2013年4月30日火曜日

贋作と共に去りぬ

贋作と共に去りぬ
ヘイリー・リンド
岩田佳代子 訳
東京創元社
創元推理文庫 M-リ-6-1 181-04
2011年8月 初版
ISBN: 978-4-488-18104-8
C0197
473ページ
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Feint of Art
by Hailey Lind
2006
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 画家兼疑似塗装師(フォーフィニッシャー)アニー・キンケイドを主人公とするシリーズ第1作目。An Art Lover's Mysteryシリーズ。

 美術関係を題材にしたミステリ、当然贋作が絡んでくる作品というのは、少なからずあり、その点特に目新しさは感じない。主人公の職業が疑似塗装師(フォーフィニッシャー)という点が初めて見る部分で、日本ではあまり耳にするものではないので、その仕事内容などは興味深く感じる。

 一方、ミステリ作品としてみた場合、なんというか、「疲れる」作品だと思う。主人公の視点で話が進み、いろいろな立場の人間が取っ替え引っ替え出てくる。また、それらを主人公が誤解していたり、という風に全体的にがちゃがちゃしているというか、散らかっている感じがするため、会話など面白い部分もあるが、なんだか分からない内に話が進んでいるような印象を受ける。

 シリーズ1作目ということで、次作以降どうなっているか分からないが、本作についていうなら、もう少しメリハリが欲しい。また、有名な映画のタイトルをもじったタイトルも正直微妙な気がする。なお、アマゾンの原書(キンドル版)のページは著者名がJuliet Blackwell名義になっている。一応Hailey Lindでも出てくるが、混乱を招くものだと思う。

宇宙海兵隊ギガース6

宇宙海兵隊ギガース6
今野敏
講談社
講談社ノベルス コC-26
2012年11月 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182850-6
C0293
242ページ
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 シリーズ完結巻。

 前作5巻から約4年半、第1巻から10年あまり。ずいぶんと時間がかかったなという印象。このシリーズは、ガンダムはじめとするスペースもの、あるいは宇宙に限定しなくともミリタリーものとはだいぶ趣を事にしている。その意味では、こういった形の静かな幕切れになるであろうことは十分に予測できたし、個人的にもこの雰囲気は割と好きな部類に入る。ただ、著者も少しコメントしていたが、それでもなお、この内容であればもっと早く出ても良かったと思う。そういえば、映像化の話とかはあるのだろうか。センスのある人が作るなら、このシリーズは素材としてはなかなか良いものだと思う。

悲痛伝

悲痛伝
西尾維新
講談社
講談社ノベルス ニJ-30
2013年2月 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182855-1
C0293
524ページ
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 『悲鳴伝』に続く「伝説」シリーズ第2作目。

 前作『悲鳴伝』が歪で、グロテスクという印象が強かったのに比し、今作は随分とまともになったように思う。そうはいっても、もちろん、全然普通ではないのだが、前作での気持ちの悪さというものは、こちらにある程度耐性が出来たためか、大分減少したのではないかと思う。

 シリーズ作ということで、必要以上の前置きとか、導入部とかはなく、すぐ本編に入るのだが、主人公の、あっちへ行ったり、こっちへ来たりという思考なり行動なりをついていくので、相当に冗長になっている。この作品の、ある意味でが作風であり、読みどころではあると思うが、一方で500ページ超を読んでも、事件が解決せず、おそらくは後編に続く、という分量はかなりヘビーで、読む人を選ぶと思う。

 また、独特な名前の登場人物の多い西尾維新の作品だが、一度ふりがなを見たくらいではなかなか読めない名前もあるので、出来れば登場人物表などを付けて欲しい。正直、本文中の初登場の箇所を探すのは大変だし、かといって読めないまま素通りというのも気持ちが悪い。ぜひ改善を求める。

2013年4月24日水曜日

100年後の日本人に残したい… 究極のグループ・サウンズ

100年後の日本人に残したい… 究極のグループ・サウンズ
テイチクエンタテインメント
2012
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 GSのコンピレーションアルバム。

