探偵小説のためのゴシック 「火剋金」 Gothique I "Le Feu" pour HONKAKOU japanais
古野まほろ
講談社
講談社ノベルス フJ-09
2010年1月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182692-2 C0293
239ページ
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探偵小説・相剋シリーズの5作目にして完結巻。
この巻のあとがきで、初めてシリーズ名に相剋がでてきたが、どうやら別シリーズで相生シリーズをやるらしい。詳しくは、巻末のあとがきかもしくは講談社ノベルス内の特集ページに書かれている(登場人物らによる座談会も有り)。
→講談社ノベルスのページ
内容的にはシリーズ5作品の中で、唯一殺人事件ではなく、怪盗ものがテーマになっている。そのためか、全体的に軽いのりで進んでいき、楽しめるないようになっていると思う。特に、最初の方の怪盗・黒蜜柑の登場するシーンなどは、クラシックな小説のような雰囲気で作者自身も楽しんでいるのではないかと思わせるような感じだった。
個人的には、シリーズの中では一番読みやすいと思うが、完結編ということも有り、やはりある程度シリーズの流れというか、内容を知ってないと、という感じはある。また、ラストで「天帝」シリーズとの関わりもちょっとだけ出てきているので、ああ、そういえばそんな感じだったな、と思い出された部分もあった。
また、これを受けて「天帝」シリーズにどう影響するのかしないのか、或いは新シリーズがどうなるのか、待ちたい。
2010年1月26日火曜日
シュガーダーク 埋められた闇と少女
シュガーダーク 埋められた闇と少女
新井円侍
角川書店
角川スニーカー文庫 S 220-1
平成21年12月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-474804-3 C0193
282ページ
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第14回スニーカー大賞大賞受賞の作品。『涼宮ハルヒの憂鬱』以来6年ぶりの大賞受賞らしい。
読んだ印象としては割と面白いと思う。一つ一つ丁寧に作られている印象があるし、全体的な空気感、雰囲気も良いと思う。それほど多くのライトノベルを読んでいるわけではないが、他の作品と比べても登場人物が相当に少ないと思う。全編を通じて、10人に満たないくらいに。そのため、主人公の少年の視点からの世界が、何度も繰り返され、それによって読んでいるこちらがその世界を把握し、また、その変化を見る。その辺りの繰り返しが丁寧に感じる要因だろうと思う。また、物語の進んでいく方向が悪意に満ちたものでなく、優しい方向に進んでいくのも読後感の良さにつながっていると思う。
その他、「第14回スニーカー大賞大賞受賞」といった宣伝、やあるいは発売のイベントというのは勿論意図があって行ったことだと思うが、この作品に対してプラスにはたらくかどうかは疑問だと思う。作品の出来は良いと思うが、この6年間の他の作品と比べて決定的に優れているかと問われれば、そうは思わないし、また、同じ理由から、過剰な宣伝で読む側の期待を必要以上に高くすることは却ってマイナスになるように思う。もう少し、静かに、じわじわと広がるような方法がいいのではと思う。
新井円侍
角川書店
角川スニーカー文庫 S 220-1
平成21年12月1日 初版発行
ISBN:978-4-04-474804-3 C0193
282ページ
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第14回スニーカー大賞大賞受賞の作品。『涼宮ハルヒの憂鬱』以来6年ぶりの大賞受賞らしい。
読んだ印象としては割と面白いと思う。一つ一つ丁寧に作られている印象があるし、全体的な空気感、雰囲気も良いと思う。それほど多くのライトノベルを読んでいるわけではないが、他の作品と比べても登場人物が相当に少ないと思う。全編を通じて、10人に満たないくらいに。そのため、主人公の少年の視点からの世界が、何度も繰り返され、それによって読んでいるこちらがその世界を把握し、また、その変化を見る。その辺りの繰り返しが丁寧に感じる要因だろうと思う。また、物語の進んでいく方向が悪意に満ちたものでなく、優しい方向に進んでいくのも読後感の良さにつながっていると思う。
その他、「第14回スニーカー大賞大賞受賞」といった宣伝、やあるいは発売のイベントというのは勿論意図があって行ったことだと思うが、この作品に対してプラスにはたらくかどうかは疑問だと思う。作品の出来は良いと思うが、この6年間の他の作品と比べて決定的に優れているかと問われれば、そうは思わないし、また、同じ理由から、過剰な宣伝で読む側の期待を必要以上に高くすることは却ってマイナスになるように思う。もう少し、静かに、じわじわと広がるような方法がいいのではと思う。
