 これまでの王国軍対連合軍(反乱軍)という内戦の決着もようやく目処がつき、いよいよ対帝国軍という新たな段階に物語が進んでくる。こちらの物語の面での展開と同時に、欠かせない要素である烙印の方でも、また一段階進んでおり、この両面からの盛り上がり方が効果的に効いていて、どうなってくるのかますます期待が増している。

 こういったライトノベル系の作品だと、最初の1冊、もしくは舞台設定は魅力的でも巻を重ねるに従って、どんどんそこが見えてくるというか、つまらなくなっていく作品が多い中で、この作品は一定以上のクオリティを保っており、読む側としては非常にありがたい。ただ一点、難を挙げるとするなら、戦闘の場面で数の差というのはもっと強力要素であるということくらいか。1、2巻での戦闘でもそうだったが、ごく少数の精鋭が大多数の軍勢を打ち破るというのは、漫画などではあっても、よほど装備などに差がない限り無理だろう。その点、ちょっと甘い気がする。

 今後とも、高い水準の作品を書いてもらいたい。

2010年12月8日水曜日

Chrome Closed Clonicle 3 -クロム・クローズド・クロニクル-

Chrome Closed Clonicle 3 -クロム・クローズド・クロニクル-
日下弘文
富士見書房
ファンタジア文庫 く-2 1-3
平成22年11月25日 初版発行
ISBN: 978-4-8291-3587-7
C0193
342ページ
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 約9ヶ月ぶりの第3巻。シリーズ完結巻。

 一言で言ってしまえば、勿体ない、残念というというのが第一印象だ。1巻で提示された極限状態の世界とそこに生きる主人公たちは、登場人物たちが軽い点が気になったものの、その極限さ故に、物語世界としては非常に魅力的なものだという印象を受けた。2巻では、一歩ずつ進んでいけば良い所を、新キャラの登場、あるいは物語の展開等、一気に5歩も6歩も進んだように見えた。この辺りの性急さは、ライトノベルである以上、仕方がないものと考えていたが、3巻の状況を踏まえてもう一度考えてみると、2巻の段階で今回のような終わり方は既に半分以上見えていた気もする。

 どういう形で物語を終わらせるか、というのは重要であると同時に、非常に難しいものでもあると思う。この3巻についていえば、「連載打ち切りが数週間後に決まっている少年漫画」的な展開そのままといえる。つまり、ただひたすらエンディングに向かって突き進んでいく展開。

 この世界観には期待も大きかっただけに、この展開、終局には非常にがっかりした。完全に戦略、あるいはマーケティングミスだろう。そもそもこのタイプの小説はいわゆるライトノベルとしては、異質だろうと思う。だから、その段階でそれほど売れるものでないことは予測出来る。したがって、その時点である程度覚悟を決めて、じっくりと進めていくことを選択するか、あるいは、きちんとSFで勝負出来るような作品に仕上げて、そちらで勝負した方が良かったと思う。この種の設定なら、むしろSF読者の方がなじみがあるだろうし。

 ついでに、2巻の時も感じたことだが、イラストの質がイマイチだと思う。これならば、無理にイラストを入れるよりも、読む側の想像力にまかせてしまった方がいい。このあたりも詰めが甘いというか、全体的にもう一歩な感じが残ってしまう。次のシリーズでは、きちんと完成度の高い作品を期待したい。

The Flood

"The Flood"
by Take That
from album "Progress"
2010
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 まさにブリティッシュ・ロック。この1曲だけ聞いた印象だと、なんとなくManic Street Preachersとかと近い感じがする。これまで聞いたことがないバンドだったが、調べてみるとイギリスではかなり有名らしい。折角なので、他のも色々聞いてみようと思う。

cf. Link to Wikipedia on Take That, and on album "Progress"

2010年12月3日金曜日

"Shine" by Black Gold

"Shine"
by Black Gold
from album "Rush"
2009
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 ある意味とてもロックバンドらしい曲だと思う。良い。

cf. Link to Official Website, http://www.blackgoldmusic.com/
cf.Link to Wikipedia on Black Gold
cf. YouTube

"Becoming a Jackal" by Villagers

"Becoming a Jackal"
by Villagers
from album "Becoming a Jackal"
2010
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 こちらもアイルランド出身バンドの曲。これもそれほど激しくないので、仕事の時などに聞いていて邪魔にならない曲だと思う。ただ、それほどメリハリがあるわけでもないので、好き嫌いが分かれるとも思うが。個人的には嫌いじゃないが、ミュージックビデオがもう少し気が利いていると良いと思う。今のだと、合成した部分が丸分かりで、イマイチしょぼい印象を受ける。

cf. Link to Official Website, http://www.wearevillagers.com/
cf. Link to Wikipedia on Villagers
cf. YouTube

"When We First Met" by HelloGoodbye

"When We First Met"
by HelloGoodbye
from album "Would it Kill You"
2010
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 ポップな曲。特にどうということもない曲だが、聴いていて苦にならない。YouTubeのミュージックビデオの方も、やっていることはシンプルだが、これも面白い。コスト的にも高くならないだろうし。なんだかんだ完成度は高いと思う。また、この曲も3分にも満たないし、アルバムの他の曲も総じて短いというのも良いと思う。

cf. LInk to Official Website, http://www.hellogoodbye.net/wiky/#
cf. Link to Wikipedia on HelloGoodbye
cf. YouTube, Official Music Video

"No Surprise" by Friends of Emmet

"No Surprise"
by Friends of Emmet
from album "Coming Apart"
2010
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 非常に聴き易いメロディ、テンポの曲。彼らのHPによれば、ダブリン→LAということらしいが、元々英国のバンドというためか、途中のメロディで、ビートルズの"Across the Universe"と少し似た感じの所もあった気がする。バックの楽器の音もゆったりとしているので、ゆったりと聴ける曲だと思う。

cf. Link to Official WebPage, http://www.friendsofemmet.com/
cf. YouTube

2010年12月1日水曜日

冲方丁 公式読本 『天地明察』から『マルドッゥク・スクランブル』まで徹底解析!

冲方丁 公式読本 『天地明察』から『マルドッゥク・スクランブル』まで徹底解析!
洋泉社
洋泉社ムック
2010年11月25日 発行
ISBN: 978-4-86248-631-8
C9495
雑誌コード: 69044-99
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 冲方丁のムック本。

 天野喜孝との対談やインタビューなど、冲方丁がどう考えていたのか、また、どう考えているのかなど、冲方丁の「言葉」が沢山ある。また、野生時代やユリイカの特集に比べて、情報量が非常に多い。これまでの作品やインタビュー記事などから引用されている言葉も圧倒的だし、また、これまでに関わった小説以外の作品についても、網羅的に挙げており、非常に丁寧に作られている。その意味で、今後冲方丁を攻略していく上で、大きく役に立ってくれそうな本である。

ユリイカ 10月臨時増刊号 第42巻第11号(通巻586号)

ユリイカ 10月臨時増刊号 第42巻第11号(通巻586号)
青土社
2010年9月25日発行
ISBN: 978-4-7917-0213-8
C9490
雑誌コード: 68928-88
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 これも名前は聞いたことがあったが、読むのは初めてという雑誌の一つ。

 流石に総特集というだけあって、これまでの作品の解説は勿論、作家や書評家など色々な人の寄せた記事、或いは対談、書き下ろしとかなり盛りだくさんな作りになっている。個人的には、第3者の書いた記事などよりも、3本の対談が面白かった。

