2012年8月29日水曜日

アイ・コレクター

アイ・コレクター
セバスチャン・フィツェック
小津薫 訳
早川書房
ハヤカワミステリ 1858
2012年4月
ISBN: 978-4-15-001858-0
C0297
410ページ
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Der Augensammler
by Sebastian Fitzek
2010
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 結構面白い。適度にドロッとして重厚な作り、あるいは作品の見せ方、アイディア等面白いと思う。そういった作品本体の面白さについては文句はないが、その周辺部分については、もう少しきちんとした方が良いと感じた。

 たとえば「アイ・コレクター」というタイトルにしても、確かに原題の通りと言えばそうだし、また、広義ではそうなのだろうが、このタイトルを見せられると、もっと直接的なコレクターを想定してしまう。また、章番号、ページ番号の振り方についてもそうで、逆からどんどん数字が小さくなるように振るのは良いが、読むのは通常通りで良い、ということを言ってくれないと、巻末から読み出すなんて事にもなりかねない。この辺りのケア、もうちょっと丁寧だと良かったと思う。

ヘヴィーオブジェクト

ヘヴィーオブジェクト
鎌池和馬
アスキー・メディアワークス
電撃文庫 か-12-21
2009年10月
ISBN: 978-4-04-868069-1
C0193
377ページ
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 シリーズ1作目。

 1巻全体を通してでも良いが、章ごとに一区切りついているので、ちょっとずつでも読み進められるので読みやすい。また、見ようによってはシリアスな内容のはずなのに、結構軽く扱っていて、その点もテンポよく読んでいける要因になっていると思う。いかにもライトノベルらしいライトノベルとなっている。「禁書」シリーズとも相通じるところもあり、クオリティ面でも信頼できる。良作。

無貌伝 〜綺譚会の惨劇〜

無貌伝 〜綺譚会の惨劇〜
望月守宮
講談社
講談社ノベルス モI-04
2011年8月
ISBN: 978-4-06-182795-0
C0293
378ページ
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 シリーズ4作目。連作短編集。

 3作目の『無貌伝 〜人形姫の産声〜』は物語全体としては意味がある一方で、やや物足りなさの残る出来だった。今作も短編集ということで、スタートはイマイチ期待が低いまま読み始めたが、予想外に出来が良かった。一つ一つの短編が、このシリーズらしい作品であると同時に、最後に全部をつなげてみると、また、違った意味合いが見えてくる。あるいはシリーズのベストと言えるかもしれない出来だと思う。この水準を見せられると、次巻が楽しみになる。

2012年8月28日火曜日

特捜部Q ーキジ殺しー

特捜部Q ーキジ殺しー
ユッシ・エーズラ・オールスン
吉田薫・福原美穂子 訳
早川書房
ハヤカワミステリ 1853
2011年10月
ISBN: 978-4-15-001853-5
C0297
492ページ
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Fasandræberne
by Jussi Adler-Olsen
2008
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 特捜部Qシリーズ第2作目。

 前作に引き続き、こちらも非常にスケールの大きな事件を扱っている。しかしながら、前作のインパクトの強さと比べると、こちらが割と普通に見えてしまう。こちらはこちらで、相当に大きな事件であることは間違いないが、やはりどうしても見劣りしてしまう。1作目の出来が良すぎた故の悩みといったところだろう。

特捜部Q ー檻の中の女ー

特捜部Q ー檻の中の女ー
ユッシ・エーズラ・オールスン
吉田奈保子 訳
早川書房
ハヤカワミステリ 1848
2011年6月
ISBN: 978-4-15-001848-1
C0297
461ページ
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Kvinden I Buret
by Jussi Adler-Olsen
2008
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 特捜部Qシリーズ第1作。

 面白い。扱っている内容は非常に重く、決して気楽に読む、というようなものではないが、この重量感は非常に面白い。最近は、スティーグ・ラーソンのミレニアム三部作なども含め、北欧系のミステリが盛んに翻訳されているが、この作品、あるいは作家はその中でも特別になるかもしれない。人物の造形などよりもはるかに、事件そのものの特異性が際立っている。スケールのこれだけ大きな事件を扱いながら、それをきちんと着地させる辺りも含めて、とても楽しみな作家だと思う。

  さすがに、デンマーク語で読むことはできないが、これだけ北欧系のミステリが充実してくるようだと、本当に何か言葉を勉強してみたくなる。なお、英語版は英国と米国でタイトルが違うようだ。今に始まった話ではないが、いい加減紛らわしいので統一してもらいたい。

悲鳴伝

悲鳴伝
西尾維新
講談社
講談社ノベルス 二J-29
2012年4月
ISBN: 978-4-06-182829-2
C0293
517ページ
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 歪。いびつ。

 大なり小なり西尾維新の作品はどれについても言えることだが、いびつだ。特にこの小説は徹頭徹尾、最初から最後までいびつだ。『少女不十分』よりも更にいびつ。『少女ー』が歪ながらも、救いがあるのに対し、『悲鳴伝』にはない。好き嫌いが分かれる。

