2011年9月16日金曜日

囮物語

囮物語
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-25
2011年6月28日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283776-7
C0093
283ページ
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 新章第4作目。千石撫子編。

 千石撫子というキャラクターの性格を考えたら、こういう方向というのは十分にあり得ると思うが、正直最後の方に関しては予想外だった。どういう展開であれ、この巻でキレイに解決すると思っていたので全く想定していなかった。

 『猫(黒)』までの第1シーズンがある種のパターンがあったのに対して、『猫(白)』以降の第2シーズンは必ずしも決まった形を取らないので、その分、色々バリエーションがあって前シーズンとはまた違った読み方が出来るのでこれはこれで面白いと思う。また、あとがきでちらっと次の第3シーズンにも触れている所も読む側としては嬉しい。

カンナ 出雲の顕在

カンナ 出雲の顕在
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-35
2011年7月6日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182785-1
C0293
254ページ
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 カンナシリーズ第8作目。

 いよいよシリーズ終盤になり、クライマックスが近づいてきた感じがする。これまで明かされなかったことが次第に明らかになり、単純に作品としての謎解きにプラスして、シリーズ全体にかかわるより大きな謎も明かされつつ作品としては非常に盛沢山になっている。また、今作は出雲行きに当たっていつもとは違うパーティを組んでいるのも少し新鮮に感じられる。

 作品としての出来に文句はないが、裏表紙の内容紹介がちょっと残念な出来になっている。こういうものは見る人の関心を引きつつも、内容のネタバレは避けるのが普通だと思うが、今回は、「残酷な運命」とか「裏切り者」とか正直やりすぎだと思う。

2011年9月12日月曜日

英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う

英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う
ゲイル・キャリガー
川野靖子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫FT FT-キ-3-1 FT-532
2011年4月10日 印刷
2011年4月15日 発行
ISBN: 978-4-15-020532-4
C0197
398ページ
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Soulless
by Gail Carriger
2009
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 アレクシア・タラボッティを主人公とするシリーズの第1作。既に日本以外の幾つかの国で翻訳が出ていたり、評判のようだ。なにより、この1作目の邦訳が4月に出版され、2作目が6月に出る辺り、早川書房も熱心にプッシュしているようだ。ただ、その力の入れ具合からするとイマイチである。

 舞台は、普通の人間とともに、吸血鬼やら人狼やらが共存する19世紀英国というパラレルワールド。そこで主人公であるアレクシア女史が事件に巻き込まれて、という割とよくある展開で始まる。こういった舞台設定や、登場するキャラクターなど色々と面白いとは思うが、作品としてみた場合、なんとも物足りない印象を受ける。

 そう感じるのはストーリーの面似よるものと思う。アレクシア女史をはじめとする物語中の会話は確かに面白いが、そこに対する比重が大きくなっており、ストーリーが動くのが終盤に近くなっている。その点、キャラクター小説としての面白さの一方、この舞台を、あるいは設定を活かした展開を期待して読むとやや期待はずれな感がある。

 幸か不幸か、早速続きも邦訳が出ているし、2作目などは、NYタイムズのベストセラーに入ったようなので、どうなっているのか読んでみたい。ついでに、Amazon.comを見ると、どうも本作の漫画版も出るらしい。

2011年9月8日木曜日

グレイテスト・ヒッツ Twelve Deadly Cyns... And Then Some

グレイテスト・ヒッツ Twelve Deadly Cyns... And Then Some
Cyndi Lauper
1994
Epic
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 1994年のシンディ・ローパーのベストアルバム。

 "Girls Just Wanna Have Fun"のはじけている印象が強いが、こうして改めて聴いてみると、その多様さはすごいと思う。勿論楽曲の幅が大きいのは当然として、どれが半端になっておらず、どれもきっちりやりきっている。彼女の場合は、歌手としてのパフォーマンスが超一流であるにとどまらず、それ以外の普段光の当たらない面、慈善活動などそういった方面でも非常に素晴らしい人だと思う。

 余談だが、Lady Gagaも同系統のタイプだと思う。

cf. YouTube
"Girls Just Wanna Have Fun"


"Time After Time"


"She Bop" (Live in Paris, France 1987)

ミスマルカ興国物語IX

ミスマルカ興国物語IX
林トモアキ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-150-28
平成23年7月1日 初版発行
ISBN: 978-4-04-426627-1
C0193
308ページ
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 シリーズ9巻。第2部に入っての2作目。

 ここからはこれまであまり触れられることのなかった帝国内部を舞台としており、今までとは違った視点から世界を眺めるという点で新鮮な印象を受ける。また、流石に広大な帝国ということで、一癖も二癖もある人物がいたり、陰謀を企てるものがいたりと、この巻のみならず次以降のネタになりそうなこともちらほらと見えて色々楽しみどころはある。期間も含めて、内容的にもバランス的にもベストの1冊かもしれない。

 8巻についても感じたことだが、この巻も以前の作風からすると、大分まともになって来ているように思う。というのは、ストーリーが真当なファンタジー小説的だからかもしれない。あるいは、主人公であるマヒロの行動か。第1部では大体決まったパーティで行動している場面が多く、また、主人公自体が王子というポジションのため、周囲のメンバーにサポートされていた。それに対して、第2部では、そういった守られるポジションから離れ、自分からアクションを起こす場面が増えたからかもしれない。

2011年9月1日木曜日

涼宮ハルヒの驚愕(後) 初回限定版

涼宮ハルヒの驚愕(後) 初回限定版
谷川流
角川書店
角川スニーカー文庫 S-168-10
平成23年5月25日 初版発行
C0193
286ページ
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 『驚愕』初回限定版の(後)巻。約4年ぶり。

 前作『分裂』の続編というか、解決編。前作が宙ぶらりんとした状態で放置されたままだったので、内容がどうこうより、もう半ばあきらめていた続編が出たということだけで十分と思ってしまう。(その点、ハンターXハンターと似ているかもしれない)。

 『分裂』を改めて読み返すということもなく、今作を読み始めたので、正直しばらくはなんだかわからないまま読んでいたが、良くも悪くもこんなものかな、と。(こちらが内容をうろ覚えな点を除けば)特に文章が上手くなっているとか、下手になっているということもなく、ブランクを感じさせない風だったと思う。

 となると、なぜ4年もの間書けなかったのかが謎だ。作品が一区切りついた状態ならまだしも、『分裂』の時点で、「分裂」というある意味、一番肝心なアイディアは提示されているのに、そこから先が続かないと言うのがわからない。この作品に限る話ではないが、1話が上下巻等に別れる場合には、続けて刊行するとか(少なくともその目処が立ってからにするとか)してもらいたい。この辺りは作家個人もそうだが、それ以上に出版社の責任だと思う。とはいえ、ひとまずは一安心。次はまた4年後などということのないよう願いたい。

涼宮ハルヒの驚愕(前) 初回限定版

涼宮ハルヒの驚愕(前) 初回限定版
谷川流
角川書店
角川スニーカー文庫 S-168-10
平成23年5月25日 初版発行
C0193
296ページ
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 『驚愕』初回限定版の(前)巻。尚、初回限定版は『驚愕』前後巻+小冊子。

LIMIT(リミット) 4

LIMIT(リミット) 4
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-11 NV-1223
2010年7月20日 印刷
2010年7月25日 発行
ISBN: 978-4-15-041223-4
C0197
591ページ
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LIMIT
by Frank Schätzing
2009
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 シリーズ第4作目にして完結巻。

 3作目マでの流れを受けてあとは、ひたすらラストを目指して突っ走っていくのみ。ただし、最後まで気が抜けない。アメリカ映画とかのように、シンプルであれば適当に予想も出来るが、主要な人物も結構簡単に殺してしまう所があるので、最終的にどう決着を付けるのかなかなか予想出来ない点、ある意味とてもサスペンス的かもしれない。

読み終えての個人的な感想としては、以前の『深海のYrr』よりも上手くなったように思う。あのときは、何というかかなり乱暴な終わらせ方をしているようにも見えたが、今作では、大分抑えも効いていて、ハッピーエンドといっても差し支えない、ある意味非常におとなしい決着の付け方をしているように見える。

 全体としては、ラストも含めきれいにまとまったと思うが、やはり長い。まるきり無駄な描写が多いというわけではないが、さすがに1冊当り500ページ超で4冊というのは結構疲れるので、もう少しコンパクトになってくれると嬉しい。

サトリ〔下〕

サトリ〔下〕
ドン・ウィンズロウ
黒原敏行 訳
原案/トレヴェニアン『シブミ』
早川書房
2011年3月20日 初版印刷
2011年3月25日 初版発行
ISBN: 978-4-15-209209-0
C0097
319ページ
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Satori
by Don Winslow
2011
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 ドン・ウィンズロウ作『サトリ』の下巻。トレヴェニアンの『シブミ』の空白を埋める作品にして続編。