武家屋敷の殺人
武家屋敷の殺人
小島正樹
講談社
講談社ノベルス コO-01
2009年11月5日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182695-3 C0293
370ページ
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共著なども含めると小島正樹の3作目の作品。
当り。非常に出来が良い。武家屋敷という舞台や、ミイラ、過去の事件など作品の持つ雰囲気は、ホラーやゴシックに近しいものを持っているように感じる。しかし、スタートからラストの解決まで幾つもの謎が提示されるが、それらの解決に際して、なんら超常的な方法に頼らず、きちんと論理で納得出来る形での解決を与えている。その点が非常に好印象だ。
裏表紙の説明書きにあるような、「目が離せないジェットコースター新感覚」かはともかく、確かに、きちんとしたミステリーになっていると思う。それだけに、この説明書きは(出版社側が)もう少し気を使ってもらいたい。これだけの水準の作品であるならば、良くある陳腐な説明では不足だし、「目が離せないー」云々では装飾過多に感じる。とはいえ、作品の出来としては申し分なし。余計な前情報は入れずに普通に読めば良いと思う。
小島正樹
講談社
講談社ノベルス コO-01
2009年11月5日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182695-3 C0293
370ページ
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共著なども含めると小島正樹の3作目の作品。
当り。非常に出来が良い。武家屋敷という舞台や、ミイラ、過去の事件など作品の持つ雰囲気は、ホラーやゴシックに近しいものを持っているように感じる。しかし、スタートからラストの解決まで幾つもの謎が提示されるが、それらの解決に際して、なんら超常的な方法に頼らず、きちんと論理で納得出来る形での解決を与えている。その点が非常に好印象だ。
裏表紙の説明書きにあるような、「目が離せないジェットコースター新感覚」かはともかく、確かに、きちんとしたミステリーになっていると思う。それだけに、この説明書きは(出版社側が)もう少し気を使ってもらいたい。これだけの水準の作品であるならば、良くある陳腐な説明では不足だし、「目が離せないー」云々では装飾過多に感じる。とはいえ、作品の出来としては申し分なし。余計な前情報は入れずに普通に読めば良いと思う。
2010年1月22日金曜日
DELFONOCS STATIONERY BOOK デルフォニックス 文房具の本
DELFONOCS STATIONERY BOOK デルフォニックス 文房具の本
PARCO出版
2008年1月31日 第1刷
ISBN:978-4-89194-773-6 C0070
127ページ
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デルフォニックスという文房具メーカー/文房具セレクトショップの考え、哲学にあう様々なメーカーの文房具、アイテムを紹介した本になっている。全体の構成は、そうしたアイテムの写真がメインで、脇にそれらに関する説明などを書いた文章を配する、という作りになっている。
デルフォニックスというショップは、文房具などをメインに扱う雑誌や書籍などでもしばしば見られる名前なので、実際そこがどんなテイストの商品を扱うところなのかを見るという意味では、興味深いと思う。多種多様な文房具を紹介し、また、それらについての通り一遍ではなく、なかなか使っているだけでは分からないような、少しコアな情報も読める、というのも面白いと思う。
ただ、色々なジャンルの文具を扱っているために、一つの種類の文具の情報が、どうしても少なくなってしまっている。もう少し、テーマを絞り、ノートならノートでいろいろなメーカーのノートを並列に扱うなどした方が良いのでは、と思う。また、こういった書籍自体はそう多くはないと思うが、『趣味の文具箱』や『ステーショナリーマガジン』(共に、枻出版社=エイ出版社)などでは、同様のコンセプトのものが幾つも刊行されている。それらと比較してみると、特別に優れているという印象もないし、また、デルフォニックスというつながりを除けば、ほとんどコンテンツ的にも差異が見られず、この本の位置付けがイマイチ見えにくいように感じる。少なくとも同種の先行する書籍がある以上、もっと違いを明確に打ち出しすべきでは、と思う。
PARCO出版
2008年1月31日 第1刷
ISBN:978-4-89194-773-6 C0070
127ページ
