囮物語
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-25
2011年6月28日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283776-7
C0093
283ページ
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新章第4作目。千石撫子編。
千石撫子というキャラクターの性格を考えたら、こういう方向というのは十分にあり得ると思うが、正直最後の方に関しては予想外だった。どういう展開であれ、この巻でキレイに解決すると思っていたので全く想定していなかった。
『猫(黒)』までの第1シーズンがある種のパターンがあったのに対して、『猫(白)』以降の第2シーズンは必ずしも決まった形を取らないので、その分、色々バリエーションがあって前シーズンとはまた違った読み方が出来るのでこれはこれで面白いと思う。また、あとがきでちらっと次の第3シーズンにも触れている所も読む側としては嬉しい。
2011年9月16日金曜日
カンナ 出雲の顕在
カンナ 出雲の顕在
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-35
2011年7月6日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182785-1
C0293
254ページ
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カンナシリーズ第8作目。
いよいよシリーズ終盤になり、クライマックスが近づいてきた感じがする。これまで明かされなかったことが次第に明らかになり、単純に作品としての謎解きにプラスして、シリーズ全体にかかわるより大きな謎も明かされつつ作品としては非常に盛沢山になっている。また、今作は出雲行きに当たっていつもとは違うパーティを組んでいるのも少し新鮮に感じられる。
作品としての出来に文句はないが、裏表紙の内容紹介がちょっと残念な出来になっている。こういうものは見る人の関心を引きつつも、内容のネタバレは避けるのが普通だと思うが、今回は、「残酷な運命」とか「裏切り者」とか正直やりすぎだと思う。
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-35
2011年7月6日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182785-1
C0293
254ページ
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カンナシリーズ第8作目。
いよいよシリーズ終盤になり、クライマックスが近づいてきた感じがする。これまで明かされなかったことが次第に明らかになり、単純に作品としての謎解きにプラスして、シリーズ全体にかかわるより大きな謎も明かされつつ作品としては非常に盛沢山になっている。また、今作は出雲行きに当たっていつもとは違うパーティを組んでいるのも少し新鮮に感じられる。
作品としての出来に文句はないが、裏表紙の内容紹介がちょっと残念な出来になっている。こういうものは見る人の関心を引きつつも、内容のネタバレは避けるのが普通だと思うが、今回は、「残酷な運命」とか「裏切り者」とか正直やりすぎだと思う。
2011年9月12日月曜日
英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う
英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う
ゲイル・キャリガー
川野靖子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫FT FT-キ-3-1 FT-532
2011年4月10日 印刷
2011年4月15日 発行
ISBN: 978-4-15-020532-4
C0197
398ページ
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Soulless
by Gail Carriger
2009
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アレクシア・タラボッティを主人公とするシリーズの第1作。既に日本以外の幾つかの国で翻訳が出ていたり、評判のようだ。なにより、この1作目の邦訳が4月に出版され、2作目が6月に出る辺り、早川書房も熱心にプッシュしているようだ。ただ、その力の入れ具合からするとイマイチである。