 トレヴェニアンの『シブミ』という、1979年出版にしてもはや既に「古典」といって差し支えないような存在となった作品の前日譚にして続編となる作品。作者が亡くなった場合など、別の作家がシリーズを続けるのは、007シリーズのイアン・フレミング→ジョン・ガードナー→レイモンド・ベンソンの例を初めとして、そう珍しいものでもないと思うが、そもそもシリーズでもなく、まして約30年も前の作品の続編というのは、そうないのではないかと思う。その意味では、そもそもこの企画を思いついた編集者、また、それを実行出来る人間の所に話を持っていったというのが、何よりファインプレーだったと思う。

 トレヴェニアンの『シブミ』においては、主人公ニコライ・ヘルの少年時代と暗殺者を引退した後の時代を描写しているのに対し、この『サトリ』では、暗殺者としての最初の事件が描かれている。ある意味、静と動というかたちで対称的になっている点が面白い。また、今作の作者であるドン・ウィンズロウがトレヴェニアンの作品を本当にリスペクトしているということを伺わせる描写が、そこかしこに見られるのも嬉しい。シャーロック・ホームズのパロディ物などでも出来の良い作品には、思わずニヤリとさせられるような描写があるが、今作でも同様だ。

 更に嬉しいのは、ドン・ウィンズロウ本人はこのニコライ・ヘルのシリーズを書くことをかなり乗り気らしい。勿論、現時点で更なる続編の情報は全くないが、そう遠くない将来、あるいは第3作があるかもしれない。

2011年8月28日日曜日

サトリ〔上〕

サトリ〔上〕
ドン・ウィンズロウ
黒原敏行 訳
原案/トレヴェニアン『シブミ』
早川書房
2011年3月20日 初版印刷
2011年3月25日 初版発行
ISBN: 978-4-15-209208-3
C0097
321ページ
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Satori
by Don Winslow
2011
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 ドン・ウィンズロウ作『サトリ』の上巻。トレヴェニアンの『シブミ』の空白の期間を埋める作品。

2011年7月31日日曜日

USBハブ(4ポート)

USBハブ(4ポート)
バッファローコクヨサプライ
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 USBハブ。iMacにて使用。

 現在使用中のiMacのUSBポートがディスプレイの背面にあるので、ハブをつないでいる。ただ、コードが短いので、ハブにつなぐためにもそれなりに苦労しているので、十分に改善されているとは言えない。どうしても無理な体勢を取りがちなので、コードがねじれていたりといった懸念はあるが、今のところは問題なく使えている。

 その辺り若干の不満点はあるものの、値段的にも普通に家電量販店で買うと、なぜかハブ関係は高くつくので、この値段であれば十二分に元は取れていると思う。

2011年7月29日金曜日

ねじまき少女〔下〕

ねじまき少女〔下〕
パオロ・バチガルピ
田中一江・金子浩 訳
早川書房
ハヤカワ文庫SF SF-ハ-17-2 SF-1810
2011年5月20日 印刷
2011年5月25日 発行
ISBN: 978-4-15-011810-5
C0197
382ページ
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The Windup Girl
by Paolo Bacigalupi
2009
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 『ねじまき少女』下巻。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンベル記念賞などいくつものSF関係の賞を幾つも受賞している。

 これだけ幾つもの賞を受賞しているとなると、読む前から相当期待値が高くなってしまうが、やはり多くの場合と同じく、プラスには働いていないと思う。結論から言えば、物足りないという印象を受ける。少なくとも、各賞総なめというほどの圧倒的な存在感は感じない(これらのうちの1つ或いは2つ位なら、まあ、わからないでもない)。

 今作の魅力は、なによりもこの舞台だろう。時代背景も含めた社会情勢や技術水準、あるいは様々な人間模様などここから色々な物語が派生してくる余地がある。本書は、章ごとに異なる立場の5人の視点から物語をみている。彼らはそれぞれの表の顔を持ちつつ、それとは違った思惑も同時の持っている。そのため、ただでさえ渾沌とした世界がより一層渾沌としている。

 今作は、どういう展開に向かって進んでいくのかわからないまま、最後まで突き進んでいくが、実際の事件が起きてからよりも、どちらかというと、背景となる舞台(や登場人物)を知るための章の方が多いように思う。そのため、中盤から終盤にかけての物語が加速して以降、淡白に感じるというか、やや物足りなさを覚えてしまう。

 巻末の著作リストのタイトルや訳者によるあとがきを見ると、今作と共通する舞台の作品も書いているようなので、そういう意味では、この1作で完成というよりも、この同じ舞台上で展開するシリーズ作品全体を通じて、ようやく完成といえる作品だと思う。

ねじまき少女〔上〕

ねじまき少女〔上〕
パオロ・バチガルピ
田中一江・金子浩 訳
早川書房
ハヤカワ文庫SF SF-ハ-17-1 SF-1809
2011年5月20日 印刷
2011年5月25日 発行
ISBN: 978-4-15-011809-9
C0197
391ページ
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The Windup Girl
by Paolo Bacigalupi
2009
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 『ねじまき少女』上巻。感想等は下巻とまとめて。

すぎやまこういち ゲーム音楽作品集

すぎやまこういち ゲーム音楽作品集
すぎやまこういち
2010
King Records
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 すぎやまこういちによるゲーム音楽の中から幾つかを集めたアルバム。本人による解説もあるので、そういう意味で貴重かも。

 すぎやまこういちがゲーム好きで、「ドラゴンクエスト」などの曲を作っていることは当然知っていたが、こんなにも多くのゲームに関与しているとは思わなかった。このアルバムの中で知っているゲームは、「テトリス2+ボンブリス」、「ドラゴンクエスト」と「風来のシレン」だけで、他の作品はゲームの名前すら知らなかったので、いまいちピンとこない部分はある(ゲーム作品としては知らないが、書籍など別の媒体の方は少し知っている)。「風来のシレン」とかは結構懐かしかったので、今度「シレン」のみのアルバムを探して聴いてみる。

ピタ貼りfor任天堂3DS

ピタ貼りfor任天堂3DS
ホリ
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 ニンテンドー3DS用の画面保護シート。

 とりあえずこの手の画面保護シートとしては、まずまずの出来ではないかと思う。説明が一度読んですんなりわかるほど、わかり易いわけでもないし、これを使っても完全にホコリや気泡を防げるわけでもない。ただ、シートを貼る時に、3DSの画面とシートの接着面との間に不純物が入る可能性を出来るだけ低くなるよう意図していることは評価出来る。あとは、どれだけ丁寧に作業するか(というか、手先が器用か)、という部分に依存してくるので、そういう意味では、製品に対する期待値としてはこれ以上を望むのは難しいと思う。

 個人的には、出荷の段階でシートを貼った状態で販売してくれる方が、たとえ1000円くらい高くなったとしても、ありがたい。

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語

ねじとねじ回し この千年で最高の発明をめぐる物語
ヴィトルド・リプチンスキ
春日井晶子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NF NF-366
2010年5月20日 印刷
2010年5月25日 発行
ISBN: 978-4-15-050366-6
C0140
203ページ
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One Good Turn: A Natural History of the Screwdriver and the Screw
by Witold Rybczynski
2000
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 ねじとねじ回しの歴史、起源を探った本。

 非常に興味深い。小さい頃から当たり前に存在していたねじ回しだが、こうして改めて考えてみると、確かに筆者の指摘している通り、あの機構というか、メカニズムはそれ以前のものから飛躍があるように思える。また、特に意識したことはなかったが、頭の部分の形状にも色々な経緯やそれぞれの利点があったりと、こちらもなかなか興味深かった。

 本書はいわゆるポピュラー・サイエンスという部類に属すると思うが、個人的には非常に良いと思う。というのは、長さが短いからだ。アメリカなどのこの手の本は、全体的に長く、具体的な例がこれでもかと続き、読み易さの一方で、途中で飽きてくるので、これぐらい簡潔だととてもありがたい。他方で、もっと図などの増やして欲しい。確かに、いくつかの図はあるが、正直ねじ、或いはねじ回しに詳しいわけではないので、名前を言われてもわからないし、機構的な説明を言葉でされてもなかなか想像出来ない。まして、数百年前のものなら尚更だ。

 本書の巻末の解説も良い。ここでは、ねじとねじ回しに限らず、もう少し広く日本のものづくりの現場などにも言及されているが、この解説も読んでみて非常に興味が湧くというか、楽しそうな印象を受ける。本書のねじに関する部分、および解説で書かれている現代のものづくりの現場など、映像で見ることが出来たら、結構面白いかもしれない。NHK辺りが余計な苦労話や物語など、脇道にそれずきちんとやってくれると良いと思う。

2011年7月24日日曜日

モレスキン「伝説のノート」活用術 記録・発想・個性を刺激する75の使い方

モレスキン「伝説のノート」活用術 記録・発想・個性を刺激する75の使い方
堀正岳 中牟田洋子
ダイヤモンド社
2010年9月9日 第1刷発行
ISBN: 978-4-478-01326-7
C0034
256ページ
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 Moleskineの本。

 Moleskineの活用法についての本といいつつも、手帳の書き方やら、書いた内容を後でどう活かすかといった、ハウツー本のような体裁をとっている。勿論、ダイヤモンド社から出版されていることを考えると、そういう作りもやむを得ない気もするが、あまり嬉しくない。勿論、得られた情報が全くないわけではないが、全体としては期待はずれというか、釈然としない感じがする。なんというか、内容云々以前に、本のコンセプト自体がイマイチというか、スタートから間違った方向に向かっているような感がある。