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デルフォニックスという文房具メーカー/文房具セレクトショップの考え、哲学にあう様々なメーカーの文房具、アイテムを紹介した本になっている。全体の構成は、そうしたアイテムの写真がメインで、脇にそれらに関する説明などを書いた文章を配する、という作りになっている。
デルフォニックスというショップは、文房具などをメインに扱う雑誌や書籍などでもしばしば見られる名前なので、実際そこがどんなテイストの商品を扱うところなのかを見るという意味では、興味深いと思う。多種多様な文房具を紹介し、また、それらについての通り一遍ではなく、なかなか使っているだけでは分からないような、少しコアな情報も読める、というのも面白いと思う。
ただ、色々なジャンルの文具を扱っているために、一つの種類の文具の情報が、どうしても少なくなってしまっている。もう少し、テーマを絞り、ノートならノートでいろいろなメーカーのノートを並列に扱うなどした方が良いのでは、と思う。また、こういった書籍自体はそう多くはないと思うが、『趣味の文具箱』や『ステーショナリーマガジン』(共に、枻出版社=エイ出版社)などでは、同様のコンセプトのものが幾つも刊行されている。それらと比較してみると、特別に優れているという印象もないし、また、デルフォニックスというつながりを除けば、ほとんどコンテンツ的にも差異が見られず、この本の位置付けがイマイチ見えにくいように感じる。少なくとも同種の先行する書籍がある以上、もっと違いを明確に打ち出しすべきでは、と思う。
イスカリオテIV
イスカリオテIV
三田誠
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 さ-10-8
2009年12月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868205-3 C0193
289ページ
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シリーズ4作目、中短編集。
この作品に限らず、ライトノベル系の作品だと長編作品数作ごとに短編集を間に挟むということはよく見られる。そして、大抵の場合は、雑誌に掲載されていた短編数本と書き下ろしからなり、メインのストーリィとは全く関係ない日常を描いたものか、もしくは本編の隙間を埋めるように小さな事件を扱うことが多い。つまり、作品としてのインパクトが弱く、あってもなくても特に影響がないものになりがちという印象がある。
それに対して、本作は、全3編中最初の2編については、確かにその傾向があるとように思うが、全体の半分強を占める3つ目の作品については、通常の長編に負けず劣らず面白いと思う。分量的な面でもそうだし、また、ここで描かれていることは、ストーリィそのものにかなり大きな影響を及ぼすだろうことがいくつかある。その意味では、当初のあまり高くない期待は良い意味で裏切られた。次巻は春頃になるようなので、今度は多いに期待して待ちたいと思う。
三田誠
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 さ-10-8
2009年12月10日 初版発行
ISBN:978-4-04-868205-3 C0193
289ページ
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シリーズ4作目、中短編集。
この作品に限らず、ライトノベル系の作品だと長編作品数作ごとに短編集を間に挟むということはよく見られる。そして、大抵の場合は、雑誌に掲載されていた短編数本と書き下ろしからなり、メインのストーリィとは全く関係ない日常を描いたものか、もしくは本編の隙間を埋めるように小さな事件を扱うことが多い。つまり、作品としてのインパクトが弱く、あってもなくても特に影響がないものになりがちという印象がある。
それに対して、本作は、全3編中最初の2編については、確かにその傾向があるとように思うが、全体の半分強を占める3つ目の作品については、通常の長編に負けず劣らず面白いと思う。分量的な面でもそうだし、また、ここで描かれていることは、ストーリィそのものにかなり大きな影響を及ぼすだろうことがいくつかある。その意味では、当初のあまり高くない期待は良い意味で裏切られた。次巻は春頃になるようなので、今度は多いに期待して待ちたいと思う。
NHK おかあさんといっしょ ぞうさんのぼうし/こんなこいるかな
NHK おかあさんといっしょ ぞうさんのぼうし/こんなこいるかな
神崎ゆう子、坂田おさむ他
Polydor/NHK Records
H28N-23044
1988