舞台は、普通の人間とともに、吸血鬼やら人狼やらが共存する19世紀英国というパラレルワールド。そこで主人公であるアレクシア女史が事件に巻き込まれて、という割とよくある展開で始まる。こういった舞台設定や、登場するキャラクターなど色々と面白いとは思うが、作品としてみた場合、なんとも物足りない印象を受ける。
そう感じるのはストーリーの面似よるものと思う。アレクシア女史をはじめとする物語中の会話は確かに面白いが、そこに対する比重が大きくなっており、ストーリーが動くのが終盤に近くなっている。その点、キャラクター小説としての面白さの一方、この舞台を、あるいは設定を活かした展開を期待して読むとやや期待はずれな感がある。
幸か不幸か、早速続きも邦訳が出ているし、2作目などは、NYタイムズのベストセラーに入ったようなので、どうなっているのか読んでみたい。ついでに、Amazon.comを見ると、どうも本作の漫画版も出るらしい。
ゲイル・キャリガー
川野靖子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫FT FT-キ-3-1 FT-532
2011年4月10日 印刷
2011年4月15日 発行
ISBN: 978-4-15-020532-4
C0197
398ページ
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Soulless
by Gail Carriger
2009
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アレクシア・タラボッティを主人公とするシリーズの第1作。既に日本以外の幾つかの国で翻訳が出ていたり、評判のようだ。なにより、この1作目の邦訳が4月に出版され、2作目が6月に出る辺り、早川書房も熱心にプッシュしているようだ。ただ、その力の入れ具合からするとイマイチである。
舞台は、普通の人間とともに、吸血鬼やら人狼やらが共存する19世紀英国というパラレルワールド。そこで主人公であるアレクシア女史が事件に巻き込まれて、という割とよくある展開で始まる。こういった舞台設定や、登場するキャラクターなど色々と面白いとは思うが、作品としてみた場合、なんとも物足りない印象を受ける。
そう感じるのはストーリーの面似よるものと思う。アレクシア女史をはじめとする物語中の会話は確かに面白いが、そこに対する比重が大きくなっており、ストーリーが動くのが終盤に近くなっている。その点、キャラクター小説としての面白さの一方、この舞台を、あるいは設定を活かした展開を期待して読むとやや期待はずれな感がある。
幸か不幸か、早速続きも邦訳が出ているし、2作目などは、NYタイムズのベストセラーに入ったようなので、どうなっているのか読んでみたい。ついでに、Amazon.comを見ると、どうも本作の漫画版も出るらしい。
2011年9月8日木曜日
グレイテスト・ヒッツ Twelve Deadly Cyns... And Then Some
グレイテスト・ヒッツ Twelve Deadly Cyns... And Then Some
Cyndi Lauper
1994
Epic
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1994年のシンディ・ローパーのベストアルバム。
"Girls Just Wanna Have Fun"のはじけている印象が強いが、こうして改めて聴いてみると、その多様さはすごいと思う。勿論楽曲の幅が大きいのは当然として、どれが半端になっておらず、どれもきっちりやりきっている。彼女の場合は、歌手としてのパフォーマンスが超一流であるにとどまらず、それ以外の普段光の当たらない面、慈善活動などそういった方面でも非常に素晴らしい人だと思う。
余談だが、Lady Gagaも同系統のタイプだと思う。
cf. YouTube
"Girls Just Wanna Have Fun"
"Time After Time"
"She Bop" (Live in Paris, France 1987)
Cyndi Lauper
1994
Epic
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1994年のシンディ・ローパーのベストアルバム。
"Girls Just Wanna Have Fun"のはじけている印象が強いが、こうして改めて聴いてみると、その多様さはすごいと思う。勿論楽曲の幅が大きいのは当然として、どれが半端になっておらず、どれもきっちりやりきっている。彼女の場合は、歌手としてのパフォーマンスが超一流であるにとどまらず、それ以外の普段光の当たらない面、慈善活動などそういった方面でも非常に素晴らしい人だと思う。
余談だが、Lady Gagaも同系統のタイプだと思う。
cf. YouTube
"Girls Just Wanna Have Fun"
"Time After Time"