 最初のカラーページ数ページや途中にも何カ所か写真で、色々な人のMoleskineの使い方(つまり、実際の使用例)の写真が載っているが、個人的にはこういうものを期待していた。むしろ、そちら方面に特化して作った方が面白いし、言語化出来ない部分にMoleskineの魅力もあるのでは、と思う。読んでいるときは、筆者たちの個人ページで、そういう紹介をしているから、敢えて書籍では違うことをしたのかと思ったが、見てみると必ずしもそうでもないようだし、やはり作戦ミスだと思う。

食べる人類誌 火の発見からファーストフードの蔓延まで

食べる人類誌 火の発見からファーストフードの蔓延まで
フェリペ・フェルナンデス=アルメスト
小田切勝子 訳
早川書房
ハヤカワノンフィクション文庫 NF-367
2010年6月10日 印刷
2010年6月15日 発行
ISBN: 978-4-15-050367-3
C0120
493ページ
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Near a Thousand Tables : A History of Food
by Felipe Fernández-Armesto
2002
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 「食」という習慣から見た人類誌。

 とても興味深い。この本で紹介されているエピソードのいくつかは、以前にどこかで聞いたことのあるものだ。歴史の授業だったり、或いはテレビ番組などから仕入れられた知識も紹介されている。しかし、それらの教科書に載るレベルのエピソードは、必ずしも学会において評価されているものではなく、むしろ周回遅れくらいの説であったりする。ここで紹介されている説の中には、推測に基づくものも含まれているが(当然、ある行為がどのような精神、意図の下に行われたのかが、文書等で残されていない以上は推測による部分はあってしかるべきである)、それでも非常に面白いと思う。

 ただ、膨大な資料を参照しつつ、筆者の記述がどこに向かっているのかというのは、不案内な人間からすると必ずしもわかり易くはない。その点、巻末の解説が参考になる。解説者の見解も踏まえつつ、本書がどのように構成され、各章がどういう章であるのか完結にまとめられているので、事前に読むことで見通しが持てるというのは、こういったやや硬めの内容を読む際には、とてもありがたい。

2011年7月20日水曜日

ベルヌーイ家の人々 物理と数学を築いた天才一家の真実

ベルヌーイ家の人々 物理と数学を築いた天才一家の真実
松原望
技術評論社
tanQブックス 11
2011年7月10日 初版 第1刷発行
ISBN: 978-4-7741-4679-9
C3041
206ページ
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 タイトル通り、数学の理論ではなく、人物で見た数学史。

 ベルヌーイ家やオイラーなど、現代の数学において非常に重要な役割を果たした人々に関する書籍としてとても期待していたが、結果的には期待はずれだった。確かに、本書においてベルヌーイ家やオイラーの一面を紹介している、というのは当たっていると思う。ただ、それ以外の点がもっと充実して欲しかったし、もっと読み易い記述の仕方があったように思う。

 そもそも、非常に業績の偉大な人物が何人もいるのに、それをわずか200ページほどにまとめてしまうというのが、無理があったと思う。1章につき1人という構造は単純だが、そんなに簡単に割り切れるものでもなく、結果的に、非常に中途半端になっている。

 また、数学上の有名な定理や用語などが頻繁に出てくるが、それらに対する説明も不十分だと思う(ものによっては登場する文字の説明がないままつかわれているものもあった)。一般のレベルがどのくらいかはわからないが、本書に登場する内容を、十分な説明なしで最後まで理解出来る人は相違ないと思う。その点でも、いっそのこと数学的な内容はなるべく、立ち入らず人物に焦点を当てるなど何かしらの大胆な決断が必要だったと思う。

 記述の仕方に関しても、工夫が欲しい。本書は、2人の対話によって進んでいくという方とをとっているが、これも半端だ。というのも、本書の2人はどちらもかなりの数学の知識を有している。そのため、説明をする側と聞く側という立場が文脈によって、安定しない。その点も、よくあるように先生と生徒というよう立場をはっきりさせた方が、読み易くなったと思う。

 非常に面白そうなテーマを扱っているだけに、もう少し丁寧な本がよかった(この辺りについては、著者というより編集が頑張るべき所だと思うが)。

邪悪

邪悪
ステファニー・ピントフ
七搦理美子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫HM HM-ヒ-6-1 HM378-1
2011年1月20日 印刷
2011年1月25日 発行
ISBN: 978-4-15-179101-7
C0197
478ページ
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In the Shadow of Gotham
by Stefanie Pintoff
2009
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 刑事と犯罪心理学の教授のコンビによるシリーズの第1作。アメリカ探偵作家クラブ最優秀新人賞受賞作品。

 MWA新人賞他、いくつかの新人賞にもノミネートされたようで、それなりに期待して読んだ。確かにそこそこ面白いと思うものの、この作品が傑作かと言われれば、ちょっと違うかなという感じの、ある意味微妙な評価の作品。作品そのものの出来は、まずまず良いと思うが、受賞作品であるとか、或いは、内容紹介の文にある、「サイコ・サスペンスと歴史ミステリを見事に融合させた」といった説明、また、このかなり強烈なタイトルから、どうしても読む前の期待値が上がってしまい、その意味で若干損をしているかもしれない。

 個人的な見解としては、残念ながらこの作品がサイコだとも歴史ミステリだとも思わない。サイコというと、もっとぶっとんだ、それこそトラウマにでも残りそうな陰惨な事件と異常な犯人像をイメージするが、この作中の犯人はそこまで入ってないように思う。また、確かに舞台は20世紀初頭のニューヨーク近郊であるが、それだけで歴史ミステリというのは、頂けない。

 変な先入観を持って読まなければ、テンポも良いし、それなりにまとまっているのでなかなか良いと思う。また、この日本語訳が出版されたのが、2011年1月なのに、2作目の翻訳がすでに7月に出ていることを考えると、早川書房も結構力を入れているようなので、遠からず、3作目も訳出されるかもしれない。近年、中途半端に翻訳が止まることが多いので、このシリーズには頑張ってもらいたい。

Village Green Preservation Society

"Village Green Preservation Society"
Original by The Kinks, 1968
Covered by Kate Rusby, 2008
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cf. Link to YouTube
by The Kinks,
,

by the Kinks (Live in 1973),


by Kate Rusby,


cf. Link to Wikipedia
on The Kinks (English), (Japanese), and
on Kate Rusby (English), (Japanese),

2011年7月19日火曜日

ヴォイド・シェイパ The Void Shaper

ヴォイド・シェイパ The Void Shaper
森博嗣
中央公論新社
2011年4月25日 初版発行
ISBN: 978-4-12-004227-0
C0093
330ページ
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 スカイ・クロラシリーズに続く、中央公論新社での新シリーズ。

 まずは何より表紙がいい。スカイ・クロラシリーズと同じようなデザインで、とてもきれいだ。作品自体の評価は、人によってかなり別れるように思う。というのも、この作品においてはいわゆるストーリーというものがつかみづらいからだ。最近の森博嗣の本では、珍しいことではないと思うが、シンプルなわかりやすいストーリーを期待していると、なんだかわからないまま終わってしまうかもしれない。

 個人的な認識としては、京極夏彦の『死ねばいいのに』がこの作品ととても近いように思う。ある意味では、対をなしている、もしくはパラレルな関係にある、といえるかもしれない。どちらも、直接核心となる部分には触れずに、その周辺をまわることで、次第に輪郭がわかってくるという構造を持っている。その意味で、今作は正にタイトル通りの作品といえる。このシリーズがラストまで進んだ時に、最後に見えてくる形がどのような形なのか、興味深いと思う。

死ねばいいのに

死ねばいいのに
京極夏彦
講談社
2010年5月15日 第1刷発行
2010年8月9日 第5刷発行
ISBN: 978-4-06-216172-5
C0093
398ページ
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 少し前に、電子書籍でも同時発売するということで話題にもなっていた気がする。

 シリーズ外の作品、あるいは新シリーズの1作目というのは、先の展開が予測しにくい面があると思うが、この作品に関しても、その部分がかなり強く聴いていたのでは、と思う。ストーリーはシンプルで、とある事件を中心に、その周辺人物へ話を聞きにいくことで、事件の輪郭が、あるいは、被害者が徐々に見えてくるという話だ。その過程で事件が徐々に解決していくわけではなく、あくまでも事件そのものが見えてくるだけだ。その点では、なかなかこの作品がどのような結末を迎えるのかなかなか予想出来ない。何度も使えるてではないが、とても興味深いと思う。

 また、この本と続けて読んだ森博嗣の『ヴォイド・シェイパ』が作品の構造や、テイストは違えど、非常によく似たかたちをもっているように感じた。

2011年7月13日水曜日

The BEST History of GARNET CROW at the crest...[通常盤]

The BEST History of GARNET CROW at the crest...[通常盤]
by GARNET CROW
GIZA Studio
2010
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 2005年以来の2枚目のベストアルバム(通常盤)。