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NHKの「おかあさんといっしょ」の歌を集めたCD。ただし、Amazonで検索しても1988年にこんな作品は無いし、NHKレコードで調べても無い。少々古いが、そのあたりのデータの整理などはきちんとしていてもらいたい。
神崎ゆう子、坂田おさむ他
Polydor/NHK Records
H28N-23044
1988
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NHKの「おかあさんといっしょ」の歌を集めたCD。ただし、Amazonで検索しても1988年にこんな作品は無いし、NHKレコードで調べても無い。少々古いが、そのあたりのデータの整理などはきちんとしていてもらいたい。
2010年1月20日水曜日
難民探偵
難民探偵
西尾維新
講談社
2009年12月17日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-215941-8 C0093
348ページ
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講談社の「創業100周年記念出版書き下ろし100冊」の企画の作品らしい。記念の作品に「難民」なんて単語がタイトルに入るのもどうかと思うが。西尾維新の作品がこのようなハードカバーでというのは珍しいと思う。他では、「Death Note」や「xxx Holic」のノベライズあたりがそうだったような気がするが、それ以外ではないのではないかと思う。
内容はというと、これまた珍しく、割合きちんとした推理小説になっている。これまでの作品でもミステリ的な要素のある作品というのはあるが、大抵の場合は、もっとスペシャルな登場人物が多い状況での謎解きばかりで、(能力的に)ごく普通の人間による謎解き、というのは、おそらくこれが初では、と思う。その意味では、他の作品よりも随分と映像化しやすい作品だとは思う。
純粋にミステリ的に見れば、割と軽めのミステリなので物足りなさがないわけではないが、それぞれのキャラクターの行動なども含めて、色々と楽しめると思うし、こういう作品もアリだと思う。また、今度の展開がどうなるかは知らないが、キャラクターの紹介などは今回で済んでいるので、次作以降では、もっとメインの事件に関する部分の記述が増えて面白いと思う。今まではノベルス版が多いが、個人的にはこういうハードカバーも悪くないと思う。
西尾維新
講談社
2009年12月17日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-215941-8 C0093
348ページ
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講談社の「創業100周年記念出版書き下ろし100冊」の企画の作品らしい。記念の作品に「難民」なんて単語がタイトルに入るのもどうかと思うが。西尾維新の作品がこのようなハードカバーでというのは珍しいと思う。他では、「Death Note」や「xxx Holic」のノベライズあたりがそうだったような気がするが、それ以外ではないのではないかと思う。
内容はというと、これまた珍しく、割合きちんとした推理小説になっている。これまでの作品でもミステリ的な要素のある作品というのはあるが、大抵の場合は、もっとスペシャルな登場人物が多い状況での謎解きばかりで、(能力的に)ごく普通の人間による謎解き、というのは、おそらくこれが初では、と思う。その意味では、他の作品よりも随分と映像化しやすい作品だとは思う。
純粋にミステリ的に見れば、割と軽めのミステリなので物足りなさがないわけではないが、それぞれのキャラクターの行動なども含めて、色々と楽しめると思うし、こういう作品もアリだと思う。また、今度の展開がどうなるかは知らないが、キャラクターの紹介などは今回で済んでいるので、次作以降では、もっとメインの事件に関する部分の記述が増えて面白いと思う。今まではノベルス版が多いが、個人的にはこういうハードカバーも悪くないと思う。
2010年1月15日金曜日
剣の女王と烙印の仔II
剣の女王と烙印の仔II
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-02
2009年7月31日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2844-5 C0193
293ページ
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シリーズ第2作目。
