2013年9月29日日曜日

蒼穹のファフナー Adolescence

蒼穹のファフナー Adolescence
冲方丁
早川書房
ハヤカワ文庫JA JA-ウ-1-16 JA-1096
2013年2月 印刷
2013年2月 発行
ISBN: 978-4-15-031096-7
C0193
367ページ
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 「蒼穹のファフナー」のノベライズ版。アニメは未見。

 冲方丁によるノベライズということで、ちょっと期待してたが、アニメ未見のためか、期待外れだった。当然文庫1冊アニメ全編を描くことができるとは思っていないが、なぜこのあたりのエピソードを選択したのか、といった意味がピンと来なかった。また、巻末に収録されている脚本についても、前半の小説部分に登場しないキャラクターが出てきたり、これまた何が起きているのかわからなかった。

アニメを見ておくなど、必要う最低限の知識は頭に入れておくべきだった。

「やりがいのある仕事」という幻想

「やりがいのある仕事」という幻想
森博嗣
朝日新聞出版
朝日選書 402
2013年5月 第1刷発行
2013年6月 第3刷発行
ISBN: 78-4-02-273502-7
C0234
223ページ
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 森博嗣のエッセイ。

 タイトル通りズバリ、仕事についてのエッセイ。大学の教員だったから、というわけでもないだろうが、自分のやりたい仕事と適正や、理想と現実とのギャップなど、最近の就職、就労関係の問題についても書かれていた。個人的にはこういった話題も面白いが、むしろこれからの仕事、働き方がどうなるかについて書かれた章が興味深かった。実際どういう方向へ進むかはわからないが、こういう風になる可能性は高いように思う。であるならば、個人レベルでもあるいは、社会レベルでも少し真剣に考えていいかもしれないと思う。

人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか

人間はいろいろな問題についてどう考えていけば良いのか
森博嗣
新潮社
新潮新書
2013年3月 発行
ISBN: 978-4-10-610510-4
C0210
207ページ
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 森博嗣のエッセイ集。

 具体的な例を挙げつつ、抽象的とはどういうことか、また、どうすれば抽象的な考え方ができるようになるのか、などなど「抽象的」ということをテーマに色々と書かれている。具体的であることが、それだけで優れているかのような風潮のある昨今において、貴重な1冊という気もするが、全体的な内容は、ほかのエッセイ集と同じく、過去のブログやエッセイなどの内容とそれほど変わらない。その中から、抽象的というキーワ-ドでまとまた、という感じ。 ただ、時折こういった考え方に触れるのも調子を整える意味でいいと思う。

2013年9月25日水曜日

ペルソナ ~トリニティ・ソウル~ ノベル2

ペルソナ ~トリニティ・ソウル~ ノベル2
勝沢哲也
ウィーヴ
2008年11月 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-86332-074-1
C0076
244ページ
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 ペルソナ ~トリニティ・ソウル~のノベライズ第2巻(下巻)。

 この2冊のノベライズ単体で読んでもほとんど楽しめないと思う。内容は、1巻の冒頭部分を除き、アニメ本編の流れをたどっていくという形になっている。20話を超える内容を2冊にまとめている関係上、かなり忙しくなっており、ほとんど話の筋を追っているだけでほぼ終わってしまう。また、1巻冒頭の部分を予備知識なしに読んでしまうと、ストーリー上かなり重要な部分のネタバレになってしまい、この点も、初めて読む上では適さない原因となっていると思う。

 一方で、アニメ視聴済みの読者にとっても、アニメ上描かれていない点にもスポットが当たっている部分もあり、内容の補完の意味では良いのかもしれないが、やはり全体的には退屈な印象が残る。この種のノベライズは、多く小説単体で読んでも楽しめる構造になっていると思っていたが、本書の場合は、どうも筋をなぞって、中途半端になっており、イマイチ残念な出来だと思う。

ペルソナ ~トリニティ・ソウル~ ノベル1

ペルソナ ~トリニティ・ソウル~ ノベル1
勝沢哲也
ウィーヴ
2008年10月 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-86332-072-7
C0076
230ページ
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 ペルソナ ~トリニティ・ソウル~のノベライズ第1巻(上巻)。感想は2巻(下巻)とまとめて。

君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバル時代の覇者を目指す教育」の最前線から

君に、世界との戦い方を教えよう 「グローバル時代の覇者を目指す教育」の最前線から
田村耕太郎
講談社
講談社ビジネスブック
2013年3月 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-295207-1
C0036
237ページ
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 いろいろな教育の実践例を集めたケーススタディとしては、面白いと思う。それぞれ話として面白く読めるし、海外は勿論のこと、日本国内の教育についても当然知らない話はあるし、そういった話題に触れるというのも、いろいろと考えさせられる部分もあり興味深い内容だと思う。

 ただその一方で、本書の内容に賛成するかといえば、全面的に賛同するのは無理かな、という印象を受ける。教育が様々な点において重要である事には同意できるが、このレベルの、世界トップレベルの教育を必要とする人間がどの程度いるのか、また、そのためのコストはどうするのかなど、を考えていくとやはりごく一部に対して当てはまる話だと思う。また、そもそもの違和感として、世界と「戦う」という認識、前提で考えるというのも、 どうかと思ってしまう。