 いつもフォローしているわけではなく、たまに聴くだけだが、やはり非常に安定していると思う。このベスト盤には、以前のベストアルバムの曲も収録されているが、最近の曲と以前のものとを比べても、スタイルが大きく変わることがないので、安心して聴くことが出来る。ほぼ毎年に近い割合でアルバムを出していて、なおかつクオリティも安定している。ぜひぜひこのまま続いて欲しい。

cf. YouTube "夢みたあとで"




cf. "call my name"

2011年7月12日火曜日

謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで
東川篤哉
小学館
2010年9月7日 初版第1刷発行
2010年12月6日 第7刷発行
ISBN: 978-4-09-386280-6
C0093
255ページ
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 2011年の本屋大賞受賞作品。

 前年の大賞受賞作が冲方丁の『天地明察』ということもあり、また、金持ちのお嬢様と執事、というベタながらも割合好みの設定であるので、結構期待して読み始めたが、正直期待はずれな出来だった。

 勿論、ミステリとしては解決編の前に一通りのヒントは提示しているし、この種のお決まりな展開も短編という制約を考えれば、出来はそう悪くはないと思う。そういう意味では、可もなく不可もなくといった、出来だろう。しかし、大賞受賞とか、何万部売れたとか、そういった情報のせいで期待値が大分高くなっていただけに、落差とはいわないまでも、純粋に評価されない分、マイナスに働いたように思う。

 あるいは、ミステリが好きな人間にとっては物足りないが、普段本を読まない人にとっては、このくらいの軽いものの方が読み易いのかもしれない(面白いと感じるかどうかは知らないが)。そう考えると、結構売れているのもわからないでもないし、そういった作品を書店が評価するのもわからないでもない。ただ、実際、作品に対して適切でない評価を周囲がして大騒ぎするという状況が、果たしていことなのかは疑問に思う。

2011年6月28日火曜日

ジャッジメント/Q

ジャッジメント/Q
天原聖海
講談社
講談社BOX アC-02
2011年4月1日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283772-9
C0093
399ページ
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 前作『ファイナリスト/M』から約2年ぶりのシリーズ2作目。

 『ファイナリスト/M』がやや詰め込みすぎというか、どうにも焦点がぼやけてしまっているような印象を受けたが、それに対して今作は、量的な面でも質的な面でも大分シンプルになったように思う(それでも、400ページほどあるが)。量の方はともかく、質についてはもう少しがんばって欲しかった。謎解きの辺りで、もうひとひねりくらいあっても良いのではないかと思う。その辺りは若干の物足りなさも感じた。

 また、作品中では、ほんの数ヶ月しか経過していない、という設定だが、外の世界の時間の経過に併せて本の中の世界も若干変わっているように感じた。なんというか、主人公の相棒のAIが今の時代の方が馴染んでいるように見える。

清く正しい本棚の作り方

清く正しい本棚の作り方
(TT)戸田プロダクション
スタジオ タック クリエイティブ
2009年11月28日 発行
ISBN: 978-4-88393-358-7
C0072
199ページ
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 タイトル通り。

 このタイトルから、本棚にどういう本並べてどういう本棚を作るのか、というようなソフト面の内容を勝手に想像していたが、文字通りハード面の本棚づくりの本。残念ながら自分で本棚を制作することは、技術的にもその他の制約の上でも、まず不可能なので、内容は最早別世界の話に等しい。前半の話はパラパラと写真を中心に眺める程度しか出来ないが、後半の写真がカラーになっている辺りからは、より具体的なイメージが出来るので、眺めているだけでも色々面白いと思う。

究極の文房具ハック 身近な道具とデジタルツールで仕事力を上げる

究極の文房具ハック 身近な道具とデジタルツールで仕事力を上げる
高畑正幸
河出書房新社
2010年9月30日 初版発行
2010年10月30日 2刷発行
ISBN: 978-4-309-24526-3
C0034
128ページ
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 以前に、『究極の文房具カタログ マストアイテム編』を読んでみて、とても楽しそうだと感じたので、こちらも読んでみたが、結果的には自分の求めていた物とは違っていた。以前の本の主たるテーマが文房具そのもの、(特に、いわゆる高級文具ではなく、比較的安価に手に入るもの)その性能、使い勝手とうにスポットライトが当たっていたとするなら、今作では文房具(を初めとしたアイテム)は目的のための手段、といった位置付けだろう。

 残念ながら、著者の目的とアイテムの使い方は、自分の場合にあてはめてみるとあまり重なる部分は少なかった(勿論、色々と応用出来る知恵はあるが、やはり少しずれている部分はある)。従って、本書を前書のように十二分に楽しむ、という分けにはいかなかった。

 また、この本で紹介されているうちの一部はウェブサイトの連載で紹介されていた内容で、そちらでも参照出来る(写真等はカラーなので幾分見やすくなっている)。

cf. 文具王の「B-Hacks!」(誠 Biz.ID)
->-> http://bizmakoto.jp/bizid/bungkingindex.html

Best Selection II

Best Selection II
中島みゆき
Pony Canyon
1992
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 「黄砂に吹かれて」が聴きたかった曲だが、このアルバムで一番良かったと思うのは、「春なのに」の方だ。中島みゆきのセルフカバーバージョンは初めて聴いたが、柏原芳恵の歌うものよりもこちらの方が好きだ。この人がこんなにも柔らかく歌うとは思わなかった。これ1曲だけでも聴く価値がある。

cf. 『時代』


cf。『春なのに』


cf. 『黄砂に吹かれて』

2011年6月20日月曜日

SONGS

SONGS
山本潤子
Universal
2007
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 赤い鳥、ハイ・ファイ・セットの山本潤子によるJ-Popカバーアルバム。

 そもそも歌がうまいということは初めからわかっていたので、何の心配もしていなかったが、アレンジも含めて全体的に良かったと思う。「翼をください」に関しては、オリジナルのものと大分変えているので、どうしても違和感が残るが、他の曲に付いては、外れなく、どれも落ち着いた感じで非常に良かった。最近は何でもかんでもカバーするのがはやっている感じがあるが、やはりちゃんと歌える人が歌うのが良い。

2011年6月19日日曜日

ケモノガリ

ケモノガリ
東出祐一郎
小学館
ガガガ文庫 ガひ 1-3
2009年7月22日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-09-451148-2
C0193
290ページ
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 好き嫌いが別れるであろう小説。

 まず何よりも小学館からこのような内容の詳説が出版されたこと、それ自体が驚きだ。立ち位置としては、講談社や集英社など他の大手の出版社と比べて一番遠い位置にいるであろう出版社であるのに。まして、1冊のみならず続巻が出ているということはそれなりに需要があったのだろう。その意味では、小学館側の読みが当たったとも言えるが。

 内容は、中盤以降、テンポ良く展開されていて多少荒っぽいながらも一応着地しているかな、という感じ。個人的には、そう嫌いではないが、といってこういうものばかりを読みたいとも思わない。読んでみての印象として、B級アクション映画のにおいがする、あるいは、男子中高生の妄想を描き出した、という表現が近いように思う。ある意味、特殊な才能を持つ主人公が的をバタバタと倒していく、というお約束の展開だ。この作品に付いて言えば、それがぎりぎりの所で破綻せずにバランスしていると思う。次巻以降でも同じことが出来るかどうかはわからないが。

デュラララ!!×9

デュラララ!!×9
成田良悟
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 な-9-37
2011年2月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-870274-4
C0193
339ページ
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 シリーズ9巻目。

 今回は、全編を通じて折原臨也が物語の中心にいる。これまでの巻でもいろいろと裏で糸を引くようなことは良くしていた、という印象があるが、これほどスポットが当たることは今回が初めて。勿論、今回も2転3転軽くどんでん返しがあるが、いつもに比べると、毒が少ない、というか幾分穏やかな感じだったと思う。そういう意味では、多少読み易いといえるかもしれない。読んでみての印象として、全体的にこの巻は閑話休題的な巻という印象を受ける。物語が次のステップに進むための準備にあるような感じがする。

2011年6月15日水曜日

ポップス同窓会 懐かしのエレキ天国

ポップス同窓会 懐かしのエレキ天国
King Records
1998
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 エレキのインストアルバム。

 どれもこれもが超有名曲で、また、演奏しているのが「寺内タケシ&ブルージーンズ」、「ノーキー・エドワーズ」、「井上宗孝とシャープファイブ」とこちらも申し分無し。演奏しているバンドによってアレンジが異なれば、当然自分の記憶の中のそれとのずれを感じてしまうことになるが、このアルバムに関して言えばそんなことはほとんどなく、聴いていて非常に心地よいというか、安心して聴くことが出来た。

 一点、要望というか、もっと丁寧に作って欲しかったのは、ライナーノート、解説の充実を願う。どれもこれも有名曲ではあるが、やはりリアルタイムでない限りはなかなか知らないことも多い。その辺りレコード会社は力を入れて欲しい。(もしかしたら、新品のCDには充実したものが付いていたのかもしれないが、残念ながら確認のしようがない)

 楽曲、バンドの解説ついでに、なぜ東海林さだお氏のイラストがついていいるのか。この辺も多くの人にとっては、謎だと思う。

2011年6月7日火曜日

シブミ〔下〕

シブミ〔下〕
トレヴェニアン
菊池光 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-ト-3-4 NV-1106
2006年2月10日 印刷
2006年2月15日 発行
ISBN: 4-15-041106-9
C0197
341ページ
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Shibumi
by Trevanian
1979
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 シブミ下巻。