 養老孟司との対談で話していたが、この人は、解剖の歴史についてかなり調べていたらしい。もちろん、これは自身の研究との関連という面もあるのだろうが、自分はと言えば、「解体新書」やそれを誰が翻訳したのか、などの学校で習った知識で思考停止していたので、解剖の歴史を考える、というのはある意味、目から鱗というか、何か自分の知らない世界が少しだけ開けてきたような感じさえした。欲を言えば、この対談の記事として載っている後にどんな話をしていたのかが気になる。どうにも終わり方が唐突、というか、これから面白い話が始まるをというようにに終わっている気がした。

 夢枕獏との対談は、同じ作家同士のためか、話す内容もそちら方面が多く、また、最初こそかみ合っていないようにも見えたが、全体として、非常に楽しんでいるんだな、というのが目に見えるようで、読んでいるこちらも楽しくなってくるようだった。これまで夢枕獏という作家の作品を読んだことはなかったが、これを機に少し読んでみようか、という風にも思った。

 前二人との年齢差が比較的大きく、後輩が先輩に話を聞く、というような構図だったのに対し、篠房六郎とは同じような年代のためか、色々とホンネの等なものも見えて面白かった。残念ながら、篠房六郎の作品をほとんど知らないので、イメージしづらい部分もあったが、話している等の二人は意外と気が合っているようだった。

 全体としての出来もそうだが、この3本の対談だけでも読んでみる価値はあると思う。

野性時代 10 vol.83

野性時代 10 vol.83
Kadokawa 文芸 Mook
角川書店
2010年9月11日発行・発売
ISBN: 978-4-04-722133-8
C9495
雑誌コード: 62331-85
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 角川の野性時代の2010年10月号。

 冲方丁の特集があるということなので、読んでみた。この雑誌を読むのは初めてなので、通常どの程度のものなのかわからないが、それほど感心しなかった。もちろん、こういった文芸誌を読む習慣もないし、そもそも目当ての特集以外読んでないので、それ以外の所については何とも言えないが。

 角川ということで、ある程度やむを得ない気もするが、全体的に『天地明察』に偏りすぎに感じられる。冲方丁という作家について考えたとき、『天地明察』という作品は(というより他のどの作品もそうだと思うが)、あくまでもごく一部の面を表したものに過ぎないと個人的には思う。だからこそ、一つの作品ばかりに焦点を当てて、というやり方では不十分に感じる。角川なら、折角作品を幾つも出していたりと、少なくとも、全然つながりのなかった出版社よりは、より近い所にいるはずなのだから、表面的な情報にとどまらずに、もっと深い所まで踏み込んだようなものを期待したかった。

 全体としては、総力特集という割には、ごく普通の特集のように思えた。個人的には、同じ時期に出た、ユリイカの特集、あるいは洋泉社のムック本の方が、好みの面でも内容の充実度の面でも良かったように思う。

2010年11月29日月曜日

We No Speak Americano

We No Speak Americano
by Yolanda Be Cool & DCUP
2010
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 こういったカバー作品の場合、特にラップ調のカバーをされた場合だと、元の曲の良さを壊してしまうようなものが多い、という印象を個人的に持っていたので、そういったものはあまり好きではなかったが、これに関してはそういった印象はあまり受けなかった。原曲を知らなかった、というのもあるのかもしれないが、こういうのもたまにはいいと思う。

"We No Speak Americano"
by Yolanda Be Cool & DCUP
cf. Link to Wikipedia on Yolanda Be Cool & DCUP


"Tu Vuò Fà L'americano" (Original Version)
by Renato Carosone
cf. Link to Wikipedia on "Tu Vuò Fà L'americano"

Naturally

"Naturally"
by Selena Gomez & The Scene
from album "Kiss & Tell"
2009
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 初めに聞いたときは、勿論映像もなく、音だけだったので普通に聞いていたけれど、1992年生まれと知り驚いた。確かに顔を見ると若い。特に何かあるわけでないけれど、何となく耳に残る曲。

"Naturally"
by Selena Gomez & The Scene
cf. Link to Wikipedia on Selena Gomez & The Scene

2010年11月28日日曜日

ニッポン洋楽ヒッツ! ORICON International Popular Hit Chart Compilation 1968-1979

ニッポン洋楽ヒッツ! ORICON International Popular Hit Chart Compilation 1968-1979
Universal Music
2010
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 タイトル通り、洋楽のヒット曲のコンピレーションアルバム。

 これといって特筆すべき点はない、ごく普通のアルバムだと思う。勿論、ヒット曲を沢山収録しているので、聴き応えはある。しかしながら、これと同種のコンピレーションアルバムはもう既に山ほどある。そういった先行作品との差別化、という点でどうにも弱く見えてしまう。CD2枚組46曲のうちで、おそらく初めて聴くという曲が5、6曲ほど。それ以外のものについては、別のアルバムで聴いたことがあるものばかり。この種の企画もののアルバムも、いい加減飽和状態にあるのだから、何か別のコンセプトで勝負すべきだと思う。

 いくつか気になった所など。「ナオミの夢」は日本語バージョンでも良いが、折角洋楽のアルバムなのだから、ヘブライ語のバージョンで聞いてみたかった。それ以外でこれまであまり聞いたことがなかった中で、今回聞いてみて気に入ったのは、Christieの「Yellow River」とか、Mashmakhanの「As the Years Go By(霧の中の二人)」など。

"Ani Holem Ani Naomi(ナオミの夢)(ヘブライ語ヴァージョン)"
by ヘドバとダビデ


"Yellow River"
by Christie
cf. Link to Wikkipedia on Christie


"As Years Go By(霧の中の二人)"
by Mashmakhan
cf. Link to Wikipedia on Mashmakhan



記録の中の殺人

記録の中の殺人
石崎幸二
講談社
講談社ノベルス イN-07
2010年11月2日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182749-3
C0293
241ページ
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 女子高生+サラリーマンという、いつものチームのシリーズ。

 最初の1、2作目のときは、会話の面白さなど新鮮に感じたが、シリーズを重ねるごとに、だんだんこちらが慣れてきたためか、マンネリ感がある。確かに、会話はその他の(真面目な?)ミステリと比べると面白いと思うが、どうしても受け狙いのように見えるというか、少々無理をしている、と感じさせる場面が少なからずある。もちろん、面白い会話はあって良いが、核となるミステリの部分が弱いと、ただのギャグで終わってしまう。

 今作のミステリ的な部分はというと、謎を解く、という点について興味が向いていないように感じる。動機の面でも、やや無理があるというか、時折聞かれる「そんな動機で人を殺すか」的な批判が、この作品にはそのまま当てはまってしまっている。もちろん、これでOKと考える人もいるだろうが、個人的には少々キツイように思う。個人的にはこういったテイストの作品は割と好きなので、それだけに、シリーズがどうも右肩下がりになってしまっていて残念だ。

とある魔術の禁書目録(=インデックス)22

とある魔術の禁書目録(=インデックス)22
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-26
2010年10月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-868972-4
C0193
313ページ
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 シリーズ22巻にして、「神の右席」編完結巻。

 長かった「神の右席」編がようやく完結。ここ何冊かの展開、盛り上がり方等を見ていて、ひょっとしてこの「神の右席」編が終わると同時に、このシリーズも完結するのではないか、と思っていたが、そうはならないようでとりあえず一安心。ラストのシーンについても、この後の展開をどうするのか、という終わり方である一方、このキャラならこうするか、というある意味納得出来る感じもある。

 ここ何冊かで、随分と無茶苦茶に暴れた分も含めて、この後の展開がどうなるのか、非常に楽しみだ。そういえば、アニメの第2シリーズをやっているが、どの辺りまでやるのだろうか。あまりに話を進めてしまって、「神の右席」編に入ってしまうと、途中できりづらくなるし、かといって、だらだらと延ばしても鬱陶しいし、珍しく上手くアニメ化されている作品だけに、その辺もきっちりやって欲しい。