 色々なグループのヒット曲をCD2枚組で全50曲。ブルーコメッツやタイガースなどの定番からカーナビーツが日本語歌詞で歌う「オブラディ・オブラダ」などやや珍しいものまで。ただ、全体的な印象としてはやや物足りない。同様のコンセプトのコンピレーションアルバムはこれまでにも数多く出ていることを考えると、「100年後の日本人に残したい」とか「究極の」とかいう形容詞を使うなら、相当がんばらないと行けないと思う。その点、曲の選択も割とオーソドックスだし、また、歌詞カードだけで楽曲やグループの解説などもない。音源自体は他でも聞けるのだから、それ以外の付加価値の部分を充実させて欲しかった。

cf. 「雨のバラード」by ザ・スウィング・ウエスト


cf. 「キサナドゥーの伝説」 by ザ・ジャガーズ


cf. 「オブラディ・オブラダ」 by ザ・カーナビーツ

セーラー服と黙示録

セーラー服と黙示録
古野まほろ
角川書店
2012年12月 初版発行
ISBN: 978-4-04-110341-8
C0093
314ページ
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 「天帝」シリーズと比べると、だいぶ穏やかというか、(今のところ)あまりドロドロした部分は見せずに抑えめだ、という印象を受ける。とりあえずはまだシリーズというわけではないようだが、「天帝」シリーズと同様の世界観というか、同じ世界の別の場面ということを考えると、遠からずシリーズ化されるかもしれない。

 「天帝」など古野まほろのもっと強烈なものを好きな人間からすると、やや物足りない気もするし、反対に、初心者向けとしてはやや特殊なタイプの作家だとも思うし、そういう意味では、中途半端な気もしないでも無い。この辺りは、編集が上手に方向性を示すべきだとも思うが、どうなのだろう。そういうプロデュース能力は何事においても重要だと思う。

2013年4月23日火曜日

モバイルLANケーブル ブルー 1.5m

モバイルLANケーブル ブルー 1.5m
ELECOM
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 こちらもLANアダプタと同じく、出張の時など限られた場面での使用のために購入。

 普段使いではなく、出張で持ち運ぶということを考え、使用してない時のコンパクトさを一つの基準として選択。商品ページの写真から、真ん中の、ELECOMのロゴが入っている銀色の部分を押すと、一気にコードが巻き取れるようになっていると、想像して購入してみたが、いざ使ってみると全然そうなっていない。むしろ普通にコードを束ねているだけ、という作りで、コードを両側から引っ張らないと中でぐちゃぐちゃになるという仕様。値段を考えれば、特に問題というわけではないが、使う時には若干の注意が必要。

10/100M USB2.0用 LANアダプタ

10/100M USB2.0用 LANアダプタ
BUFFALO
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 MacBook Air (OS X Lion)で使用。

 基本的に普段は無線LANで接続しているが、出張の時などは無線での接続が出来なかったり、手続きが面倒だったりするので、そういう時に使っている。Macで使用しても、特別なアプリをインストールしないと使えないとかはなく、すぐに使えたので満足。いつも使うというわけではないけれど、一つくらい持っていると便利だと思う。

PSP用液晶保護プロテクトフィルム(防指紋仕様)

PSP用液晶保護プロテクトフィルム(防指紋仕様)
アイレックス
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 PSP-3000用に購入。DS等とは異なり、画面にタッチするゲームはないが、やはり傷がつくのは嫌なので購入。いくつかの商品を見比べてみるが、どこもまあ大体、上手く貼れたというコメントと、貼れなかったというコメント両方がありあまり参考にならず。この製品についても同様で、そこはまあ、値段などを参考に購入。
 実際やってみると、やはり貼り方の説明がイマイチわかりづらかったり、フィルムのどちらが表か裏かなど、全体的にあまり親切な設計ではないと感じたが、DS等での経験もあり、特に問題もなく終了。成功した。この種の商品を使うたびに思うことだが、わざわざ自分でやらなくても、商品の出荷段階でフィルムを貼る所までやっていてくれれば良いのにと思う。