 『夢果つる街』とともに、タイトルは知っていたが未読だった本。この本に対しては、既存の枠組みでとらえるという行為は、意味がないどころか、却ってわからなくさせてしまうと思う。この作品がある面において「冒険」小説的な性格を有していることは、確かにそうだと思うが、それはこの作品のあくまでもごく一部を表しているに過ぎない。別の面を見れば、青春小説のようにも見え得るし、また、スリラーともいえる。そして、そのような言葉に還元することが困難な面をも有している。

 だからこそ、敢えて既存の枠組みにあてはめることは、この作品に対しては適当ではない。この作品は、それ自体が一つのジャンルといっても良いほど、独特な立ち位置にあるといえる。この作品が「世界中を熱狂させた」とある。それ自体はそうかもしれないし、そうなのだろうと思う。ただ、その内のどれだけが、この作品を理解し得たのか。この作品は読まねばわからないのは勿論だが、読んだ所で理解出来る保証はない。人によっては、何度読んでもダメだろう。

 基本的に、作品それ自体が面白ければ良いと思う。したがって、通常作者が誰であるとか、どういうつもりで書いたのか、といった国語の設問にあるようなことを考えるのは、どうでも良いことだと思っている。しかし、この作品に限っていえば、この作品の周囲にあるもの、背後に潜むものも気になる。こういう傾向の作家なのか。それとも、この「シブミ」が異端なのか。少し調べてみたいと思った。

シブミ〔上〕

シブミ〔上〕
トレヴェニアン
菊池光 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-ト-3-3 NV-1105
2006年2月10日 印刷
2006年2月15日 発行
ISBN: 4-15-041105-0
C0197
344ページ
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Shibumi
by Trevanian
1979
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 シブミ上巻。感想は下巻とまとめて。

2011年6月5日日曜日

AGF マキシム インスタントコーヒー

マキシム インスタントコーヒー 2g x 100
AGF
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 スティックタイプのインスタントコーヒー2g x100本。

 同じタイプのブレンディの商品と比べると、こちらの方が若干値段が高い。ブレンディの商品と比べると、粉末のサイズが少し大きめで、同じサイズのスティックの袋がパンパンになっている。味については、こちらの方が少し苦めになっている。
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cf.ココデカウ楽天市場店へのリンク。

AGF ブレンディ インスタントコーヒー

ブレンディ インスタントコーヒー 2g x 100
ブレンディ インスタントコーヒー まろやかな香りブレンド 2g x 100
AGF
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 スティックのインスタントコーヒー。

 価格も安く、特別においしいとは思わないが、お湯さえあれば(水でもいけるらしいが)すぐに飲めるし、スティック1本でカップ1杯と分量的にも非常に扱い易いので重宝している。

 同じAGFの「マキシム カフェ・アラカルト」と比べると、こちらの方(両方とも)が粉末が小さくなっている。そのため、溶け残りの心配も小さく良い。若干味が薄めというか、苦みが抑えめではあるが、それを差し引いてもコストパフォーマンスは非常に良い。

 個人的な好みとしては、緑よりも赤の方が好きな味だ。
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cf. ココデカウ楽天市場店の商品へのリンク。

2011年6月3日金曜日

LIMIT(リミット) 3

LIMIT(リミット) 3
フランク・シェッツイング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-10 NV-1222
2010年7月20日 印刷
2010年7月25日 発行
ISBN: 978-4-15-041222-7
C0197
617ページ
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LIMIT
by Frank Schätzing
2009
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 LIMIT4分冊の第3巻目。

 1巻がやや長いイントロ、2巻で大きく動き出し、そして、この3巻では、並行して動いていた3つの事件がつながり、いよいよ事件全体の様相が見えて始めてきた。地球での動きはひとまず一段落し、その焦点は月に移りつつある。巻末にある4巻の予告を見ると、まだこのまま素直に終わらずに、もう一波乱ありそうなので、そこも楽しみにしたい。

  特に、1、2巻の展開などから漠然と予想していた展開を裏切る展開を見せているので、ラストでどのように持ってくるのか。アメリカの作家による作品は、映画に似ているというか、良くも悪くもシンプルな構造をしているのに対し、この作者の場合、そういう感じがないので、実際に読む楽しみになる点がいい。

2011年5月31日火曜日

"20 Years" by The Civil Wars

"20 Years"
by The Civil Wars
from album "Barton Hollow"
2011
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静かな曲。フォークになるのか。ノラ・ジョーンズなどを聴いても思うが、レディ・ガガのような派手なのがある一方で、こういう落ち着いた曲調のものがある。その幅の広さがアメリカの強さ、良さかもしれない。日本では、こういうタイプはなかなか出てこないだろう。

cf. Link to Official Site,
cf. Link to Wikipedia on The Civil Wars and on the album "Barton Hollow",

"20 Years"
by The Civil Wars


NHKみんなのうた ベスト

NHKみんなのうた ベスト
キングレコード
2006
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 KING TWIN BEST Seriesの一つ。

 タイトル通り、NHKのみんなのうたの曲を集めたアルバム。昔小さい頃に聞いたことのある曲も幾つもあり、非常に懐かしい。非常に懐かしい一方、いくつか不満点もある。具体的にいうと、こちらの興味ある情報が得られないことだ。

 このアルバムに収録されている曲の中には、オリジナルの歌手が歌っているものと別の歌手によるカバーしているものが混在している。また、オリジナルの歌手によるものであっても、何パターンかアレンジの異なるバージョンの曲もある。

 例えば、WIkipediaによると、「山口さんちのツトム君」は川橋啓史がオリジナルのようだが、「北風小僧の寒太郎」は堺正章のバージョンではないし、「赤鬼と青鬼のタンゴ」は尾藤イサオが歌っているがアレンジが違っている。

この辺りの解説がなされていると良いのだが、残念ながらそうはなっていない。いくつかの曲はWIkipediaなどでも情報を見ることが出来るが、NHKならば正確な情報を持っているはずなのだから、その辺りを充実させて欲しい。小さい子供だけを購買対象とするなら関係ないのかもしれないが、もう少し上の年齢層にアピールする要素を入れても良い気がする。

 収録されている中で、良いなと思ったのは、「切手のないおくりもの(ペギー葉山)」とか「オナカの大きな王子さま(ボニージャックス)」、「さとうきび畑(上條恒彦)」、「トレロ カモミロ(西六郷少年少女合唱団)」、「いたずラッコ(水森亜土)」などなど。また、珍しいものとしては「おふろのうた(五百木佑野)」、「星うらないキラキラ(少年少女合唱団みずうみ)」など。

2011年5月29日日曜日

自分探しと楽しさについて

自分探しと楽しさについて
森博嗣
集英社
集英社新書 0580C
2011年2月22日 第1刷発行
ISBN: 978-4-08-720580-0
C0236
188ページ
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 これまでにも、『自由をつくる 自在に生きる』などの新書や、ブログ、その他エッセイなどでも、どのように自分のしたいことが出来る環境を作っていったのか、については書いていたが、それらをもう一度まとめた本。本書は、『自由ー』、『創るセンス 工作の思考』、『小説家という職業』などに比べると、やや抽象的になっている。

 以前に、ブログ等で見ていたので、本書で述べられていることで、特に新しいことはないように思う(これは初めて見たと思ったのは、これまでの庭園鉄道を放棄した、ということくらいだ)。また、読んで感じたのは、かなり丁寧に書いているな、という印象を受けた。勿論これは、初めて読む読者用に、ということだとわかるが、随分と至れり尽くせりだな、と思う。

 本書や、集英社新書から出た三冊は、それぞれあるテーマの下に書かれている。が、これというテーマを絞らずに、エッセイ等を読む方が、森博嗣の考え方はわかるような気がする。

古道具屋皆塵堂

古道具屋皆塵堂
輪渡颯介
講談社
2011年2月23日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-216743-7
C0093
260ページ
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 浪人左門シリーズではない作品としては、初めての作。ただ、舞台背景やテイストなどは変わらず、怪談アリのミステリ風といった感じ。そのため、これまでの浪人左門シリーズが気に入ったならば、こちらも問題なく入って行けるだろう(いつの間にか、文庫が出ている。個人的には、ソフトカバー&文庫版よりも、最初のノベルス版の表紙の方が好きだった)。

 構成は、長編一本ではなく、短編集の形式で、それらの短編が集まって全体として、一つの長編を形成している作り。短編一つ一つで解決してるので、まとまった時間がなくとも読み進められるという点では、読み易いと言える。

 作風が軽妙で、また、この作者の作品ならば、最後はキレイに終わってくれるだろう、という安心感があるので、楽しく読むことが出来る。その一方で、ややマンネリ感もある。今作は、浪人左門のシリーズではないが、では全く違うテイストかというと、そうでもない。似た筋書きの舞台を、違う役者で見ているような感じに近い。この作品のある人物の役割は、向こうのシリーズの誰某にあたる、などキャラクターの役割、機能が置き換わっただけで、大枠では変わっていないように見える。作風を壊さずに、その辺りをがらっと変えられると面白いかもしれない。