これは単に小説が下手だとか、編集部が悪いとか言う次元ではなく、きっとわかっていてやっているのだろう。そうすることの意義、あるいは意味がどこにあると考えているのかは知らないが、かなり実験的な作品だと思う。

 こういう尖ったというか、先鋭的なというか、いびつな作品というのは、著名な人ではなく、むしろろくに売れていないような作家がやるような気もする。あえて、それをしているのなら、それはそれで立派と言えるかもしれないが、それならばそうと分かるようにしておくのが親切だろう(編集部としての、あるいは出版社としての)。少なくとも、この作品が一般的な意味において、大衆の支持を受けるとは思えないし(、当然そんなことは予想できるだろうし)。ならば、あえてそれでも読もうとする物好きのみにターゲットを絞る位のことはして欲しい(ここは作家ではなく、出版社の仕事。こういう作品を書いている時点で、西尾維新はそれくらいのことしてる)。

横溝正史自薦集 3 八つ墓村

横溝正史自選集 3 八つ墓村
横溝正史
出版芸術社
横溝正史自選集 3
平成19年3月
ISBN: 978-4-88293-316-8
C0093
382ページ
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 言わずと知れた『八つ墓村』。

 以前に『悪魔の手毬唄』を読んで非常に面白かったので、他の横溝作品も試してみようと言うことで手を出してみた。年代的なものも考えて割り引かないといけないのだろうし、好みの問題もあるだろうが、イマイチ物足りないと感じた。

 1950年頃に連載されていた作品のようなので、おそらく、異人殺しの伝説をモチーフにした作品としてはかなり古い部類に入るのではないかと思う。ただ、登場人物の行動が、あまりに短絡的だったり、また、推理小説的な謎解きの要素が少なかったり、ミステリとして見ると、ちょっと残念という気がする。ただこの辺りの作品になると、そういった点よりもむしろ、作品それ自体がある種記念碑的な意味を持っている面もあるので、なかなか難しい。

2012年8月11日土曜日

運命のボタン

運命のボタン
リチャード・マシスン
尾ノ上浩司編/伊藤典夫・尾ノ上浩司訳
早川書房
ハヤカワ文庫 NV-マ-6-6 NV-1213
2010年3月
ISBN: 978-4-15-041213-5
C0193
458ページ
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The Box: Button, Button and Other Storis
by Richard Matheson
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 短篇集。

 リチャード・マシスンの本は初めてだったので、どんな作風なのかわからずに読み始めたが、非常に面白かった。時に残酷で、時に温かく、解決されないまま放り出されるというのも短篇小説ならではの良さだと思う。また、作品、作家についての事前の情報がほとんどなかったことも良かった。展開が予測出来ない方が楽しめて良い。

 また、巻末の解説に各短篇の解説があるが、それを見ると映画化されている作品が結構多かった。「運命のボタン」、「四角い墓場(『リアル・スティール』の原作)」など割と最近のもあった(どちらも見ていないが)。

全13編。「魔女戦線」が印象的だった。なんというか、今の日本に近い感覚な気がした。「運命のボタン」とかはディックに近いテイストだと思う。

運命のボタン Button, Button 伊藤典夫訳
針 Needle in the Heart 尾ノ上浩司訳
魔女戦線 Witch War 尾ノ上浩司訳
わらが匂う Wet Straw 尾ノ上浩司訳
チャンネル・ゼロ Through Channels 尾ノ上浩司訳
戸口に立つ少女 Little Girl Knocking on My Door 尾ノ上浩司訳
ショック・ウェーヴ Shock Wave 尾ノ上浩司訳
帰還 Return 尾ノ上浩司訳
死の部屋のなかで Dying Room Only 尾ノ上浩司訳
小犬 The Puppy 尾ノ上浩司訳
四角い墓場 Steel 尾ノ上浩司訳
声なき叫び Mute 尾ノ上浩司訳 
二万フィートの悪夢 Nightmare at 20000 Feet 尾ノ上浩司訳

トータル・リコール ーディック短篇傑作選

トータル・リコール ーディック短篇傑作選
フィリップ・K・ディック
大森望編
早川書房
ハヤカワ文庫SF SF-テ-1-21 SF-1863
2012年7月
ISBN: 978-4-15-010863-1
C0197
447ページ
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We Can Remember It for You Wholesale and Other Stories
by Philip K. Dick
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 フィリップ・K・ディックの短篇集。

 ディックの短篇集はこれまで何冊も出されているので、当然だぶりもある。そもそも「トータル・リコール」自体が以前は『マイノリティ・リポート』に収録されていたし(確か「追憶売ります」のタイトルだったと思う)、「マイノリティ・リポート」そのものがこの短篇集にも入っている。ただ、既出の作品ばかりではなく、初訳とか、書籍初収録の作品もいくつかある。

 どの作品もディックらしい皮肉の効いた作品ばかりだが、ラストの鮮やかさという点では、「トータル・リコール」は流石に上手いと思う。ディックの作品は多く映像化されているが、やはりこの原作の鮮やかさは一度味わっておくのが良いと思う。個人的には、「世界をわが手に」や「吊されたよそ者」などの静かな怖さというものが印象深い。