出来はいいと思う。この種のライトノベルなどでは、1巻が良くても、続く巻でイマイチな作品も少なからずあるが、その点でこの作品の出来は十分満足出来る水準にあると思う。1巻での設定や何かを踏まえて上で、それを活かして効果的に発展させていると思う。1巻では、必ずしも明らかになっていなかった設定の一部が明かされ、全体の見通しが少しひらけた。また、2巻はこれ1冊での完結ではなく、3巻に続いている、という点でも期待されている、ということが見て取れる。惜しむらくは、巻の途中に挟まれている挿絵がどうにも軽い、というか、何となく安定しない印象がある。この辺り、もう少し(出版社が)気を使ってもいいように思う。全体としては満足。また、次巻に期待したい。
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-02
2009年7月31日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2844-5 C0193
293ページ
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シリーズ第2作目。
出来はいいと思う。この種のライトノベルなどでは、1巻が良くても、続く巻でイマイチな作品も少なからずあるが、その点でこの作品の出来は十分満足出来る水準にあると思う。1巻での設定や何かを踏まえて上で、それを活かして効果的に発展させていると思う。1巻では、必ずしも明らかになっていなかった設定の一部が明かされ、全体の見通しが少しひらけた。また、2巻はこれ1冊での完結ではなく、3巻に続いている、という点でも期待されている、ということが見て取れる。惜しむらくは、巻の途中に挟まれている挿絵がどうにも軽い、というか、何となく安定しない印象がある。この辺り、もう少し(出版社が)気を使ってもいいように思う。全体としては満足。また、次巻に期待したい。
2010年1月4日月曜日
TVアニメ「けいおん!」オリジナルサウンドトラック K-ON! ORIGINAL SOUND TRACK
TVアニメ「けいおん!」オリジナルサウンドトラック K-ON! ORIGINAL SOUND TRACK
百石元
PONY CANYON
2009
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アニメ「けいおん!」のサントラ。
オープニングやエンディングの曲、各キャラクターのテーマ曲のCD化自体は特に珍しくはないが、サントラまでCD化をするというのは、特にかなり早い時期からというのは、割と珍しいと思う。特に、この種のサントラになると、特典などとの抱き合わせで買わせようという意図が見えるものが多いが、このサントラに関しては、作曲者がどういう意図で曲を作ったのか、1曲1曲に簡単なコメントが付いている点などが好印象だと思う。
百石元
PONY CANYON
2009
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アニメ「けいおん!」のサントラ。
オープニングやエンディングの曲、各キャラクターのテーマ曲のCD化自体は特に珍しくはないが、サントラまでCD化をするというのは、特にかなり早い時期からというのは、割と珍しいと思う。特に、この種のサントラになると、特典などとの抱き合わせで買わせようという意図が見えるものが多いが、このサントラに関しては、作曲者がどういう意図で曲を作ったのか、1曲1曲に簡単なコメントが付いている点などが好印象だと思う。
剣の女王と烙印の仔I
剣の女王と烙印の仔I
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-01
2009年4月30日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2755-4 C0193
295ページ
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自らの運命に立ち向かう少年、少女が主人公という正に直球のファンタジーのようなライトノベル。読んでみて、テンポが非常に良いという印象を受ける。何度か戦闘の場面があるが、そこでも、テンポを落とさずに進んでいく点もいいと思う。また、戦闘自体もあくまで個人の力によって戦っていて、魔法のような超常的な力などは使用されない、というのも好ましいと思う。
また、主人公の二人に課せられた、自らの運命を見る力、そして、烙印といったギミックもそれ自体が彼らの運命であると同時に、それがこの世界自体にかなり重要なもののようなのも、面白いと同時に効果的な設定だと思う。
ただ気になるのは、主人公たちのキャラクター、性格にやや難があるというか、安易すぎるようにも思う。非常にライトノベル的な性格というか、余りに直球すぎる、単純すぎる用に思う。これだけ重い運命を背負わされた主人公であるならば、性格もそれ相応に影を持つというか、周りが近づけないほど深く悩んだり、もう少し複雑な人格にした方が、物語全体に説得力が出てくるのでは、と思う。