2011年5月16日月曜日

ムードコーラス ザ・ベスト・コレクション

ムードコーラス ザ・ベスト・コレクション
Victor
2009
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 ムードコーラスのコンピレーションアルバム。

 タイトル通り、いわゆるムードコーラスとよばれるジャンルの曲を集めたアルバム。ただ、注意しなければならないのは、誰が何を歌っているかだ。このアルバムの解説で簡単にだけ触れられているが、必ずしもオリジナルの歌手が歌っているわけではない。勿論、オリジナルのもあればカバーバージョンもあり、その点やや紛らわしい。解説も、歌詞カードはあるが、曲そのものや歌っているグループについての解説はほとんどない。知っている人は知っているかもしれないが、この辺りの情報、事情を解説してくれているとありがたいのだが。

新約 とある魔術の禁書目録(=インデックス)

新約 とある魔術の禁書目録(=インデックス)
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-28
2011年3月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-870319-2
C0193
409ページ
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 タイトルに「新約」の二文字が入り、一新、第1冊目。

 またナンバリングが1から始まったが基本的には変わらず。前巻(22巻)の後の学園都市での出来事。単純に章変わりするだけなら、タイトルまで変更する必要はないような気もするが、この先どのくらいまで続くかはわからないが、仮に、30、40まで続くとすると、ライトノベルにしてそのナンバリングは少し腰が引けるかもしれない。その意味では、一旦、リセットするには良い機会かもしれない。

 本編で主に主人公を務めていた3人のうちの2人が活躍している点で、基本的な構造は以前の巻と変わらないが「新約」となったからか、いくつか異なっている点もある。例えば、主人公たちの関係性であり、あるいは、「科学」の進歩であったり。この辺りはこれまでも徐々に変化はあったのだろうが、以前のシリーズよりも一段階先へ進んだ、という印象を受ける。

 新章に入り、ストーリーがどこへ向かっているのかまだ見えない状況なので、先の展開を想像する楽しみもあり、これは今だけの楽しみ方だろう。

花物語

花物語
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-24
2011年3月29日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283771-2
C0093
272ページ
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 『猫(白)』、『傾』につづく物語シリーズ新章の3冊目。

 今作は神原駿河の視点で語られる。そのため、『猫(白)』の時もそうだったが、それ以外のシリーズ作品とは印象が大分違う。外から見ている限り(アニメとか、オーディオブック版も含めて)、シンプル極まりない人格に見えていたキャラクターだったが、意外と悩んでいて、ちょっと意外だった。

 また、これまでが、時間の前後はあれど、物語の語り部が変われど、基本的には主人公阿良々木暦が高校生のときの話である点は一致していた。それに対し、今作はその卒業後ということで、若干時間が乖離しており、それに伴って所々物語の背景が変わっている。これも神原駿河を動かすため、ある意味必要からだと思うが、色々考えさせられる所でもあった。

 これまでシリーズは一通り読んで来ているけれど、新鮮、ある意味で一番青春な小説だったと思う。

LIMIT(=リミット) 2

LIMIT(=リミット) 2
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-9 NV-1221
2010年6月20日 印刷
2010年6月25日 発行
ISBN: 978-4-15-041221-0
C0197
565ページ
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LIMIT
by Frank Schätzing
2009
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 LIMIT4分冊の第2巻目。

 第1巻は、長い導入のような形で、3つの場面において、それぞれの場に登場する人物たちの紹介を中心に、これといった事件が起きないまま終わってしまった。それに対して、この2巻は3つの場面のうちの一つでかなり大きな進展が見られた。そもそもの時代背景が近未来となっていることもあり、物語内で使われるギミックもハイテクなものが多く、映像化したらなかなか面白そうな感じを受ける。

 1巻はやや退屈な印象を受けたが、その分、この2巻は躍動感があった。まだ4冊のうちの約半分が終わっただけだが、このペースで行くと、残り2冊はかなり盛り沢山な内容になりそうだ。あとは、1巻でも気になったことだが、中国語の人名、地名で読めないものが少なからずあることが気になる。中国語を勉強したことがある人は平気なのかもしれないが、ルビくらい振って欲しい。

2011年5月11日水曜日

LIMIT(=リミット) 1

LIMIT(=リミット) 1
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-8 NV-1220
2010年6月20日 印刷
2010年6月25日 発行
ISBN: 978-4-15-041220-3
C0197
590ページ
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LIMIT
by Frank Schätzing
2009
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 LIMIT4分冊の1冊目。まどこれといった事件は起きず。

 これまでのフランク・シェッツィングの著作でも感じたことだが、書いているテーマに関して相当綿密に下調べをしているという印象を受けた。本作では、今よりも少し未来の世界、科学技術の発達した世界、あるいは宇宙空間(無重力状態)での挙動など描写が非常に凝っている。

 難をいうなら、複数の場面を並行して、見ていくために、細かい時間で少しずつ読んでいこうとすると、なかなか登場人物が覚えられない。また、栞代わりに出来る登場人物表があるのはありがたいが、今作で数多く登場する、中国系の人名、地名の読み方もルビを振っていて欲しかった。本文中で振られているが、すべて覚えているわけでもなく、また、出てきたページを探すこともほとんど出来ないので、その辺りの対策があるとありがたいと思う。

2011年5月8日日曜日

監獄島 下

監獄島 下
加賀美雅之
光文社
カッパノベルス
2004年8月25日 初版1刷発行
ISBN: 4-334-07576-2
C0293
578ページ
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 『監獄島』下巻。『双月城の惨劇』に続く、シャルル・ベルトランのシリーズ2作目。

 前作『双月城ー』に続いて、血塗られた歴史、密室内の死、おどろおどろしい舞台設定などなどカーテイスト満載の今作である(時系列的には、こちらの方が『双月城ー』よりも先にあたる)。本作内で起きている事件やそこで使われているトリックなどに関して、特段の不満はない。勿論、冷静になって見れば、それは無理だろうというような部分も少なからずあるが、その辺りはご愛嬌というか、それも含めての魅力だと思うので、個人的には良いと思う。

 しかしながら、不満が全くないわけではない。具体的に言うと、2点ある。一つは、記述者を務めるワトソン役キャラクターの余りにもワトソンなところである。もう一つは上下巻それぞれ500ページ強という長さである。通常、ワトソン役を務める人物は、読者の代わりを担うという意味でも、あまり頭が良すぎないよう設定されている(読者と同程度か、少し頭が悪いくらいが多い)。本作に関して言えば、ちょっと悪すぎるというか、一つ一つが大げさに過ぎるきらいがある。したがって、2点目の不満点とも関わってくるが、地の文での記述、或いは会話の中でも説明口調が過ぎるところが気になる。

 また、ワトソン役に限らず、同じ説明の重複がやや多いのが目につく。会話の中で、或いは地の文で、ほぼ同じ内容を繰り返しているために、ページ数がかさばっている。本作に関して言えば、事件も数多く起こり、必然、長さも長くなりがちなので、それ以外の不必要な部分はシンプルにした方が、読み易く、また印象も強くなるのではないかと感じた。

監獄島 上

監獄島 上
加賀美雅之
光文社
カッパノベルス
2004年8月25日 初版1刷発行
ISBN: 4-334-07575-4
C0293
521ページ
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 『監獄島』上巻。感想は下巻と併せて。

2011年5月3日火曜日

双月城の惨劇

双月城の惨劇
加賀美雅之
光文社
カッパノベルス
2002年4月20日 初版1刷発行
ISBN: 978-4-334-07468-5
C0293
428ページ
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 ミステリ好きの作者の手によるクラシックなミステリ。

 作者は、カーが好きらしい。それは、探偵役を務める人物の名前にも表れているし、物語の舞台となる時代が1930年頃というのも、ミステリの黄金時代に対する思い入れの一つかもしれない。あるいは、作中に密室講義をしたという「ドクター・フェル」なる人物についての言及があったり、この作品の至る所にちりばめられたこういった装飾は、個人的にはど真ん中ストライクだ。しかし、だからこそその作品に対しての見る目は、他の作品以上に厳しくならざるを得ない。

 個人的な評価を下すなら、面白いと思う。ただ、不十分だ。もっともっと面白くなければならないと思うし、また、そうあって欲しい。

 執事やメイド、前々問題無し。不気味な伝説の残る城、大いに結構。少し単純でまた、頭の働きの鈍いワトソン役も必須だ。首無し死体に密室状況、素晴らしい。どれもこれも、大好きな要素ばかりだ。だが、しかし、解決部分(もしくは、真相)が良くない。途中の、事件が起きた段階で、色々と不可解な状況はあるが、それでもある程度先の展開が読めてしまう。もちろん、起きた事件すべての真相を完璧にわかったわけではない。しかし、部分部分、事件の要素を細かくしてみていくと、少なくない所でこちらの予想したものとそう違わない展開だった。

 たとえば、カーやクイーン、彼らと同時代の作品であるならばこれでいいだろう。ある意味、非常に素直、シンプルであるといえる。しかし、それらの一連の作品を読んでからならば、少なくともそこはクリアしてしかるべきだろう。やや欲張りな注文ではあるが、もう少し、こちらの予想を超える水準のトリック、真相が欲しい。