"She Bop" (Live in Paris, France 1987)
ミスマルカ興国物語IX
ミスマルカ興国物語IX
林トモアキ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-150-28
平成23年7月1日 初版発行
ISBN: 978-4-04-426627-1
C0193
308ページ
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シリーズ9巻。第2部に入っての2作目。
ここからはこれまであまり触れられることのなかった帝国内部を舞台としており、今までとは違った視点から世界を眺めるという点で新鮮な印象を受ける。また、流石に広大な帝国ということで、一癖も二癖もある人物がいたり、陰謀を企てるものがいたりと、この巻のみならず次以降のネタになりそうなこともちらほらと見えて色々楽しみどころはある。期間も含めて、内容的にもバランス的にもベストの1冊かもしれない。
8巻についても感じたことだが、この巻も以前の作風からすると、大分まともになって来ているように思う。というのは、ストーリーが真当なファンタジー小説的だからかもしれない。あるいは、主人公であるマヒロの行動か。第1部では大体決まったパーティで行動している場面が多く、また、主人公自体が王子というポジションのため、周囲のメンバーにサポートされていた。それに対して、第2部では、そういった守られるポジションから離れ、自分からアクションを起こす場面が増えたからかもしれない。
林トモアキ
角川書店
角川スニーカー文庫 S-150-28
平成23年7月1日 初版発行
ISBN: 978-4-04-426627-1
C0193
308ページ
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シリーズ9巻。第2部に入っての2作目。
ここからはこれまであまり触れられることのなかった帝国内部を舞台としており、今までとは違った視点から世界を眺めるという点で新鮮な印象を受ける。また、流石に広大な帝国ということで、一癖も二癖もある人物がいたり、陰謀を企てるものがいたりと、この巻のみならず次以降のネタになりそうなこともちらほらと見えて色々楽しみどころはある。期間も含めて、内容的にもバランス的にもベストの1冊かもしれない。
8巻についても感じたことだが、この巻も以前の作風からすると、大分まともになって来ているように思う。というのは、ストーリーが真当なファンタジー小説的だからかもしれない。あるいは、主人公であるマヒロの行動か。第1部では大体決まったパーティで行動している場面が多く、また、主人公自体が王子というポジションのため、周囲のメンバーにサポートされていた。それに対して、第2部では、そういった守られるポジションから離れ、自分からアクションを起こす場面が増えたからかもしれない。
2011年9月1日木曜日
涼宮ハルヒの驚愕(後) 初回限定版
涼宮ハルヒの驚愕(後) 初回限定版
谷川流
角川書店
角川スニーカー文庫 S-168-10
平成23年5月25日 初版発行
C0193
286ページ
----------
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『驚愕』初回限定版の(後)巻。約4年ぶり。
前作『分裂』の続編というか、解決編。前作が宙ぶらりんとした状態で放置されたままだったので、内容がどうこうより、もう半ばあきらめていた続編が出たということだけで十分と思ってしまう。(その点、ハンターXハンターと似ているかもしれない)。
『分裂』を改めて読み返すということもなく、今作を読み始めたので、正直しばらくはなんだかわからないまま読んでいたが、良くも悪くもこんなものかな、と。(こちらが内容をうろ覚えな点を除けば)特に文章が上手くなっているとか、下手になっているということもなく、ブランクを感じさせない風だったと思う。
となると、なぜ4年もの間書けなかったのかが謎だ。作品が一区切りついた状態ならまだしも、『分裂』の時点で、「分裂」というある意味、一番肝心なアイディアは提示されているのに、そこから先が続かないと言うのがわからない。この作品に限る話ではないが、1話が上下巻等に別れる場合には、続けて刊行するとか(少なくともその目処が立ってからにするとか)してもらいたい。この辺りは作家個人もそうだが、それ以上に出版社の責任だと思う。とはいえ、ひとまずは一安心。次はまた4年後などということのないよう願いたい。
谷川流
角川書店
角川スニーカー文庫 S-168-10
平成23年5月25日 初版発行
C0193
286ページ
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『驚愕』初回限定版の(後)巻。約4年ぶり。