2010年11月24日水曜日

キノの旅XIV -the Beautiful World-

キノの旅XIV -the Beautiful World-
時雨沢恵一
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-8-33
2010年10月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-868967-0
C0193
267ページ
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 シリーズ第11巻。

 特別なストーリーがあるわけではないけれど、質が安定しているので安心して読める。これまでの巻にも、現実の世界に対する皮肉のような記述は、少なからず見られたが、今回は、twitterと思しきものをモチーフにしていたりと、いつもよりもより現実とのつながりがあるように感じられた。

 短編集でありながら、数十ページにも及ぶものから、口絵の数ページ分のものまで、色々バリエーションがあるのがやはり良いと思う。一連のあとがきなどでもそうだけれど、本というメディアをトータルで使って作品が出来上がっているのが、今の電子書籍に関する動きを考える上でも興味深く思えた。

ザ・ベスト・フィフティ・フィフティ

ザ・ベスト・フィフティ・フィフティ THE BEST 50-50
ザ・ピーナッツ THE PEANUTS
King Records
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 タイトル通り、ザ・ピーナッツのベストアルバム。

 『スーパーレア・コレクション』がどちらかというとマイナーでこれまであまりCD化されていない曲が中心であるとするなら、今作はCD2枚組で50曲と、おそらく代表曲はほぼ網羅したであろうアルバム。

 ただ、リアルタイムでザ・ピーナッツを知らない人間からすると、ちょっと多い気もする。つまり、正直に言って、このアルバムの中で知っている曲は10曲あるかないかくらいであり、それらのほとんどは1枚目の方に収録されている。というのも、そもそも企画として、アンケートの上位50曲を収録したアルバムになっている。だから、入門向けというか、普通のベストアルバムで十分という人間に対しては、やや過剰だろうし、反対にコアなファン向けとしては、『スーパーレア・コレクション』のようにそれこそコアな曲を集めるという方が良いように思う。その意味では、コンセプトがやや適当でない様に感じる。とはいえ、そこまで細かいものを求めないのであれば、「モスラの歌」もちゃんとあるし、このアルバムで十分すぎるほどだと思う。

すべての美人は名探偵である

すべての美人は名探偵である
鯨統一郎
光文社
光文社文庫 く 10-6
2007年12月20日 初版1刷発行
ISBN: 978-4-334-74348-2
C0193
479ページ
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 今作は、『邪馬台国はどこですか?』や『新・世界の七不思議』の早乙女静香と『九つの殺人メルヘン』、『浦島太郎の真相ー恐ろしい八つの昔話』、『今宵、バーで謎解きを』に登場する桜川東子のコンビを主人公とした長編。

 個人的な感想としては、いまいちな出来だと思う。長編となった分、どうしても冗長な感があるというか、ミステリ以外の会話など別の部分での面白さ、というかギャグ的な場面の分量が短編の作品に比べると、やや多くなっている気がする。その分、キレがややないように感じるし、また、中盤から後半にかけてのクライマックスが近くなってくる段階で、犯人(或いは敵方の人間)が誰であるのかわかってしまっている。勿論、この辺りは意図的だと思うが、緊張感という意味では少し無くなってしまうように感じる。

 ただ、短編集では、ややヒステリック気味な三枚目役を演じている早乙女静香の活躍する場面があるなど、そちらの作品を知っている人間はこの作品単品だけではなく、違った楽しみ方もあると思う。

2010年11月7日日曜日

新・世界の七不思議

新・世界の七不思議
鯨統一郎
東京創元社
創元推理文庫 M く 3 2 422 02
2005年2月25日 初版
ISBN: 4-488-42202-0
C0193
328ページ
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 『邪馬台国はどこですか?』のメンバー再登場の短編集。

 前作にあたる『邪馬台国〜』が主に日本史上の謎をテーマにしていたのに対して、今作では世界の七不思議をテーマとしてしている。そもそも『邪馬台国〜』が作者のデビュー作でもあり、そこでの登場人物たちの軽快な会話というのは健在だし、また、彼らの物語がまた読めるという懐かしさも勿論ある。ただ、全体的にはやや強引な印象を受ける。テーマとしたのが世界の七不思議だからというのもあるのかもしれないが、世界の七不思議についてほとんど何も知らないという登場人物の設定も、あるいは、途中の論理展開も、最後の結論部にしても、そのすべてがそうだとは言わないが、短編集として同じような分量の作品を幾つも読むと、どうしても強引な面、ワンパターンな展開と言った面が目立ってしまうように感じる。世界の七不思議というものに対して、あまりなじみがないからかもしれないが、『邪馬台国〜』のときほどのインパクトはないように思う。

とらドラ・スピンオフ3! 俺の弁当を見てくれ

とらドラ・スピンオフ3! 俺の弁当を見てくれ
竹宮ゆゆこ
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 た-20-15
2010年4月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-868456-9
C0193
305ページ
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 スピンオフの3巻。イマイチ。

 解説等にもあるように、本編との直接的なつながりはほぼなく、色々な媒体に書かれて短編をまとめたもの。時期的には、最終10巻が出てから1年ほど経っており、「その後」の展開や本編では語られなかったエピソードなどを期待していたが、時系列もあまり関係ないし、そもそもパラレルワールド的な話もあったりと、こういった遊び的なことをするのであれば、本編完結の前にやっておいた方が良かったと思う。もちろん、10巻の2ヶ月前に、スピンオフの2巻が出ているので、出版社的には続けて出しづらいというのはわからないでもない。しかし、折角きれいに完結した後にこういうのを出すというのは、イメージダウンになりかねない、というかほとんどそれ以外の効果はないと思うので、もう少しトータルに考えてマーケティングした方が良いと思う。全体として残念な印象。

マルドゥック・スクランブル 〔改訂新版〕

マルドゥック・スクランブル 〔改訂新版〕
冲方丁
早川書房
早川書房 117154
2010年9月20日 印刷
2010年9月25日 発行
ISBN: 978-4-15-209153-6
C0093
639ページ
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 マルドッゥク・スクランブルの約7年ぶりの改訂新版。

 今回数年ぶりに、『マルドッゥク・スクランブル』を読んでみての印象としては、この作品はやはり密度が非常に濃く、またとても面白いということ。そもそも旧版も一度しか読んでいないので、全体に渡って手を入れられているといっても、時折、こんなシーンはあったかな、という程度でその辺りの変化、或いは違和感というのはほとんど気にかからなかった。ただ、当然のことながらストーリーを知った上で読んでいるので、初めて読んだときに受けたほどの圧倒的な衝撃はなかった。 あと印象としては、カジノでのシーンがもっと長かったような気がしたが、全体的に無駄な動きがないというか、非常にテンポ良くラストまで進んでいったように感じた。

 この単行本のバージョンも、これだけのボリュームでありながら値段もかなり抑えめだし、良いと思うがやはりちょっとでかいので、文庫の「完全版」もそろそろ読みたい。ただ、できるならもう少し時間を置いてなるだけ真っ白な状態で読みたい気もする。更に、映画も完成度は非常に高いようだし、或いはコミック版も面白そうだし、更に英訳版もあるらしいので徐々にそちらも見ていきたい。

2010年11月2日火曜日

ヴぁんぷ!V

ヴぁんぷ!V
成田良悟
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 な-9-36
2010年10月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-868928-1
C0193
401ページ
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 約2年ぶりのシリーズ第5巻。

