ねじまき少女〔下〕
パオロ・バチガルピ
田中一江・金子浩 訳
早川書房
ハヤカワ文庫SF SF-ハ-17-2 SF-1810
2011年5月20日 印刷
2011年5月25日 発行
ISBN: 978-4-15-011810-5
C0197
382ページ
----------
The Windup Girl
by Paolo Bacigalupi
2009
----------
----------
『ねじまき少女』下巻。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、ローカス賞、キャンベル記念賞などいくつものSF関係の賞を幾つも受賞している。
これだけ幾つもの賞を受賞しているとなると、読む前から相当期待値が高くなってしまうが、やはり多くの場合と同じく、プラスには働いていないと思う。結論から言えば、物足りないという印象を受ける。少なくとも、各賞総なめというほどの圧倒的な存在感は感じない(これらのうちの1つ或いは2つ位なら、まあ、わからないでもない)。
今作の魅力は、なによりもこの舞台だろう。時代背景も含めた社会情勢や技術水準、あるいは様々な人間模様などここから色々な物語が派生してくる余地がある。本書は、章ごとに異なる立場の5人の視点から物語をみている。彼らはそれぞれの表の顔を持ちつつ、それとは違った思惑も同時の持っている。そのため、ただでさえ渾沌とした世界がより一層渾沌としている。
今作は、どういう展開に向かって進んでいくのかわからないまま、最後まで突き進んでいくが、実際の事件が起きてからよりも、どちらかというと、背景となる舞台(や登場人物)を知るための章の方が多いように思う。そのため、中盤から終盤にかけての物語が加速して以降、淡白に感じるというか、やや物足りなさを覚えてしまう。
巻末の著作リストのタイトルや訳者によるあとがきを見ると、今作と共通する舞台の作品も書いているようなので、そういう意味では、この1作で完成というよりも、この同じ舞台上で展開するシリーズ作品全体を通じて、ようやく完成といえる作品だと思う。
0 件のコメント:
コメントを投稿