 これは本編の出来とは関係ないが、ノベルス版の最後についている作者インタビュー、これはもう少しまともなものにした方が良い。質問内容が云々というより、本文が2段組みでビッチリ、解説文も(1段組み)ビッチリ、の後にしては、余りに行間が空きすぎだ。特に深い考え無しに余白ページを埋めるためだけものものかもしれないが、やるならきっちりやり、体裁を整えるべきだ。そうでないなら、初めからやらない方が良い。立つ鳥跡を濁さず。

ファイナリスト/M

ファイナリスト/M
天原聖海
講談社
講談社BOX アC-01
2009年5月7日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283707-1
C0093
702ページ
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 第3回講談社BOX新人賞・流水大賞優秀賞受賞作の作品。

 そもそもこの賞がどういうタイプの、どの程度の水準の作品に対して与えられるものなのかわからないので、その点は何とも言えないが、全体的にうーんというか、イマイチ乗り切れないまま終わってしまったような感じがする。

 大雑把に言ってしまえば、気弱な主人公の青年が周囲のクセの強い人たちにあれこれと言われつつ、徐々に成長、変化していく物語、と言えるだろう(これがこの作品での主題かどうかはともかくとして)。確かに、文章の端々でそのような印象を受ける。では、何が不満か、何が物足りないかと言えば、まず長い。勿論これ以上長い作品がないわけではないが、それでも約700ページというのは、長い。

 そして、その長さの割には、いまいち物語の濃度というものがそれほど感じられない。途中何度か見るべきポイントはある。探偵グランプリの経過もそうだし、その中で発生する事件もそうだ。しかし、それがあまり重要な役割を果たしてはいない。良くある探偵小説のように、事件が未解決のまま最後まで引っ張っていって、探偵役鮮やかに解決してみせる、ということもなく、それほど時間もかからずに、ひとまず解決はされる(それが真相とは限らないが)。

 だから、大きな山場を迎えることなく、最終盤まで行ってしまう。それ故に、この700ページという長さが、若干苦痛に感じられてしまう。キャラクターの持つ個性などは、面白いと思うので、もっとコンパクトにして、一点集中ではないが、力の入れ具合を工夫してみたら良いと思う。

2011年4月30日土曜日

ちょんまげ天国 〜TV時代劇音楽集〜

ちょんまげ天国 〜TV時代劇音楽集〜
Sony Music
2002
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 文字通り時代劇の主題歌などを集めたアルバム。

普段時代劇を見ることはまずないので、漠然と水戸黄門的なものを予想していた。その水戸黄門にしたところで、初めのワンフレーズだけ知っていて、あとは全く知らない。ここで収録されているものは、そこそこ前の作品のものだと思うが、水戸黄門や暴れん坊将軍のように、いかにも時代劇といった風な曲もあれば、一方で、上條恒彦の「誰かが風の中で」のような曲もある。そして、これは非常に意外だったが、そういった時代劇っぽくない曲、というのが多かった。時代劇というと、ある意味それ専用の枠というか、普通のドラマとはまるきり別物問い思っていたが、こうして聴いてみると、ドラマの主題歌を流行りの歌手が歌うような感覚に近いように見える。それがこのアルバムで一番印象深かったことだ。

メグとセロンVI 第四上級学校な日々

メグとセロンVI 第四上級学校な日々
時雨沢恵一
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 し-8-34
2011年3月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-870386-4
C0193
321ページ
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 シリーズ第6巻。中身は短編2本と中編2本の連作集。一つ一つの話は独立しているが、時系列的に並んでおり、全体の大きな流れはつながっている。

 今回は、これまでとは少々趣きが異なっている。勿論本の構成もそうだが、何より描かれている視点が違っている。そして、そのため、読んでいて若干の違和感を感じた。4編収録されている内の2編は、いつもと同様の視点で。そのうち、最初の1編は以前少しだけ出てきたサブキャラクターのエピソード。ごく短いが、その人物像がよくわかるので面白い。もう一つ中編の片方が、いつもと同様のテイストになっている。

 それに対して、残りの2編は、片方はニック視点で、もう一方は、留学生の視点で書かれている。そのため、普段と同じメンバーが同じような会話をしているのにも関わらず、地の文が少し違っており、結果として受ける印象がちょっとずつ違っている。また、留学生の登場する話では、読者はこの留学生の視点から物語の世界に入って体験しているような見せ方をしている。いつもの視点に慣れているからなのかはわからないが、個人的にはこのやり方にどうにも最後まで馴染むことが出来なかった。

 一つ一つのエピソードは大きくないが、物語としては一応進んでいる。最後のところにあった「大変なこと」がどうなっているのか、ぜひ早く続きを読みたい。

2011年4月25日月曜日

ハラダ製茶 やぶ北ブレンド徳用緑茶 ティーバッグ50P

ハラダ製茶 やぶ北ブレンド徳用緑茶 ティーバッグ50P
ハラダ製茶
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 緑茶のティーバッグ(50P入り)。

 以前試した別の会社のティーバッグ(値段、量とも同程度)のものと比べてみると、大分しっかりしている。そこのは、入れた時の色がやや黄色に近い色で、味もお世辞にも良いとは言えなかった。それに対して、これは、まず色がちゃんと出るところが良い。普通の湯飲み茶碗では、少々小さいので、マグカップ(250ml)に入れて飲んでいるが、そのサイズでも、ちゃんと濃いめに出るのが素晴らしい。味は勿論、きちんと急須で入れたものと比べると、厳しいところはあるが、それでもぱっと手軽に入れられるところは、時によってはとてもよい。上と比べていてはキリはないが、それでもコストパフォーマンスを考えると、ほぼベストの水準ではないかと思う。

究極の文房具カタログ マストアイテム編

究極の文房具カタログ マストアイテム編
高畑正幸
ロコモーションパブリッシング
2006年2月10日 第1刷発行
ISBN: 978-4-86212-034-2
C0076
128ページ
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 書く、消す、切る、貼る、綴じる、はかる、整理するといったテーマごとに文房具と、その使い方を紹介した本。

 文房具を紹介した雑誌、本などは巷にあふれているが、本書は他と決定的に違っている。それらの多くは、新製品を紹介することが目的の一つであることが多い。そのため、沢山の写真があり、見ているだけで楽しい気分になれるが、一方で、当たり前ではあるが、その商品の欠点や弱点などは書かれていない。それに対して、本書は著者が実際に使ったものの中から、特にチョイスしてきたものを紹介している。つまり、多くの商品を試した中から、厳選されているものばかりだ。本書の特徴として、商品自体の説明を、著者自身の手によるイラストによっていることがある。この辺りも商品、或いは、文房具そのものに対する愛着なのかもしれない。

 本書で紹介されている商品のほとんどは、ごく普通に買えるものだ。一本数万円もする万年筆などは手が出せないが、このぐらいの値段であれば、ちょっと試してみたくもある。また、比較的最近のものもあれば、数十年前からの定番商品もある。何でもかんでも新しいものの方が優れているように考えがちだが、長く残っているものにはそれなりの理由があるということも面白い。

 本書の内容(文章とイラスト)は、著者のウェブページの「究極の文房具カタログ」のコーナーから、(本書に収録されていないものも含めて)読むことが出来るようだ。

2011年4月24日日曜日

ムードコーラス 夢の競演

ムードコーラス 夢の競演
フリーボード
2007
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 歌謡曲というのか、ムードコーラスというのか、とにかくそのコンピレーション盤。

 そもそもリアルタイムで聴いていたわけではないが、曲を聴いてみると結構聞き覚えのあるものが多い。この時代独特の、今の音楽とはある意味全く別の種類の音楽がある。企画としては割と好きだが、どうせなら各グループや、楽曲の説明もあって欲しかった。たとえば、グループ名で、マヒナスターズやロス・プリモスから、和田弘や黒沢明といった名前が抜けているのかなど。この人たちは、今はどうか知らないが、実際に曲がヒットした時にはあった名前なのに。Wikipedia等で調べれば分かる話かもしれないが、説明してくれても良いと思う。知らないままでいていい人たちではないだろうから。

「小樽のひとよ」
鶴岡雅義と東京ロマンチカ


「コモエスタ赤坂」
ロス・インディオス


「ラブユー東京」
黒沢明とロス・プリモス


「知りすぎたのね」
ロス・インディオス


「誰よりも君を愛す」
和田弘とマヒナスターズ/松尾和子


「別れても好きな人」
ロス・インディオス&シルヴィア


「愛して愛して愛しちゃったのよ」
和田弘とマヒナスターズ/田代美代子

名調子!玉置宏の昭和ヒットコレクション 2

名調子!玉置宏の昭和ヒットコレクション 2
King Records
2010
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 いわゆる歌謡曲を集めたアルバムのシリーズの一つ。今のところ、Vol. 5まで出ている模様(→アマゾンへのリンク)。