 今回は4巻と同時期の話で、島に残った面々のエピソード、特に、レリックと市長ヴォッドを中心とした話。これまでは、雑魚キャラというか、小物キャラだった市長の格好いい場面が幾つもあり、そのあたりが今回の注目点だと思う。また、裏で糸を引いているであろう存在が示唆されていたりと、今後の展開とも関わってくる可能性のある点もいくつかあった。

 また、3巻から4巻のときも3年程度間が開いていたが、今回も約2年開いている。正直、これだけ開いていると、作品の雰囲気などはともかく、細かい設定だとか脇役キャラなどどうしても記憶が曖昧になってしまう。もちろん、前の巻を読み返せば良いだけではあるが、もう少し短いスパンで続編を出して欲しいと思う。

とある魔術の禁書目録(=インデックス)21

とある魔術の禁書目録(=インデックス)21
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-25
2010年8月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-868762-1
C0193
325ページ
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 第21巻。

 今回も前巻と同じく、3人の主人公たちがそれぞれの目的のために戦う、という構図。巻末のあとがきで作者が書いているように、まだ途上というか、これからようやくこの一連の戦いのクライマックスを迎える、という所までで終わってしまっているので、どうしても物足りなさが残る。

 いくつかポイントとしては、3人の主人公たちのうちの一人は、とりあえず目的達成のための目処が立ったこと(ただ、この後バトルになりそう)。それから、こちらがどう聞いてくるのかわからないが、これまで魔術を認識していなかった、科学の側の人間が魔術を体験していること。当然、自分たちの科学で説明がつかないことは理解出来ている。そこから、それをどう消化していくのか、また、今後の展開にそれがどういう風に聞いてくるのか。正直、もう気のせいで済むレベルではなくなっているので、今後どうするのか興味深いと思う。

 おそらく、この一連の戦いも次くらいで決着がつくと思うので、そちらも楽しみにしたい。

ゴールデン☆ベスト

ゴールデン☆ベスト
小椋佳
2004
Universal Music
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 小椋佳のベストアルバム。

 今回は特に「めまい」を聞きたくて探したアルバム。リアルタイムで聞いていたわけではないので、タイトルだけではなかなかどんな曲なのかわからない曲が多かったりもするが、実際に聞いてみると知っている曲が多いのに驚いた。聞いてみて良いと思ったのは「さらば青春」とか「白い一日」とか。「さらば〜」のメロディは知っていたが、こういうアレンジというのは少し意外な気もした。このアルバムの中には、他の歌手が歌ったものも何曲も収録されているが、こういう小椋佳の歌い方も、いい具合に力が抜けているというか、しつこくなくて良いと思う。

2010年11月1日月曜日

剣の女王と烙印の仔V

剣の女王と烙印の仔V
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-05
2010年5月31日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8401-3404-0
C0193
261ページ
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 シリーズ5作目。

 1、2巻の時のように、あれもこれも詰め込んだかのような感じと比べると、この巻は、今後の展開に備えての準備段階という感じ。そうはいっても、閑話休題というわけではなく、精々が大規模な合戦の場面がないというだけだ。それほど規模の大きくない戦闘はあり、むしろそれ自体はかなり大きな意味があるようなものばかりだ。

 また、紋章の秘密がまた少し明かされるとともに、これまでは、王国軍対、連合軍という一対一にある意味では、シンプルな構図だったが、ここからは、帝国軍も加わり、単純な三つ巴以上に複雑さが増すことが予想される。

 それぞれがそれぞれの思惑を持ち、また、烙印、紋章という特殊な設定もある。この世界の設定の魅力は当初からわかってはいたが、巻が進むごとにどんどんダイナミックになっているように思う。大抵は広げた風呂敷を活かしきれずに小さくまとまっていく作品が多いと思うが、この作品はここまでの所上手く行っているので今後も期待したい。また、1、2巻のときと比べて全体的に余裕が出てきている点もいいと思う(おそらく、最初のうちは、ある程度売れないと即打ち切り的なことがあるのかもしれないが、こういう枷が作品に展開に影響して欲しくない。その意味では、ようやく本番という感じか)。

猫物語(黒)

猫物語(黒)
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-21
2010年7月28日 第1刷発行
2010年8月11日 第3刷発行
ISBN: 978-4-06-283748-4 C0093
308ページ
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 ゴールデンウィークのときのエピソード。

 それこそ一番最初、「化物語」のときから、存在自体はほのめかされつつ、その内容に関しては語られていなかった、ゴールデンウィークの猫の話。猫自体は、それこそ『化物語(下)』の「つばさキャット」でも出てきているし、また、これまでの断片的な情報から、漠然とした印象はもっていたが、実際に読んでみると、そんなに単純な話ではないことがわかる。どの辺りから、こういう展開を意識していたのかはわからないが、こちらに想像出来るだけの情報を与えつつ、そこから誤った事件を想像するよう仕向けるあたり、流石に上手いと思った。

 後半部分でややバトルっぽい展開になるためか、前半でのエロ展開とのギャップがある。勿論意図的にやっていることだろうが、少し安易すぎる気もする。まあ、それも含めてこのシリーズの世界観とも言えるけど。

 また、本書の内容とは関係ないが、巻末に今後の予定(タイトルとか出版時期とか)が掲載されていたが、このペースはかなり厳しいものだと思う。数ヶ月置きに、コンスタントに出版されるのは嬉しいし、ある程度ブームにあるうちにもとを稼ぎたい出版社の気もわからないではないが、きちんと質を確保してもらいたい。

キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人

キャットフード 名探偵三途川理と注文の多い館の殺人
森川智喜
講談社
講談社BOX モA-01
2010年7月1日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283752-1
C0093
230ページ
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 猫が主役のミステリ。

 猫が登場するミステリは「三毛猫ホームズ」やリリアン・J・ブラウンのシャムネコ・ココのシリーズなど色々とあるが、こういった形で猫の一人称で進んでいくタイプのものは珍しいと思う。多くは、別にいる人間の探偵に何らかのヒントを与えたり、そもそも人間ではなく動物たちがメインの中で探偵役をやったりというパターンで、今回のように人間と猫の割合が同じくらいというのも新鮮で面白いと思う。

 猫視点で描かれているということもあるのかもしれないが、全体を通してユーモラスな印象を受けた。それだけに、事件の印象が大分ギャップがあるというか、想像してみると結構強烈な感がある。勿論、猫が事件を解く、ということで殺人事件が起きることはわかってはいたけれど、前半で受けた印象とのギャップが結構あった。また、全体的に分量も多くはなく、結構テンポ良く進んでいった。ただ個人的には、後半部分などもう少しじっくりと読んでみたいという気もしたが、アイディア、或いは作品全体の雰囲気などは割と好きな部類に入るので、この後のシリーズも(あるかどうかわからないが)期待したい。

2010年10月13日水曜日

ママ、死体を発見す

ママ、死体を発見す
クレイグ・ライス
水野恵 訳
論創社
論創海外ミステリ48
2006年4月10日 初版第1刷印刷
2006年4月20日 初版第1刷発行
ISBN: 4-8460-0663-8
C0097
290ページ
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Mother Finds a Body
by Craig Rice
1942
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 クレイグ・ライスによるジプシー・ローズ・リー名義による第2作目。

 この作品も、また、同じくジプシー・ローズ・リー名義の第1作目にあたる『Gストリング殺人事件』も文字情報としては知っており、読んでみたいと思っていたがなかなか読む機会が無かった。今回(と言っても2006年に邦訳が出たので少し時間は経っているが)、多少不安はあったが面白かった。