前作『分裂』の続編というか、解決編。前作が宙ぶらりんとした状態で放置されたままだったので、内容がどうこうより、もう半ばあきらめていた続編が出たということだけで十分と思ってしまう。(その点、ハンターXハンターと似ているかもしれない)。
『分裂』を改めて読み返すということもなく、今作を読み始めたので、正直しばらくはなんだかわからないまま読んでいたが、良くも悪くもこんなものかな、と。(こちらが内容をうろ覚えな点を除けば)特に文章が上手くなっているとか、下手になっているということもなく、ブランクを感じさせない風だったと思う。
となると、なぜ4年もの間書けなかったのかが謎だ。作品が一区切りついた状態ならまだしも、『分裂』の時点で、「分裂」というある意味、一番肝心なアイディアは提示されているのに、そこから先が続かないと言うのがわからない。この作品に限る話ではないが、1話が上下巻等に別れる場合には、続けて刊行するとか(少なくともその目処が立ってからにするとか)してもらいたい。この辺りは作家個人もそうだが、それ以上に出版社の責任だと思う。とはいえ、ひとまずは一安心。次はまた4年後などということのないよう願いたい。
涼宮ハルヒの驚愕(前) 初回限定版
涼宮ハルヒの驚愕(前) 初回限定版
谷川流
角川書店
角川スニーカー文庫 S-168-10
平成23年5月25日 初版発行
C0193
296ページ
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『驚愕』初回限定版の(前)巻。尚、初回限定版は『驚愕』前後巻+小冊子。
谷川流
角川書店
角川スニーカー文庫 S-168-10
平成23年5月25日 初版発行
C0193
296ページ
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『驚愕』初回限定版の(前)巻。尚、初回限定版は『驚愕』前後巻+小冊子。
LIMIT(リミット) 4
LIMIT(リミット) 4
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-11 NV-1223
2010年7月20日 印刷
2010年7月25日 発行
ISBN: 978-4-15-041223-4
C0197
591ページ
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LIMIT
by Frank Schätzing
2009
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シリーズ第4作目にして完結巻。
3作目マでの流れを受けてあとは、ひたすらラストを目指して突っ走っていくのみ。ただし、最後まで気が抜けない。アメリカ映画とかのように、シンプルであれば適当に予想も出来るが、主要な人物も結構簡単に殺してしまう所があるので、最終的にどう決着を付けるのかなかなか予想出来ない点、ある意味とてもサスペンス的かもしれない。
読み終えての個人的な感想としては、以前の『深海のYrr』よりも上手くなったように思う。あのときは、何というかかなり乱暴な終わらせ方をしているようにも見えたが、今作では、大分抑えも効いていて、ハッピーエンドといっても差し支えない、ある意味非常におとなしい決着の付け方をしているように見える。
全体としては、ラストも含めきれいにまとまったと思うが、やはり長い。まるきり無駄な描写が多いというわけではないが、さすがに1冊当り500ページ超で4冊というのは結構疲れるので、もう少しコンパクトになってくれると嬉しい。
フランク・シェッツィング
北川和代 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-シ-25-11 NV-1223
2010年7月20日 印刷
2010年7月25日 発行
ISBN: 978-4-15-041223-4
C0197
591ページ
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LIMIT
by Frank Schätzing
2009
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シリーズ第4作目にして完結巻。
3作目マでの流れを受けてあとは、ひたすらラストを目指して突っ走っていくのみ。ただし、最後まで気が抜けない。アメリカ映画とかのように、シンプルであれば適当に予想も出来るが、主要な人物も結構簡単に殺してしまう所があるので、最終的にどう決着を付けるのかなかなか予想出来ない点、ある意味とてもサスペンス的かもしれない。
読み終えての個人的な感想としては、以前の『深海のYrr』よりも上手くなったように思う。あのときは、何というかかなり乱暴な終わらせ方をしているようにも見えたが、今作では、大分抑えも効いていて、ハッピーエンドといっても差し支えない、ある意味非常におとなしい決着の付け方をしているように見える。