 この種のコンピレーションアルバムは、色々なレコード会社からこれでもかという程出されている。他の企画ものとの違いは、曲の前奏部分で、玉置宏氏の曲紹介のセリフが入っていることだろう。リアルタイムで聴いていた人にとっては懐かしいのかもしれないが、個人的にはあまり嬉しくない。歌そのものは、他のアルバムに収録されているものと同じなので、そこだけが異なっている。例えば、映画DVDの字幕や副音声のように、自分で有無を選択出来るようなしくみになっていれば良いと思うが、正直なところ、あっても特に良いことはない。この部分の違いで他の商品との差別化を狙ったのだとしたら、ちょっとどうかと思う。

剣の女王と烙印の仔VII

剣の女王と烙印の仔VII
杉井光
メディアファクトリー
MF文庫J す-03-07
2011年2月28日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8401-3817-8
C0193
227ページ
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 シリーズ第7作目。

 シリーズ開始当初は、ミネルヴァとクリスという二人の主人公が様々な面で中心に物語が進んでいたが、巻が進むに従って、その二人だけでなく、周囲のキャラクターたちの物語の全体に占める割合も次第に増してきた(実際、表紙のイラストなどを見てもそれがわかる)。それにより、物語そのものの幅も出てきたように思うし、また、進むにつれてだらけることもなく、スタート当初の緊張感を持ったまま進んできた点も良いと思う。

 今巻は、大きな戦闘の場面などはなく、割と静かに進んでいるが、この先に向けて、いよいよ大きな動きがあるその前触れらしきものはいくつか見られる。最終的にどのくらいまで巻数が行くのかまだわからないが、今ぐらいのテンポで進んでくれると良いと思う。

2011年4月23日土曜日

カンナ 天満の葬列

カンナ 天満の葬列
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-33
2011年3月7日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182769-1
C0293
280ページ
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 カンナシリーズ第7作目。

 シリーズが全9巻を予定しているということで、これまで少しずつ進んできたのに比べると、物語そのものもスピードアップしてきたというか、大きな動きが見え始めたように感じる。残り2作で、どのように決着がつくのかまだわからないが、まだまだもう一山二山ありそうなので、期待して待ちたい。

 また、ストーリーの展開ともう一つ、「歴史」というのもこのシリーズの重要な要素だが、これまではどちらかというと、QEDシリーズなどどこかで目にしてきたものを、改めてなぞっている、という印象があり、物足りない感じがしていたが、今作はそちらの面でも、良い意味で期待を裏切ってくれたというか、自分も作中の人物たちと同じく先入観で見ていたというのを気付かされて、その意味でも、今作は十分に満足の行く出来だったと思う。

2011年4月19日火曜日

灼眼のシャナXXI

灼眼のシャナXXI
高橋弥七郎
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 た-14-27
2010年11月10日 初版発行
ISBN: 978-4-04-870050-4
C0193
305ページ
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 シリーズ第21巻。

 最終決戦編に入ってから、なかなか話が進まず、随分と回り道していた感じがあるが、漸く終わりが見えてきた。ラストでどういう形での決着をつけようとしているのかは、まだわからないが、これまでの様々な伏線も含めて、なんとか次回、22巻にはけりがつきそうで何よりだと思う。あとは、最後きれいに終わることだけ、そこだけきっちり締めて欲しい。

シリンダー世界111

シリンダー世界111
アダム=トロイ・カストロ
小野田和子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫SF SF-カ-6-1 SF-1800
2011年3月10日 印刷
2011年3月15日 発行
ISBN: 978-4-15-011800-6
C0197
591ページ
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Emissaries from the Dead
by Adam-Troy Castro
2008
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 SF世界を舞台としたミステリという感じ。

 フィリップ・K・ディック賞受賞とか、「『リングワールド』以上の特異な世界」といった宣伝(説明)を見ていたために、本作品に対する期待値は非常に高かった。ただ、SFと言えばそれこそ、アシモフや、H・G・ウェルズといった古典位のところで止まっていて、近年の作品はあまり詳しくないためか、それとも、本書に対する期待値が高かったためか、期待はずれ、とは言わないまでも若干の物足りなさを感じてしまった。

 本書の立ち位置としては、やはり、SF的な要素を持ったごく普通の(つまり、あまりエキセントリックではないという意味で普通の)小説だろう。それこそ、ディックのような根本的な所から価値観を揺るがすようなタイプのものではない(個人的には、そういうものを期待していたが)。だから、本書で舞台となっている世界、シリンダー型の宇宙ステーション(映画などでは見栄えは良さそう)や、人口知性集合体であるAIソース(もうほとんど人間と人格的には変わらないので、意外と普通)も、あくまで物語を構成する一つの要素と考えると、割とノーマルな設定だと感じる。また、ミステリ的な面もきちんと解決しているので、読んだ後にどこか釈然としないような感覚は残らず、普通に楽しむことが出来る。

 作者は、SFだけでなく、ホラーやらファンタジーなども書いているようだし、あるいはスパイダーマンなどの作品とも関わっているらしい。そのためか、本書も小説としてよりも、むしろ映像作品となった場合の方が、その舞台、あるいはガジェットの面白さが、よりわかり易くなると思う。

 訳者のあとがきによると、本書はシリーズの第2作に当たるらしい。その第1作である短編があるらしいが、Wikipediaでもそれらしき記述が見当たらないし、AmazonではBook1とか出ていて、それらしきものがヒットしない。本書内では、主人公の過去に触れる記述が少なからずあるので、その辺の話を書いたものだとしたら、ちょっと読んでみたい(この後の話は既に出ている)。

cf. WikipediaのAdam-Troy Castroのページ(英語)
cf. Amazon.comへのリンク

2011年4月15日金曜日

逆算メモ術 結果を出している人の実践テクニック

逆算メモ術 結果を出している人の実践テクニック
マイコミジャーナル編集部 編
毎日コミュニケーションズ
マイコミ新書
2010年10月31日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-8399-3643-3
C0234
231ページ
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 さまざまな分野で活躍する人たちのメモの取り方を、それぞれの目的、場面によって分類し、短くまとめた本。

 元々は、ウェブ上での連載企画だったものを新書の形でまとめたものらしいが、今回初めて目にした。この本では、一つのメモの方法を2、3ページの短さにまとめたものを、メモ1からメモ65まで並べている。そのため、一つ一つが短く、まとまった時間がなくとも、合間合間に少しずつ読み進めることができる点は、非常に読みやすく歓迎される。

 それに対して、この本では11人の人がメモの達人として登場するが、あるテーマ(例えば、仕事の場面におけるメモなど)にでは、同じ人のメモがいくつも続けて出てくる一方、別の人はそのテーマにはほとんど登場しないということもある。もちろん、これは一つ一つを2、3ページの長さにし、人間ではなく、メモという軸で分類した結果であるが、個人的には、もっとその方法をとる「達人」たちに依存した並べ方であって欲しかった。ここで紹介されている方法はどれも、各人が自らの必要に応じて、編み出し、工夫した結果であるのだから、そのありようもまた、その人個人に大きく拠っているはずだ。ならば、細切れにするのではなく、もうすこし、人間の輪郭が見えるようなほうが良い。その上で、別の使い方として、こういうアイディアもある、という紹介の仕方のほうが良かったのでは、と思う。(もしかしたら、ウェブ上ではそのような形式の連載なのかもしれない。だから書籍では、ウェブ上とは違う視点で並べようとしたのかもしれない。確認してないので、わからないが。)

 一つ一つの方法は、すでに実行していたり、あるいは、どこか別の場面で見たことがあったり、特に、新鮮に感じられるものはなかった。そのなかで、一つ興味深かったのは、電話のメモの取り方から、社内外の人間関係の様子を把握していく、というアイディアだ。この視点は自分にはないものだったので、非常に面白く感じた。

 この本で紹介されているメモの方法は、やはり個人が自分の必要に合わせて作り上げていったものばかりだと思うので、それをそのまま流用することが適当とは思わないが、そのエッセンス、発想は別の場面でも十分に機能するものもあると思う。

ブラック・ラグーン2 罪深き魔術師(=ウィザード)の哀歌(=バラード)

ブラック・ラグーン2 罪深き魔術師(=ウィザード)の哀歌(=バラード)
虚淵玄(=うろぶちげん)(ニトロプラス) 著
広江礼威 原作・イラスト
小学館
ガガガ文庫 ガう 1-4
2011年1月23日 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-09-451249-6
C0193
218ページ
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 約2年半ぶりの、ブラック・ラグーンのノベライズ第2弾。

 小説としての質、面白さについては流石の出来だと思う。前作からある程度時間が空いているためか、その間に原作に登場した人物なども色々と出てくるので、その辺りの奥行きというか、幅というのは前作よりも広がっていると思う。

 また、前作のノベライズを読んだ時に、原作に対してある種のリスペクトというか、多少遠慮しているなという感じを持ったが、今作でも、やはり原作への意識というのはあると思う。漫画版の原作と比べると、やや(というか、結構)シリアスさに欠けるというか、見方によってはギャグ的にすら見えてしまう。確かに、どれだけ派手に暴れても結果的に丸く収まるというのは、ある意味での安心感ではあると思うが、この漫画の魅力の一つには、そのシビアさ、容赦のなさもあると思う。その意味で、このノベライズは、娯楽としての面白さとともに、若干の物足りなさも感じられてしまう。