ハードポーチ ポータブル3

ハードポーチ ポータブル3
ホリ
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 PSP-3000用にケースを購入。とりあえずは本体を入れておければ、という程度のつもりだったので他との値段などもみてこれを選択。UMDカード2枚と、メモリースティックDUO3枚を入れるスペースもある。UMDについては、サイズも大きく、別に持つのは少々不便なので、ケースに入れられるのはありがたい。一方の、メモリースティックは、一応固定するようには出来ているが、カードを直に入れるのは、ホコリなど若干の抵抗を感じる。

細かい点を言えばキリがないが、全体的には、値段以上の商品だと思う。

2013年4月14日日曜日

トッカン VS勤労商工会

トッカン VS勤労商工会
高殿円
早川書房
早川書房 114548
2011年5月
ISBN: 978-4-15-209213-7
C0093
367ページ
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 シリーズ2作目。

 今回の敵は勤労商工会&弁護士ということで、1作目と合わせて、この辺りまでがドラマになっている模様。一言でいうなら、非常にリアル。もちろん、部分部分脚色され、誇張されているのだろうが、一つ一つの要素は現実に存在するものばかりで、とてもリアルに感じられる。

 自分が正義だと思っている(あるいはそうであるかのように振舞う)弁護士や、前回のことは考えずに、自らの権利ばかりを求める団体などなど、これらは現実に存在し、かつ、それがプラスに機能することもあれば少なからずマイナスもまき散らしている。また、ドラマの方では、なんだかんだといって救われる、という形を取っていたようだが、小説では、時に残酷である点も、ある意味で作品をリアルにしている要素かもしれない。

トッカン ー特別国税徴収官ー

トッカン ー特別国税徴収官ー
高殿円
早川書房
ハヤカワ文庫JA JA-タ-11-1 JA-1068
2012年5月 発行
2012年6月 三刷
ISBN: 978-4-15-031068-4
C0193
435ページ
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 シリーズ1作目。

 ドラマかもされたシリーズの第1作目。読んだタイミングとしては、ドラマ化されるちょっと前、文庫化された直後くらい。国税庁、あるいは税務署の区別や仕事の内容などほとんど知らなかったので、イマイチ手を出しづらい所もあったが、作者が『銃姫』の高殿円ということで、その辺りを頼りに読んだ感じだ。

 徴収官の仕事がどんなもので、どんな風に行われているのかという点でも興味深いし、また、中で働いている人と外側にいる人との認識のギャップという点も色々と考えさせられる所もあった。この、よくわからないものに対する恐怖感、というのは多分他の分野でも通ずる話で、そういう意味では、確定申告の時期に税についてのキャンペーンをしたり、選挙前に投票を呼びかけるキャンペーンをしたりするよりも、こうして中の様子が見えるようになる、というのは非常に効果的だと思う。その点、今回のドラマ化というのは、それだけでも成功、といえるのではないかと思う。

 また、本書の場合は、この黄色い表紙と、ちょっと間の抜けたようなイラストというのも非常にマッチしていると思う。

2013年4月1日月曜日

Kindle fire HD (7インチ 16GB)

Kindle fire HD (7インチ 16GB)
2012
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 漸く日本でも発売されたキンドル。そろそろ発売か、と言われつつ何年経過したことか。反面、ハードの性能、選択肢は豊富になっているのでどちらがいいとも言えないが。とりあえず、併せて購入したアクセサリ等をメモ。使用感などはまた別途記述する。

 購入したのは、本体カバーと急速充電器。今回、画面保護用のフィルムは購入せず。

1) 本体カバーについて。
wisersオリジナルの商品を購入。(正式商品名はよくわからない):
 キンドル本体が指紋のつきにくいようになっているとはいえ、やはり傷、指紋はなるべく付けたくないということでカバーを探す。ただ、アマゾン純正の商品はやたらと高い。キンドルの売りが低価格であるのに、カバーに4千円は出したくない。そこで、サードパーティ製を探すも発売当初は数が少ない。

 基本的には読書用途に(手に持たずに)使えること、比較的低価格であること、などが条件で探すと、純正のものと同系統の、本体をはめて使うタイプのものになる。また、できればケースのフタ部分は磁石による固定ではなく、ゴムバンドのものを希望。選択肢自体が多くない。この時点ではMarwareのものもなかなか魅力的だったが、Kindle fire用のケースはあるものの、Kindle fire HD用のものはまだなく、輸入品で対応状態。流石に2、3倍の値段を付けられているのでパス(尚、現時点では普通に購入出来る模様)。結局はwisersオリジナルものを1280円で購入(今の値段は1030円と下がっている)。