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-01
2009年4月30日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-8401-2755-4 C0193
295ページ
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自らの運命に立ち向かう少年、少女が主人公という正に直球のファンタジーのようなライトノベル。読んでみて、テンポが非常に良いという印象を受ける。何度か戦闘の場面があるが、そこでも、テンポを落とさずに進んでいく点もいいと思う。また、戦闘自体もあくまで個人の力によって戦っていて、魔法のような超常的な力などは使用されない、というのも好ましいと思う。
また、主人公の二人に課せられた、自らの運命を見る力、そして、烙印といったギミックもそれ自体が彼らの運命であると同時に、それがこの世界自体にかなり重要なもののようなのも、面白いと同時に効果的な設定だと思う。
ただ気になるのは、主人公たちのキャラクター、性格にやや難があるというか、安易すぎるようにも思う。非常にライトノベル的な性格というか、余りに直球すぎる、単純すぎる用に思う。これだけ重い運命を背負わされた主人公であるならば、性格もそれ相応に影を持つというか、周りが近づけないほど深く悩んだり、もう少し複雑な人格にした方が、物語全体に説得力が出てくるのでは、と思う。
2010年1月3日日曜日
赤の女王の名の下に THANATOS(=タナトス) The Blind Watchmaker
赤の女王の名の下に THANATOS(=タナトス) The Blind Watchmaker
汀こるもの
講談社
講談社ノベルス ミI-05
2009年11月5日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182686-1 C0293
298ページ
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THANATOSシリーズ第5弾。
全体の印象としては、ここまでの既刊の中では、メフィスト賞受賞の第1作『パラダイス・クローズド THANATOS
』に次いで良いと思う。本を開いて最初の折り返しの部分に、今作でメフィスト賞応募のストックが尽きた旨の記述があるが、それを考えると、これまでの4作で、作品の出来のばらつき、或いはキャラの印象が作品ごとに微妙に異なるといった違和感を覚えたことも納得出来る。
今作もそういう意味では、過去の4作品とは共通する部分もあるが、異なる部分も多い。最大の特徴としては、第1作から登場していながら、これまでは、現場ではなく、事件から離れた位置にいた警察官僚湊が直接事件に関わっていることだろう。彼が主人公となっているため、必然最初から最後まで登場している。そのため、いつもの生物系の蘊蓄が少し抑え気味なきらいがあるのに対し、湊のディレッタントが全開になっている。ルイス・キャロルを筆頭に早口言葉から英文詩から色々と暗唱している。この辺りのペダンティックぶりは、読む人によって好悪がはっきり分かれるだろうが、個人的にはこのぐらいは十分許容出来る。
登場人物たちが、善悪どちらのスタンスにいるかはっきりしている、つまり善意の第三者、無関係に巻き込まれた人がほとんどいないと言っていいので、ミステリとしては、わりとシンプルな部類にはいると思う。途中に何度も挟まれる、回想シーンというか半妄想シーンが少々鬱陶しい気もするし、湊のキャラがちょっとやりすぎというかオープンにしすぎ感がある気もするが、全体としてはいい出来だと思う。
汀こるもの
講談社
講談社ノベルス ミI-05
2009年11月5日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182686-1 C0293
298ページ
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THANATOSシリーズ第5弾。
全体の印象としては、ここまでの既刊の中では、メフィスト賞受賞の第1作『パラダイス・クローズド THANATOS
今作もそういう意味では、過去の4作品とは共通する部分もあるが、異なる部分も多い。最大の特徴としては、第1作から登場していながら、これまでは、現場ではなく、事件から離れた位置にいた警察官僚湊が直接事件に関わっていることだろう。彼が主人公となっているため、必然最初から最後まで登場している。そのため、いつもの生物系の蘊蓄が少し抑え気味なきらいがあるのに対し、湊のディレッタントが全開になっている。ルイス・キャロルを筆頭に早口言葉から英文詩から色々と暗唱している。この辺りのペダンティックぶりは、読む人によって好悪がはっきり分かれるだろうが、個人的にはこのぐらいは十分許容出来る。
