双月城の惨劇
加賀美雅之
光文社
カッパノベルス
2002年4月20日 初版1刷発行
ISBN: 978-4-334-07468-5
C0293
428ページ
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ミステリ好きの作者の手によるクラシックなミステリ。
作者は、カーが好きらしい。それは、探偵役を務める人物の名前にも表れているし、物語の舞台となる時代が1930年頃というのも、ミステリの黄金時代に対する思い入れの一つかもしれない。あるいは、作中に密室講義をしたという「ドクター・フェル」なる人物についての言及があったり、この作品の至る所にちりばめられたこういった装飾は、個人的にはど真ん中ストライクだ。しかし、だからこそその作品に対しての見る目は、他の作品以上に厳しくならざるを得ない。
個人的な評価を下すなら、面白いと思う。ただ、不十分だ。もっともっと面白くなければならないと思うし、また、そうあって欲しい。
執事やメイド、前々問題無し。不気味な伝説の残る城、大いに結構。少し単純でまた、頭の働きの鈍いワトソン役も必須だ。首無し死体に密室状況、素晴らしい。どれもこれも、大好きな要素ばかりだ。だが、しかし、解決部分(もしくは、真相)が良くない。途中の、事件が起きた段階で、色々と不可解な状況はあるが、それでもある程度先の展開が読めてしまう。もちろん、起きた事件すべての真相を完璧にわかったわけではない。しかし、部分部分、事件の要素を細かくしてみていくと、少なくない所でこちらの予想したものとそう違わない展開だった。
たとえば、カーやクイーン、彼らと同時代の作品であるならばこれでいいだろう。ある意味、非常に素直、シンプルであるといえる。しかし、それらの一連の作品を読んでからならば、少なくともそこはクリアしてしかるべきだろう。やや欲張りな注文ではあるが、もう少し、こちらの予想を超える水準のトリック、真相が欲しい。
これは本編の出来とは関係ないが、ノベルス版の最後についている作者インタビュー、これはもう少しまともなものにした方が良い。質問内容が云々というより、本文が2段組みでビッチリ、解説文も(1段組み)ビッチリ、の後にしては、余りに行間が空きすぎだ。特に深い考え無しに余白ページを埋めるためだけものものかもしれないが、やるならきっちりやり、体裁を整えるべきだ。そうでないなら、初めからやらない方が良い。立つ鳥跡を濁さず。
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