 性能面としては、こちらの欲しい機能が一通り揃っている。きちんと全体を覆うタイプだし、ボタンやケーブルのための穴もあいている。ただし、ケーブルを指した状態だとゴムバンドをつけたり、外したりの作業が出来ないので、そこは多少の不便はある。また、キンドル本体を縦横どちらの方向にも立てかけて使えるように設計されているが、そこの部分、背面の円状のパーツ部分が、本体だけでもつとぶら下がったような状態になり、邪魔に感じること、また強度的にも弱点になっている点が気になる。

 いくつか気になる点はあるものの総じて、値段以上の出来だろう。本体以外の不満点としては、この商品が見つけづらいこと、Kindle本体のページから、アクセサリ、カバーと階層をおりて来てもカテゴリ欄に入っていないようなので、別途検索等で見つける必要があること。また、商品評価の星を要求するような紙(3個以下だとショップの評価が下がるとか)を商品に同梱してあった点も不満だ。折角いい商品だと思っても印象が良くなくなる。完全に蛇足だと思う。

2) 急速充電器。純正品。
 そもそもは本体と同時には購入せず。当初は、PCからUSB経由で充電。ただ、これだと全然充電がされないので、後日ビックカメラで購入。(ビックカメラのポイントは1%しかつかなかった)流石に、PCと比べると断然速い。また、キンドル以外にもスマートフォンでも使える点も地味だがいいところだと思う。これなら、初めから同梱でもいいと思う。(もちろん2台目等の人もいるだろうから付けてないんだろうけど)これはマスト。

3) 画面保護フィルム。購入せず。
 いくつか関連商品を見てみたが、キンドルのちょっと前に購入したiPadのときに懲りたのもあり、今回のキンドルは画面保護フィルム無しで行ってみることにする。いわゆるゴリラガラスというのが、どの程度のものかは分からないが、今後の参考に試してみる。で、やってみると、特に問題なく行けそう。指紋等は拭けばOKだし、特に画面の弱さみたいなものは感じず。これなら、十分だと思う。

ベンスン殺人事件

ベンスン殺人事件
S・S・ヴァン・ダイン
日暮雅通 訳
東京創元社
創元推理文庫 M-ウ-1-1 103-19 S・S・ヴァン・ダイン全集
2013年2月 初版
ISBN: 978-4-488-10319-4
C0197
405ページ
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The Benson Murder Case
by S. S. Van Dine
1926
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 ヴァン・ダインの長編第1作の新訳。既に出版されている4作目の『僧正ー』に続いて、2冊目。

 『僧正ー』が2010年4月なので、約3年ぶり。最近はエラリー・クイーンの新訳が隔月で出ているので、それと比べると余りにゆっくりだが、そこまで期待はしていないけれど、新訳が出るのは嬉しい。

 内容的には、新たに新訳となっただけあって、文章の不自然さみたいなものもなく、面白く感じるのだが、やはり『僧正ー』のときほどのすごさは感じない。どうしても、論理の不自然さというか強引さのようなものが見られてしまう。ただ、このあたりは処女作ゆえ、という面もあると思うので、(何年後になるか分からないが)次に期待したい。

 また、今回、エラリー・クイーンの『ローマ帽子ー』、『フランス白粉ー』の後に読んでみると、いかにエラリー・クイーンがヴァン・ダインを意識していたのかが、よくわかった。もちろん、話としては知っていたが、改めて読んでみると、最初の設定の部分、当時の事件を友人が代わりに書く、あるいは当人の名が偽名である、あるいは、引退してイタリアに住んでいるなどなど。

 また、今回あとがきの解説部分で、作者ヴァン・ダインについても触れられている。数年前に、ヴァン・ダイン/ライトについての評伝も出たこともあり、創元推理文庫の旧版にあった、作者についての色々な伝説についてもいくつか書かれている。400ページ超の評伝を読むのは,少々厳しいので簡単にまとまっているので結構ありがたい。