全10編。巻末に各短篇についての解説があるのも嬉しい。

トータル・リコール We Can Remember It for You Wholesale 深町眞理子訳
出口はどこかへの入り口 The Exit Door Leads In 浅倉久志訳
地球防衛軍 The Defenders 浅倉久志訳
訪問者 Planet for Transients 浅倉久志訳
世界をわが手に The Trouble with Bubbles 大森望訳
ミスター・スペースシップ Mr. Spaceship 大森望訳
非O Null-O 大森望訳
フード・メーカー The Hood Maker 大森望訳
吊されたよそ者 The Hanging Stranger 大森望訳
マイノリティ・リポート The Minority Report 浅倉久志訳

立花美樹の反逆 THANATOS

立花美樹の反逆 THANATOS
汀こるもの
講談社
講談社ノベルス ミI-09
2012年4月4日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182817-9
C0293
246ページ
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 THANATOSシリーズ7作目。

 この何作かは新しいキャラが出てきたり(そして、即退場したり)、あるいは回想シーンみたいなものだったり、どういう方向に進むのかイマイチはっきりしない感じがあった。その意味では、今作もこれまで通り、熱帯魚とか巨大水槽とか、ついでに殺人が起きたり、そこは変わらない。ただ、次巻以降もしかしたら、シリーズ全体のストーリーの進展があるかもしれない要素が出てきたことが、ちょっとだけ期待出来る。

カタコンベの復讐者

カタコンベの復讐者
P・J・ランベール
野口雄司 訳
早川書房
ハヤカワミステリ 1821
2009年2月
ISBN: 978-4-15-001821-4
C0297
254ページ
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Le Vengeur des Catacombes
by P. J. Lambert
2007
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 パリ警視庁賞受賞のフランスミステリ。

 フランスミステリというとあまりピンと来ないので、それほど期待していなかったが、読んでみると結構面白かった。なんというか、あまりフランス臭さのようなものはなく、普通に読んでいける。その点は、あるいは物足りなく感じるかもしれない。また、折角カタコンベという特殊な状況を使っているのだから、そこをもっと利用しても良いかもしれない。

2012年8月10日金曜日

アンドロメダ病原体〔新装版〕

アンドロメダ病原体〔新装版〕
マイケル・クライトン
浅倉久志 訳
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-ク-10-30 NB-1254
2012年4月
ISBN: 978-4-15-041254-8
C0197
461ページ
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The Andromeda Strain
by Michael Crichton
1969
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 アンドロメダ病原体の新装版。あくまで新装なので、訳は旧版と同じく浅倉久志訳。

 この作品は今読んでも非常に新しい。扱っているテーマ、あるいは作品の構造とも古さを感じさせない。事件が発生してからラストの解決に向かって進んでいくまで、余計な要素がなく、淡々と進んでいく。物語の構造もこれ以上ないくらいシンプルで、けれども骨格がしっかりしているので、面白い。これはSFでは必読の本だろう。

スタンディング・オベイション

スタンディング・オベイション
チャゲ&飛鳥
1985
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 初期のベストアルバム。

 「ひとり咲き」や「万里の河」などの代表曲は後のベストアルバムでも聞くことが出来るが、このアルバムの目玉は何といっても「ボヘミアン」だ。葛城ユキのバージョンもいいが、チャゲ&飛鳥のバージョンも良い。

「ボヘミアン」 by チャゲ&飛鳥

2012年8月6日月曜日

ハッピーカムカム

ハッピーカムカム
Jitterin' Jinn
1991
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 初期のベストアルバム。改めて聴いてみると名曲が多いのにびっくり。加えてMusic Videoのセンスもすごい(特に「にちようび」とか)。

「プレゼント」


「にちようび」


「夏祭り」

Tentastic!

Tentastic!
Jitterlin' Jinn
1999
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 偶然YouTubeで「月夜の散歩道」を見つけたので。改めてすごいセンスだと思う。名曲。

「月夜の散歩道」 by Jitterin' Jinn

猫除け 古道具屋皆塵堂

猫除け 古道具屋皆塵堂
輪渡颯介
講談社
2012年4月
ISBN: 978-4-06-217578-4
C0093
250ページ
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 古道具屋皆塵堂シリーズの2冊目。

 1作目の時は、「浪人左門」シリーズとの差別化がイマイチで、何のために別シリーズなのか判然としない点が不満だったが、2作目となり、こちらが慣れたためか、この展開も十分楽しめるようになってきた。妖怪、怪談といったものを扱いながらも、全体がジメジメせずにあっさりしていて、楽しめる点が良い。

ノエビアCMヒッツ!コスメティック ルネッサンス

ノエビアCMヒッツ!コスメティック ルネッサンス
2003
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 CM曲集。全部カバー曲。色々あるが聞きたかったのは、世良公則による「別れの朝」と鈴木トオルの「スローモーション」。流石というべきか、やはり良い。他では、坂本冬美の「銃爪」も面白い。他にもまだ、CD化されていない音源があるようなので、そちらも聞いてみたい。


「別れの朝」 by 世良公則


「スローモーション」 by 鈴木トオル


「銃爪」 by 坂本冬美