全体としては、ラストも含めきれいにまとまったと思うが、やはり長い。まるきり無駄な描写が多いというわけではないが、さすがに1冊当り500ページ超で4冊というのは結構疲れるので、もう少しコンパクトになってくれると嬉しい。
サトリ〔下〕
サトリ〔下〕
ドン・ウィンズロウ
黒原敏行 訳
原案/トレヴェニアン『シブミ』
早川書房
2011年3月20日 初版印刷
2011年3月25日 初版発行
ISBN: 978-4-15-209209-0
C0097
319ページ
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Satori
by Don Winslow
2011
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ドン・ウィンズロウ作『サトリ』の下巻。トレヴェニアンの『シブミ』の空白を埋める作品にして続編。
トレヴェニアンの『シブミ』という、1979年出版にしてもはや既に「古典」といって差し支えないような存在となった作品の前日譚にして続編となる作品。作者が亡くなった場合など、別の作家がシリーズを続けるのは、007シリーズのイアン・フレミング→ジョン・ガードナー→レイモンド・ベンソンの例を初めとして、そう珍しいものでもないと思うが、そもそもシリーズでもなく、まして約30年も前の作品の続編というのは、そうないのではないかと思う。その意味では、そもそもこの企画を思いついた編集者、また、それを実行出来る人間の所に話を持っていったというのが、何よりファインプレーだったと思う。
トレヴェニアンの『シブミ』においては、主人公ニコライ・ヘルの少年時代と暗殺者を引退した後の時代を描写しているのに対し、この『サトリ』では、暗殺者としての最初の事件が描かれている。ある意味、静と動というかたちで対称的になっている点が面白い。また、今作の作者であるドン・ウィンズロウがトレヴェニアンの作品を本当にリスペクトしているということを伺わせる描写が、そこかしこに見られるのも嬉しい。シャーロック・ホームズのパロディ物などでも出来の良い作品には、思わずニヤリとさせられるような描写があるが、今作でも同様だ。
更に嬉しいのは、ドン・ウィンズロウ本人はこのニコライ・ヘルのシリーズを書くことをかなり乗り気らしい。勿論、現時点で更なる続編の情報は全くないが、そう遠くない将来、あるいは第3作があるかもしれない。
ドン・ウィンズロウ
黒原敏行 訳
原案/トレヴェニアン『シブミ』
早川書房
2011年3月20日 初版印刷
2011年3月25日 初版発行
ISBN: 978-4-15-209209-0
C0097
319ページ
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Satori
by Don Winslow
2011
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ドン・ウィンズロウ作『サトリ』の下巻。トレヴェニアンの『シブミ』の空白を埋める作品にして続編。
トレヴェニアンの『シブミ』という、1979年出版にしてもはや既に「古典」といって差し支えないような存在となった作品の前日譚にして続編となる作品。作者が亡くなった場合など、別の作家がシリーズを続けるのは、007シリーズのイアン・フレミング→ジョン・ガードナー→レイモンド・ベンソンの例を初めとして、そう珍しいものでもないと思うが、そもそもシリーズでもなく、まして約30年も前の作品の続編というのは、そうないのではないかと思う。その意味では、そもそもこの企画を思いついた編集者、また、それを実行出来る人間の所に話を持っていったというのが、何よりファインプレーだったと思う。
トレヴェニアンの『シブミ』においては、主人公ニコライ・ヘルの少年時代と暗殺者を引退した後の時代を描写しているのに対し、この『サトリ』では、暗殺者としての最初の事件が描かれている。ある意味、静と動というかたちで対称的になっている点が面白い。また、今作の作者であるドン・ウィンズロウがトレヴェニアンの作品を本当にリスペクトしているということを伺わせる描写が、そこかしこに見られるのも嬉しい。シャーロック・ホームズのパロディ物などでも出来の良い作品には、思わずニヤリとさせられるような描写があるが、今作でも同様だ。
更に嬉しいのは、ドン・ウィンズロウ本人はこのニコライ・ヘルのシリーズを書くことをかなり乗り気らしい。勿論、現時点で更なる続編の情報は全くないが、そう遠くない将来、あるいは第3作があるかもしれない。
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