 そもそもクレイグ・ライスではなく、別名儀として書かれたもの(と言われているらしいが確たる証拠があるというわけでは無いそう。そのためか、アメリカのアマゾンでは、ジプシー・ローズ・リー名義で出ている)ということもあり、自分の知っているライスの作品と雰囲気が違いのでは、と危惧していたが、読んでみる限りその作風はライスのそれと変わりがないと思う。最初のうちは、いつものシリーズと違いなじみが無い人物(とサルとかネズミとか犬とか)が出てきたり、元ストリッパーの現ブロードウェイ女優一行の新婚旅行などなかなか様子が思い浮かべづらいが、死体をめぐって二十三重にドタバタが起きて、という展開はお約束。一旦スピードついてからは一気に読める。

 今作はシリーズの2作目にあたる作品であるので、出来れば前作の『Gストー』の方も読んでみたいと思う。少なくとも、近場の図書館を調べた限りだとなさそうなので(邦訳は1950年に汎書房から)、それこそ国会図書館にでも行かないとダメそうなので、ぜひ出してもらいたい。

2010年10月12日火曜日

大誘拐

大誘拐
天藤真
東京創元社
創元推理文庫 M て 1 9 408 09 天藤真推理小説全集9
2000年7月21日 初版
2005年7月15日 14版
ISBN: 4-488-40809-5
C0193
456ページ
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 第32回日本推理作家協会賞長篇賞受賞作。

 普通は「〜賞」受賞というような煽り文句や映像化といった話は、作品が面白いかどうかの判断にはそれほど当てにならないし、また、そもそも気にしてもいないけれど、この作品に限っては間違いなく大当り。これまでにもこの創元推理文庫に入っている天藤真の作品は何作か読んでいるし、また、それらも非常に面白いと感じたが、それらと比べても、今作の方がずっと良かったと思う。

 まず何よりもキャラが良い。メインになって動く誘拐犯3人、誘拐される刀自、それを追いかける(或いは翻弄される)警察、それぞれが真剣になって突き進んでいく様は、物語のテンポもあって読んでいて非常に臨場感がある。また、作品が発表されたのが今から大分前であるにもかかわらず、古さを感じない点が凄いと思う。勿論、色々な点で今ではあり得ないような所もあるが、それでも、核となる部分の面白さは損なわれてないと思う。仮にもし、またこの作品を映像化しようとしたとしても、十分に通じるものが出来ると思う。

ストラング先生の謎解き講義

ストラング先生の謎解き講義
ウィリアム・ブリテン
森英俊 編
森英俊/白須清美 訳
論創社
論創海外ミステリ94
2010年8月15日 初版第1刷印刷
2010年8月25日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8460-1054-6
C0097
361ページ
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Mr. Strang Gives a Lecture and Other Stories
by William Brittain
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 ウィリアム・ブリテンのストラング先生シリーズの短編集。

 この「ストラング先生シリーズ」もまたもうひとつの「〜を読んだ」シリーズもそのタイトルだけは聞いたことはあっても、古いミステリマガジンにいくつか掲載されたのみで、なかなかまとめて読むことが出来なかったが、こうやって短編集という形でまとめられようやく読むことが出来るようになった。「〜を読んだ」シリーズがシリーズといいつつも、それぞれの短編自体の関連が無いのに対し、こちらはストラング先生を主人公に通常の意味でのしリーズになっているので、その点でこちらの方が読み易いように感じた。

 また、この作家の作品自体なかなかお目にかかることがないため、どうしても翻訳されたこと自体がある意味で非常に幸運だと思いがちで(実際、このシリーズも1冊にまとめられたりはしていないようだし)、どうしても作品自体の出来に対する評価が甘くなりがちだが、この短編集に関していえば、そういった面を差し引いても、ストラング先生のキャラクターも、ミステリとしての出来自体も非常に良く、とても楽しんで読むことが出来た。まだ、今回の短編集に収められた作品以外にも何編かあるようなので、これ1冊で終わりではなく、残っている作品もぜひ読んでみたい。

2010年10月9日土曜日

今宵、バーで謎解きを

今宵、バーで謎解きを
鯨統一郎
光文社
カッパ・ノベルス
2010年4月25日 初版1刷発行
ISBN: 978-4-334-07694-8
C0293
228ページ
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 『九つの殺人メルヘン』、『浦島太郎の真相—恐ろしい八つの昔話』につづくシリーズ第3弾。

 ヤクドシトリオ+1によるこのシリーズも、流石にマンネリな感が強いが、そのマンネリを無理になんとかしようとせずに、むしろ逆手に取って結構好き勝手なことをやらしているように思う。その辺りも含めて、毎度事件をギリシャ神話に絡める強引さも、ある意味でこのシリーズの魅力だと思う。勿論、真剣に読む漢字はあまりしないが、ちょっと気楽な漢字で読むには適していると思う。

学園キノ4

学園キノ4
時雨沢恵一
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-
2010年7月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-
C01
297ページ
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 シリーズ第4作目。

 当初、2巻くらいまでは、パロディ色が強く、ほとんどストーリーも何もないままにそれぞれのキャラクターが暴走しているという感じが強かった(というか、暴れるために適当なストーリーをくっつけたという雰囲気だった)が、3巻で多少印象が変わり、ややまともなストーリーがついた。そして、今回も引き続きどちらかというとストーリーの比重が少し大きいように感じる。もちろん、同じくらいに暴れてもいるが。その辺りは、まともになったと喜ぶべきか、それとも牙を抜かれたと見るか。バランスが難しい。個人的な印象としては少し、ストーリー側により過ぎな気がする。

 ちなみに、一番印象に残ったのは「あめんぼの歌」。

オリジナルドラマCD 不問語(=とわずがたり)

オリジナルドラマCD 不問語(=とわずがたり)
脚本/西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-20
2010年1月21日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283734-7
C0493
63ページ
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 『佰物語』が『化物語』の方のキャラクターによるドラマCDだったのに対し、こちらは『刀語』のキャラによるもの。

 タイトル通りというか、キャラクターらによる掛け合いは無く、ひたすら一人で喋り続けているものが5本。確かにタイトルとは合っているけれども、面白くはない。もちろん、その内容からそのキャラクターの性格とかは何となくわかるかもしれないが、正直、どういう層を対象としているのかわからない。既に原作を読んでいる人には不要だし、アニメから入る人に取っては不親切だし、一つの実験としては有りかもしれないが、イマイチ効果的でないように思う。ついでに、アニメ放送の始まる前に発売するためか、各キャラクターのイメージが固まる前に収録されたようで、その辺りもイマイチぱっとしない要因かもしれない。

バッカーノ!1710 Crack Flag

バッカーノ!1710 Crack Flag
成田良悟
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 な-9-34
2010年4月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-868459-0
C0193
357ページ
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 『1705年』に続く、まだ不死者になる前の物語。

 この後の、誰が生きていて誰がいないのかを知って読んでいるので、最終的な結末自体はある意味わかっていたけれど、それでも、色々と感じる所がある。このシリーズは途中二転三転あったとしても、最後には丸く収まるような、そういうところがあるが、今作に関しては最後が一番残酷だった。このシリーズを読んでいる人の中でも、人によって好き嫌いがあると思う。

2010年9月15日水曜日

なつのうた HiHiRecords Season Best

なつのうた HiHiRecords Season Best
Victor
2008
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 夏をテーマにしたアルバム。他に春、秋、冬でも同様のアルバムがある模様。

 最初の方は、「おかあさんといっしょ」など他のアルバムでも時々見かける曲。珍しい所としては、「かもめの水兵さん」、「ラジオ体操」の第一、第二や「マイムマイム」、「ジェンカ」など懐かしいけれど改めて聞く機会はあまりない曲。この辺だけでもちょっと聞く価値はあると思う。それにしても「マイムマイム」がイスラエル民謡、「ジェンカ」がフィンランド民謡だと初めて知った。