登場人物たちが、善悪どちらのスタンスにいるかはっきりしている、つまり善意の第三者、無関係に巻き込まれた人がほとんどいないと言っていいので、ミステリとしては、わりとシンプルな部類にはいると思う。途中に何度も挟まれる、回想シーンというか半妄想シーンが少々鬱陶しい気もするし、湊のキャラがちょっとやりすぎというかオープンにしすぎ感がある気もするが、全体としてはいい出来だと思う。
消された龍馬 念写探偵 加賀美鏡介 The thought photography detective Kyosuke Kagami
消された龍馬 念写探偵 加賀美鏡介 The thought photography detective Kyosuke Kagami
楠木誠一郎
講談社
講談社ノベルス クJ-04
2009年12月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182690-8 C0293
222ページ
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『念写探偵 加賀美鏡介
』に続く、シリーズ第2弾。
メインキャラは全体とほぼ同じながら、それぞれの身内が出てきたり、或いは普段とは違った一面を見せたりと、前作よりも少しキャラについての情報が増えた分だけ各キャラクターがより立体的になったという印象はある。ただそれでも、ミステリとして見た場合、どうしても小さいという印象を持ってしまう。今作では過去の事件として扱うのは、坂本龍馬暗殺という、これまで何度も使い古されてきた題材であり、敢えてこれを取り上げる以上、それなりの新解釈というか、相応の理由がないと説得力に欠けるように思う。残念ながら、その点で強い印象を受けなかった。また、現在の事件にしても、その動機は陳腐でありふれているように思う。
或いは、警察の行動についても、違和感を覚える。警察組織が事件の初期段階、しかも、学校というクローズドな場所で起き、容疑を欠けられた人間がいる段階で、民間の人間に頼るというのは、組織ではなく個人の行動としても、不自然に過ぎると思う。探偵役が事件に関わらないとはじまらないのは分かるが、もう少しちゃんとしてエキュスキューズが欲しい。
その他、同じ作者の別のシリーズのキャラクターが登場しているようだが、そちらは読んでいないのでよくわからない。また、本編とは関係ないが、今作の表紙では、登場人物のイラストが思いっきり書かれている。別に悪いとは思わないが、個人的には前作のように、シルエット風というか、あまりはっきり分かりすぎない方が良いように思う。こういうのは、想像で補ってこそ、という面もあると思うので、その余地を無くしてしまうというのは、あまり良いとは思わない。
楠木誠一郎
講談社
講談社ノベルス クJ-04
2009年12月7日 第1刷発行
ISBN:978-4-06-182690-8 C0293
222ページ
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『念写探偵 加賀美鏡介
メインキャラは全体とほぼ同じながら、それぞれの身内が出てきたり、或いは普段とは違った一面を見せたりと、前作よりも少しキャラについての情報が増えた分だけ各キャラクターがより立体的になったという印象はある。ただそれでも、ミステリとして見た場合、どうしても小さいという印象を持ってしまう。今作では過去の事件として扱うのは、坂本龍馬暗殺という、これまで何度も使い古されてきた題材であり、敢えてこれを取り上げる以上、それなりの新解釈というか、相応の理由がないと説得力に欠けるように思う。残念ながら、その点で強い印象を受けなかった。また、現在の事件にしても、その動機は陳腐でありふれているように思う。
或いは、警察の行動についても、違和感を覚える。警察組織が事件の初期段階、しかも、学校というクローズドな場所で起き、容疑を欠けられた人間がいる段階で、民間の人間に頼るというのは、組織ではなく個人の行動としても、不自然に過ぎると思う。探偵役が事件に関わらないとはじまらないのは分かるが、もう少しちゃんとしてエキュスキューズが欲しい。
その他、同じ作者の別のシリーズのキャラクターが登場しているようだが、そちらは読んでいないのでよくわからない。また、本編とは関係ないが、今作の表紙では、登場人物のイラストが思いっきり書かれている。別に悪いとは思わないが、個人的には前作のように、シルエット風というか、あまりはっきり分かりすぎない方が良いように思う。こういうのは、想像で補ってこそ、という面もあると思うので、その余地を無くしてしまうというのは、あまり良いとは思わない。
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