2013年1月13日日曜日

それをお金で買いますか 市場主義の限界

それをお金で買いますか 市場主義の限界
マイケル・サンデル
早川書房
早川書房 113537
2012年5月 初版
2012年5月 3版
ISBN: 978-4-15-209284-7
C0010
329ページ
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What Money Can't Buy
by Michael J. Sandel
2012
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 人気のマイケル・サンデル本。早川書房から出ているものとしては、DVDブックなどを除けば、3作目にあたる。サンデル本を読むのは、1作目の『これからの「正義」の話をしようーいまを生き延びるための哲学』以来になる。

 2作目()は読んでないので分からないが、1作目と今回との違いとしては、まず、扱うトピックを経済に関するものという風に限定していること、また、学生がそれぞれの意見を言い合い議論をするのではなく、サンデル自身が反対意見などにも言及しつつ、基本的に一人で語る形で進んでいくことだろう。

 いくつか気になった点として、まず、議論がすっきりしないと感じた。一応、それぞれのトピックについての反対意見など紹介しているが、あくまで結論がある上でのものに見えてしまい、恣意的に感じる。本文中でも触れられているベッカー教授とポズナー判事のように違うバックグラウンドをもつもの同士の議論と比べると、予定調和に見える。また、良い悪い、あるいは正しい、間違っている、の基準点が不明確だと言うこと。何らかの公理から論理的に導きだされて結論ではなく、感覚的に、これは正しいでしょう、あるいは正しくないでしょう、というやり方をしているので、これも結論が恣意的に見える原因だと思う。

 また、これは翻訳というか、タイトルの問題だと思うが、「市場主義の限界」というのはミスリーディングな気がする。「市場主義の限界」という言い方をすると、「市場」は完全に機能しているが、それでも尚、問題点があると行った印象を受けるが、この本で挙げられている事例の多くは、むしろ、市場の不完全さ故に生じているものが多いように見える。であるならば、むしろ市場を整備し、整えることで解決出来る気がする。

 個人的に面白いと感じたのは、各人がとった行動が、その後の行動パターンにも影響を与えるという考え方には興味を持った。通常、経済学だと個人の選好は与えられたものとして考えられるが、それが変わっていくというのは分析対象として面白いと思う。

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