新幹線大爆破

新幹線大爆破
ジョゼフ・ランス 加藤阿礼
駒月雅子 訳
論創社
論創海外ミステリ93
2010年7月15日 初版第1刷印刷
2010年7月25日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8460-1052-2
C0097
297ページ
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Bullet Train
by Joseph Rance and Arei Kato
1980
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 映画「新幹線大爆破」の英国版のノベライズの翻訳。

 映画の方を見たわけではない(というよりもそもそも知らなかった)ので、そちらのとの比較は出来ないが、全体を読んでみての印象は、テンポが良いということと、やや物足りない感じがすること。テンポについては、それこそ「夢の超特急」が舞台でもあり、文句無く良いと思う。映画の方がどうなっているのかはわからないが、描写も割と淡々とした描写で進んでいき、登場人物が何を考えているのかを必要以上に書かない。そこから読む側が想像することで、それが臨場感にもつながっているのだと思う。

 また、これも映画のノベライズという設定のためだと思うが、視点が作中の人物にたびたび変わる。新幹線の運転手や、乗務員、あるいは東京で指示を出す本部、警察などは当然としても、乗客の視点が少し余計な気がする。それ自体一つの象徴的なエピソードだというのはわかるが、それにしても周囲との折触があまりない金持ちの老人の視点まではいらないように感じた。

 全体としては、話そのものが随分と前のために、その辺りでの物足りなさもあるものの、話のテンポなど、楽しめる要素も十分にある。また、巻末の解説で、作者について、映画との関わりについてなど色々補足情報がるのも良いと思う。また、映画「スピード」など、いわれてみると、確かにこの作品を下敷きにしていると思われる作品が多いというのも面白い所だと思う。

2010年9月7日火曜日

レンタルマギカ 白の魔法使い

レンタルマギカ 白の魔法使い
三田誠
角川書店
角川スニーカー文庫 S 177-18
平成22年7月1日 初版発行
978-4-04-424924-3 C0193
313ページ
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 第3部になって第2弾。

 一つ前の『レンタルマギカ  銀の騎士と魔法使い』のときも感じたが、やはり第3部に入って以降、物語のテンポが急速に上がっている。それ以前が割と濃密だったからかもしれないが、ここ2作のスピード感は際立っている。今回も、敵方である「螺旋なる蛇(オピオン)」の幹部たちが(勿論全員ではないが)ずらりと登場し、この辺りの展開だけ見ると、ほとんどラスト手前かというほどになっている。折角第3部にもなったばかりだし、すぐに完結ということは無いと思うけど、そうなってくると、先の展開が読めなくなってきて、ますます楽しめるかもしれない。

小説家という職業

小説家という職業
森博嗣
集英社
集英社新書 0548F
2010年6月22日 第1刷発行
ISBN:978-4-08-720548-0 C0295
199ページ
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 『自由をつくる自在に生きる』、『創るセンス 工作の思考』の「自由」、「工作」に続く集英社新書からのエッセイの3冊目。

 前2作は、これまでブログや書籍などで書かれた内容を、それぞれのテーマにまとめたという性格の本であり、細かい部分についても既出のものが多いという印象を持った。今回も無いようについては、これまで展開してきたものをもう一度述べているだけなので、そういう意味での驚きは無い。ただ、前2作と違う点は、今作はこれまでの記述よりもより踏み込んだ内容、具体的な内容があるということだ。勿論出版社名を出しての批判などではなく、具体的にどのようなプロセスが行われたのか、ミスに対してどのような対応がされたのか、など出版界にいなければなかなか想像出来ない話が色々と載っていて面白い。

 また、出版社に対する意見や、将来の出版に対する展望も興味深い。出版社に対して批判的なことをいう作家というと、自分が何かのトラブルに巻き込まれたりして感情的になっている人間が多い気がするが、本書ではそういった感情抜きで、冷静に見ている。電子出版などについても、同様で、いわゆるジャーナリストといった作家ではない人間の意見ではなく、実際に何冊もの本を出している作家の側から見ているという点で意味があると思う。

財津和夫の曲たちII ~たくさんのアーティストへの提供曲集~

財津和夫の曲たちII ~たくさんのアーティストへの提供曲集~
財津和夫
Victor
2009
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 『財津和夫の曲たちI』がソロベストだったのに対し、2は他のアーティストへの提供曲やカバー曲を集めたアルバム。

 男女を問わず、また、70年代から、2008年の伴都美子や平原綾香まで、非常に幅広い、という印象を受ける。これまでに他のアーティストへ提供した曲は(解説によると)200を超えるそうだから、本来なら1枚に収めようという方が凄いと思う。勿論、あえて、1枚17曲を選んだのだろうが、折角だからもっと色々な曲を聴いてみたいとも思う。また、これは提供したアーティストが歌ったバージョンだが、セルフカバーをしているものも少し聞いてみたいと思った。

生命保険のカラクリ

生命保険のカラクリ
岩瀬大輔
文藝春秋
文春新書 723
2009年(平成21年)10月20日 第1刷発行
2010年(平成22年)2月5日 第6刷発行
ISBN: 978-4-16-660723-5
C0233
235ページ
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 生命保険会社がどのようにして設けているのか、その裏側を書いている。ここでの内容は、ごくごく常識的な論理と簡単な数字で進められており、保険についての知識が特になくとも理解出来る。そして、その多くは、保険業界にとっては、あまり有り難くない内容だ。実際に保険に入ろうとする人が、どの程度まで、下調べをして保険会社や契約を決めるのかは個人差があるだろうが、両者の間の情報は良は勿論、それらのリテラシーについても、あまりにも差があるだろう。そういった意味でも、誰でもが読める(そして、理解出来る)形で、こういった本が出てくるのは非常に大きな意味があると思う。

 本書は、ネット生保の副社長の立場にある著者が書いたものだが、同社の成立過程や或いは、宣伝のような記述は、全くの0ではないがほとんど見られず、中立の立場、あるいは加入者の側に立った内容となっており、その点も良かったのではと思う。

うみねこのなく頃に Episode4 Alliance of the golden witch (下)

うみねこのなく頃に Episode4 Alliance of the golden witch (下)
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-25
2010年8月2日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283754-5
C0093
382ページ
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 第4話の下巻。

 上巻と同じく、1986年の事件とその12年後という二つの時間軸で並行して、進んでいく。分量的にも、内容的にもここまでの中では一番読み応えがある巻だと思う。ただ、やはりまだこの巻では解決せず、次回に持ち越し。その点では、やはり物足りなさは残る。ただ、この巻で必要な情報は揃ったというような記述があとがきにもあるので、そろそろ解決に向けて動き出しそうではある。『ひぐらしー』のときのように、また、一回では終わらないだろうが、のんびり読んでいきたい。

グーグル時代の情報整理術

グーグル時代の情報整理術
ダグラス・C・メリル&ジェイムズ・A・マーティン
千葉敏生 訳
早川書房
ハヤカワ新書juice 009
2009年12月20日 初版印刷
2009年12月25日 初版発行
ISBN: 978-4-15-320009-8
C0265
366ページ
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Getting Organized in the Google Era: How to Get Stuff out of Your Head, Find It When You Need It, and Get It Done Right
by Douglas C. Merrill & James A. Martin
2010
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 グーグルのCIOを勤めた人物の書いた整理術の本。読み易いし、また、面白いと思うが、「整理術」という文脈で言うと、特別に新しい情報は無いと思う。

