世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか
菅原琢
光文社
光文社新書 434
2009年12月20日 初版第1刷発行
ISBN:978-4-334-03537-2 C0231
286ページ
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近年の自民党の迷走ぶりやそれに対する世論調査、新聞報道等を統計的な面から分析した本。
本書は、新書として書かれているが、300ページ弱という分量はもちろん、本文中に掲載されている図表の数など、通常新書として認識されている書籍などとは一線を画している。また、その内容についても近年の薄っぺらな新書などとは違って、それなりのヴォリュームのものになっている。タイトルがかなりキャッチーというか、ありがちなものになっているので、一見してその種の低レベルなものかと思いきや、意外ときちんとしたものだったと思う。
本書で述べられているように、マスコミ報道などはすぐに、「格差社会」や「市場原理主義」など安易にレッテルを貼って、わかった気になり、あたかもそれですべて説明できるかの様に誘導しがちだ。その多くの場合は、自分たち(あるいはその読者、支持者など)にとって都合のいい筋書きや、いかにも扇情的なストーリーに飛びついてばかりという印象がある。そういったついて感覚に訴えるのではなく、定量的に分析したというのは、マスメディアのレベルが低い現状では、かなり大きな意義があると思う。
その意味では、一般人レベルでも本書の内容については理解できなければならないだろうし、報道する側や、政治を実際に動かす側の人間であれば、本書のレベルは当然のリテラシーとして身に着けていなければならないものだとも思う。逆に言えばそれすらできていない日本のマスメディア、あるいは政治家の程度が低すぎるというのが最大の問題だともいえる。
本書の内容については十分に評価できるものだと思う。特に、日本の現状を鑑みるに、その果たすべき役割は大きいとも思う。しかし、その一方で、本書が既存の無内容な文献等を批判したのと同様、本書もきちんとした論理でもって批判にさらされるべきでもあると思う。もし、それをせずに、盲目的に本書の内容を信じるとしたら、それは新聞報道を真に受けているのと大して変わらないままでいるということを意味するからだ。
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