 まず社会が課す様々な制約の中で、どのように考えて行動するか、という話。次に、アナログによる整理(紙)とデジタルによる整理の話(クラウド)、また、Gメールなどのグーグルのツールをどう利用するのか、という話。そして、最後に、仕事とプライヴェートとの関わり方についての話が少し。

 パート1と、パート2に書かれているのは主として、自らが置かれた状況の中で、いかにして行動するか、という話だ。ここで展開されている、覚えるべき事柄に物語を結び付けて記憶する、或いは、無理に整理せずに、後から検索などで調べられるようにしようというのは、それぞれ、森博嗣がブログやエッセイというで書いている内容、また、野口悠紀雄の超整理法などで書かれている方法と基本的に共通だ。グーグルのサービスについては、整理法という点は別にしても数多くの本で解説されている。

 このように、一つ一つのトピックとしては、新しい要素は無いが、洋の東西を問わず、良く似た方法が出てくるというのは、それはそれで興味深い。また、エピソードなども交えつつで読み易いし、各章末にその章の内容がまとめられており、その点でも好感が持てる。結局の所、自分はどうしたいのか、どうありたいのか、まずはそこを見極める必要があるのかもしれない。少なくとも方法としては幾つもあるのだから。

2010年9月4日土曜日

東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた

東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた
東京大学 i・school編
早川書房
2010年5月20日 初版印刷
2010年5月25日 初版発行
ISBN: 978-4-15-209132-1
C0034
153ページ
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 東大で行われたワークショップについてまとめた本。全体としては物足りない。

 本書に書かれたいる内容それ自体は、非常に興味深いし、また有意義なことだと思う。ただ、本書を読んだ人間が、やってみようと思って実行出来るかというと、まず余程のことが無い限り難しい。自身の考え方を少し変えてみるという程度ならまだしも、必然的に周囲を巻き込まざるを得ないので、よほど周囲が協力的であるか、集団として意図的にそういう方向に持っていこうという意志がなければどうしようもない。

 また、本書の立ち位置と言うか、目的もイマイチ定まっていない気がする。ハウツー本的な形で、イノベーションの手法を紹介することが目的だとしても、あるいは、具体的にワークショップで行われたことを紹介するとしても、余りに簡単に先へ先へと進んでいって、一つ一つの事例についての情報が必要最小限で、どのようなことが起きたのか想像する余地があまりない。あくまで、「東大でこんなことがあった」と簡単に紹介する、という以上の効果はないように思う。

扱っている内容自体は、非常に面白いので、もっと濃いものが読みたい。

うみねこのなく頃に Episode4 Alliance of the golden witch (上)

うみねこのなく頃に Episode4 Alliance of the golden witch (上)
竜騎士07
講談社
講談社BOX リA-24
2010年7月1日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283753-8
C0093
378ページ
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 第4話の上巻。

 これまでの3話が、ヴァリエーションの違いこそあれ、同じ物語を繰り返している問い埋めんが割と強かったのに対して、今回は新たなキャラクターの視点で、事件当時よりも先の時間軸から、物語を見るという側面があり、その点でひと味違った感じにはなっている。ただ、上下巻に分かれているのもあると思うが、これといって大きな動きはなく、むしろ回想シーンなどが多く、冗長な印象が強い。当然意図してやっていることだと思うが、もっともっと濃く、強い方が自分の好みに合っている。

天地明察

天地明察
冲方丁
角川書店
平成21年11月30日 初版発行
平成22年5月20日 12版発行
ISBN: 978-4-04-874013-5
C0093
475ページ
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 冲方丁の本。話題の本。2010年本屋大賞受賞の本。

 内容紹介のなどから、この本がいわゆる時代小説とよばれる種類の本だとあったので、あまり読む気はしなかった。ただ、本人のブログなどを見て、色々と思い入れもあるようだし、何より冲方丁の作品であるので十分に信頼出来るので、(話題になっていたり、賞を取った本を読むというのは、少々癪だった。というか、そもそもこういう賞があること自体、今回初めて認識したし、面白い本が受賞するわけでもなく、まあ、宣伝の一種程度としか思っていなかったが、折角なので)読んでみた。

 結論。面白い。冲方丁というブランドであるので、面白いというのは初めからわかっているつもりだったが、それでも面白いと思った。ただ、それでも、同時に物足りなさも感じた。『ばいばい、アース』や『マルドゥック・スクランブル』と比べたとき、単純に物量の差か、それとも、完全なフィクションと元となる史実があることによるものか、あるいは、雑誌に連載していたことによるのか、判然としないが、なんとなく物足りなく感じた。

 これまでの『ばいばい、ー』や『マルドゥックー』では、ある場面の描写は、これでもかというほど、濃密に描かれているが、今作では、むしろその反対に、数年、十数年という長い時間を、圧縮して描いている。その辺りの書き方の違いが、物足りなさ、もっともっと濃い作品が書けるはずだと感じてしまう要因かもしれない。

 そういった部分での欲求不満は残るし、個人的な好みとしてはやはり、『ばいばい、ー』や『マルドッゥクー』の方が好きだが、本書も勿論、非常に楽しめた。あるいは、暦や、和算についての解説本のようなものも別にあると面白いかもしれない。

2010年9月1日水曜日

デュラララ!!×8

デュラララ!!×8
成田良悟
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 な-9-35
2010年6月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868599-3
C0193
357ページ
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 シリーズ8作目。

 始まりはいつもと同じ。事件に、自分から首を突っ込んでいったり、あるいは、無理矢理に巻き込まれたり。いつもと違っているのは、今回は一線を越えること。これまで、巻き込まれつつも傍観者として、ある意味安全にいた人物までも、安全ではなくなる。それを見た時に、どう動くのか。この巻では、まだ動くまでは行っていない。ただ、一度一線を越えた以上、同じことが起きる可能性は格段に高くなる。そのとき、セルティはどう動くか。

 また、この8巻を終えて、ぐるりと1周して、1巻とよく似た状況になったような気がする。もちろん、これまでの経緯もあり、全く同じではない。3人の立ち位置、目指すものも当初とは異なる。プレイヤーも違う。ただ、3人が3人とも、互いに助け合うことが出来ずにもがく(であろう状況は、まだ起きていないが)、というのは1巻とだぶって見える。だからこそ、1巻とだぶる部分、或いは違う部分。どこに現れてくるのか。次を楽しみにしたい。

2010年8月16日月曜日

横溝正史自選集 6 悪魔の手毬唄

横溝正史自選集 6 悪魔の手毬唄
横溝正史
出版芸術社
横溝正史自選集 6
発行日 平成19年5月25日 第1刷
ISBN:978-4-88293-323-6
C0093
365ページ
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 初めて読む横溝正史の作品。

 これまで、(少し前の)日本人作家のミステリを読むことは、敢えて避けてきたが、ヴァン・ダインの『僧正殺人事件』での巻末の解説に名前があったので、試しに読んでみた。表現や、細部でのやや荒っぽい所(つまり、最近の作品のようなある意味での神経質さは感じられない)など、そういった所はどうしてもめにつく所はある。ただ、そういった枝葉について気にしなければ、物語としては、文句無しで面白いと思う。こういった以上とも言える世界を作り、その中で展開していく物語、というパターンは今もよく見られる。その意味で、この作品は、現在でも十分に通じるものを持っていると思う。

 個人的な好みをいうならば、作者も力を注いだ童謡、すなわち、手毬唄(巻頭にあるため読者は見ることが出来る)を、物語内でももっと早く登場させた方が面白いように思う。『僧正ー』では、マザーグースを通じて、殺人者の不気味な意志を感じることが出来た。今作でも、同様の効果を得られたと思う。

 また、この出版芸術社の選集では、本編に加えて、どういった経緯で本作が書かれたかなどの、解説というか補足的な情報もあるので、そちらも面白いかもしれない。

『ギロチン城』殺人事件

『ギロチン城』殺人事件
北山猛邦
講談社
講談社ノベルス キI-04
2005年2月5日 第1刷発行
ISBN:4-06-182416-3
C0293
236ページ
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「城」シリーズ第4弾。

 前作「『アリスミラー城』殺人事件」以来、しばらく遠離ったいたので、随分久しぶりの北山作品。今作も、独特の雰囲気を持つ「城」において、クローズドな状況での事件ということで、これまでのシリーズと同じく、安心してその世界を楽しむことが出来る作品だと思う。

 今作についての印象派というと、前作と比べて、クセが無いというか、非常に素直な作品だと思う。勿論、作者独自の作風というのは今作でも感じられるが、これまでは執拗ななまでに、その世界、雰囲気を構成する強烈な事件の印象が残っているが、今回はそこまで強く感じなかった。作者の方で加減したのか、もしくはこちらのこれまでに読んだ本で、ある程度免疫が出来ていたのかはわからないが、その意味で、これまでの作品では一番読み易い作品だった。

ハムレット・シンドローム

ハムレット・シンドローム
樺山三英
小学館
ガガガ文庫 ガか 6-1
2009年10月25日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-09-451168-0
C0193
250ページ
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 評価が難しい作品。

 この作品がどういう作品か、その内容はといえば、説明書きにある説明でほぼ尽くされている。そして、あとは、それを主題とした変奏曲だと言える。そういう意味では、ミステリ、或いはライトノベルといった分類には属さない。敢えて言えば、幻想小説とか、メタミステリといったカテゴリだろう。個人的には、あまりこの種のメタな世界はあまり好みではないが、この文章は読み易い文章だったと思う。

 この作品は、作者によるあとがきによれば、久生十蘭作の「刺客」、「ハムレット」の翻案だと言う。そちらの作品(も同じ作者の他の作品を読んでいないので、どの程度までが、作者である樺山三英の創った世界なのか、あるいは久生十蘭の世界なのかが判断出来ない。ついでに言えば、ハムレット自体読んだことが無いので、この作品の一番の核となる部分に対する理解が無いのがつらい。そちらを目にしてからならば、また違った見方が出来るかもしれない。

 また、内容的になぜこの作品をライトノベルのレーベルであるガガガ文庫で出したのかが最大の謎だろう。どちらかというと、ちくま文庫とか、そちら側の作品だと思うが。

カンナ 鎌倉の血陣

カンナ 鎌倉の血陣
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-30
2010年6月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182721-9
C0293
280ページ
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 シリーズ第6作。

 今回舞台となる鎌倉は、「QED」シリーズでも取り上げられており、その意味では、鎌倉に関するネタは、どうしても既読感を覚える部分が少なからずあった(勿論すべてが既出ではないが)。

 「カンナ」シリーズとしては、この前の5巻でも若干感じたことだが、全9巻のラストが見えてきたためか、物語の展開にスピード感が増してきたように感じる。また、これまでは、各キャラクターが「忍び」という面を自分たちの身内などごく限られた人にしか明らかにしようとしなかったのに対し、その辺りも若干オープンになりつつあるように感じられた。

 高田氏の作品は「歴史」が核となっている以上、いわゆる純粋なミステリと比べて、事件自体は地味な印象を受ける(ビジュアル的な面ではそうでないケースもあるが、動機などを考えるとそう感じられる)ので、物語の展開がダイナミックになるというのは、読む側としては多いに歓迎したい。

ミスマルカ興国物語VII

ミスマルカ興国物語VII
林トモアキ
角川書店
角川スニーカー文庫 S 150-26
平成22年6月1日 初版発行
ISBN: 978-4-04-426623-3
C0193
347ページ
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 シリーズ第7作にして、第1部完。

 この物語の舞台となっている時代、世界の水準からすると、その世界観とは全くかけ離れた、オーバーテクノロジーなものが出てくることは前々からあり、その意味では、世界観そのものがきちんと固まっていないというか、あやふやな面があるのは今に始まったことではないが、今回はこれまで以上にぶっとんでいる。

 これまでのややもするとグダグダな感じが続くのかと思い読み始めてみたが、好意的に見れば、予想を裏切ったともとれるが、今回のそれは、むしろ暴走に近いように思う。これまでにも、ある意味超越的な存在というのは、皆無ではなかったが、今回は完全に「ミスマルカ興国物語」というゲームのルールの外からのアクションに感じられる。もちろん、それも含めての物語だと言ってしまえばそれまでだが、この展開は少々許容範囲を超えたものだと思う。こういった展開をどの程度計算していたのかはわからないが、今回のようなある意味本則技を使うようになると、作品自体が滅茶苦茶になりかねないので、そうならずにきちんとした作品であってほしい。

2010年8月1日日曜日

コップクラフト2 DRAGNET MIRAGE RELOADED

コップクラフト2 DRAGNET MIRAGE RELOADED
賀東招二
小学館
ガガガ文庫 ガか 7-2
2010年6月23日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-09-451209-0
C0193
270ページ
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 シリーズ2作目。ただし、ゼータ文庫版の改作。

 前巻、1作目が1冊丸ごとの長編だったのに対し、今回は中編2本という構成になっている。このような構成が良いかどうかについては難しいと思う。今回の2本のうちの片方に関しては、もう少しボリュームを増やして長編として1冊にすることも可能だろうし、これだけのスペックの敵であれば、むしろ単なる1ステップとして、普通に通過してしまうのは勿体ないようにも思える。一方で、だらだらと長くするよりもさっぱりとしてしまう方が良いとも思える辺りが悩ましい。

 もう一方については、まあ、特にどう孝ということは無いが、全く異なる文化背景を持ったもの同士なら、こういうことも(色々違うパターンはあるだろうが)あるかな、という感じ。

 ただ、全体としてみると、やはり第1巻の方が色々な意味でインパクトが強い。どうしても、今回はそれと比べると、弱く見えてしまう。1本1本の分量的な面も含めて、少し欲求不満感が残る。また次回は、過去の改作ではなく、オリジナルになるらしいので、また楽しみにしたい。

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)9 #9. Last Wind

聖剣の刀鍛冶(=ブラックスミス)9 #9. Last Wind
三浦勇雄
メディアファクトリー
MF文庫J み-01-17
2010年5月31日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8401-3283-1
C0193
227ページ
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 シリーズ第9巻。

 前巻が閑話休題的なつなぎの巻だったのに対して、今巻は新たな展開への巻になっている。なっているけれども、この展開は大丈夫なのかと少し不安になってしまう。ルークの方は、厳しいものではあるが、ある意味、乗り越えなければならないもの、ということで一般的に良く見られるタイプのものだと思うが(多分、次の巻くらいで片がつく)、一方のセシリー(というかアリア)に関しては、かなり大変なものだと思う。場合によっては、ラスト、もしくはその直前までかかってもおかしくはないし、逆に簡単に解決してしまうと、それはそれで嘘くさい。今後の展開を(例えば何巻くらいまで続くのかなども含めて)どの程度まで考えているのかわからないが、非常に扱いが難しいと思う。

 次巻では、今回の(ルークの)伏線が回収されると思うので、もう一方をどうするのか、も含めて楽しみにしたい。また、しばらくしたら、これのアニメ版も第2期始まるのだろうか。「化物語」とか「禁書目録」は続きやるみたいだけれど。