 たとえば、日本人が英語の使用が苦手なのにもそれはそれで理由があるだろうし、諸外国で英語で教育がなされている理由もやはりある。そういった背景事情を踏まえた上で考えていく必要があると思う。全体的に、こうあるべきだ、という部分と、今現在こうである、という部分の乖離が気になる。

2013年9月23日月曜日

毒草師 パンドラの鳥籠

毒草師 パンドラの鳥籠
高田崇史
朝日新聞出版
2012年12月 第1刷発行
ISBN: 978-4-02-251036-5
C0093
309ページ
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 毒草師シリーズ3作目。

 シリーズ既刊、あるいはQEDシリーズも含めて、今回のはかなり鮮やかだったように思う。途中途中に挿入される幻想的なシーンも無理矢理とは感じなかったし、また、話のというか作風の関係上、歴史の話になるとかなり深いところまで触れ、その分、分量としても多くなりがちだが、今回はそういったところまで含めて非常に読みやすくなっていたと思う。このシリーズのなかでは、これがここまでのベストだと思う。

邪馬台国殺人紀行 歴女学者探偵事件簿

邪馬台国殺人紀行 歴女学者探偵事件簿
鯨統一郎
実業之日本社
実業之日本社文庫 く-1-2
2013年2月 初版第1刷発行
ISBN: 978-4-408-55111-1
C0193
351ページ
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 早乙女静香をはじめとする3人組のシリーズ。中短編集。

 この3人が揃う作品としては前作『すべての美人は名探偵である』以来だが、それぞれ単独では『邪馬台国はどこですか』や『九つの殺人メルヘン』など他にもいくつかある。

 1編ずつがそれほど長くなく、また、テンポよく話が進んでいくので非常に読みやすい。なので、ややマニアックな歴史の内容も特に苦痛に感じることなく、読んでいける。

 また、ストーリーのメインに据えられている歴史の謎も興味深いが、それ以上に何の気なしに会話の端々に何でもないことのように語られる説の中にも(前方後円墳のどちらが前か、など)、かなり鋭い指摘が あり、それらを読むだけでも面白い。

 全体的に面白くてよいのだが、3編だけというのはかなり物足りない。一つ一つの話がテンポよく進むだけに、なおさら物足りなく感じてしまう。前の短編集のようにもう少し数があっても良かったのでは、と思う。

溺れる犬は棒でたたけ THANATOS Who is the Monster

溺れる犬は棒でたたけ THANATOS Who is the Monster
汀こるもの
講談社
講談社ノベルス ミI-11
2013年7月 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182874-2
C0293
244ページ
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 THANATOSシリーズ8作目。

 過去何作かの非常にドロドロとして、主要キャラクターたちでさえ精神的にも破綻しかけ、壊れていくような状況から比べると、今作は非常にまともというか、オーソドックスな感じになっているように思う(勿論、普通の作品と比べるとそれでも壊れ気味な登場人物は多い気がするけれど)。

 魚は鯉。少しくらいなら知っているけど、いろいろうんちく的な話も(これでもかというくらいに)あり、中には興味深い話もあり、アマゾンに生息するような魚に比べてなじみがあるためか、こちらはこちらで面白かった。

ムーンズエンド荘の殺人

ムーンズエンド荘の殺人
エリック・キース
森沢くみ子 訳
東京創元社
創元推理文庫 M-キ-11-1 252-03
2013年6月 初版
ISBN: 978-4-488-25203-8
C0197
302ページ
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Nine Man's Murder
by Eric Keith
2011
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 いわゆる「そして誰もいなくなった」形式の作品。特徴としては、集められたメンバー同士が知り合いで、互いにいろいろな感情を抱えていることだろうか。そして、お約束通り、徐々に人数が減っていく、というパターンをたどる。

 巻末の解説にもあるように、この種のある意味使い古されたネタをやるにしては、インパクトに欠ける、というか、パンチが弱いと感じる。それこそ、本家『そして誰もいなくなった』とか、あるいは『アリスミラー城殺人事件』の方が鮮烈だったと思う。パズル作家という情報はまさに、本作の印象と合致するかな、という感じ。ただ、こちらの方向へ進むならば、もっと緻密にするなり、ひねるなりする必要がある。

また、個人的には、クリスティの「そして誰もいなくなった」に小説版と戯曲版とで異なる結末だいう、解説記事が一番興味を引いた。

双孔堂の殺人 Double Torus

双孔堂の殺人 Double Torus
周木律
講談社
講談社ノベルス シN-02
2013年8月 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182883-4
C0293
270ページ
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 シリーズ2作目。

 いきなりの新キャラクター登場などについては、講談社ノベルス内のウェブ記事(あとがき)などに記載があるが、それでも急な感じはある。

 作風としては前作と似た構造をしている。数学的な特徴を備えた異様な建築物と、ある種の天才。死。主要なトリックとしては超常的なものではなく、あくまで常識の範囲内で解決しているといえる。そして、だからこそ、合間の過剰な説明が気になる。天才数学者という設定なのだからといえばそれまでだが、トポロジーとか、多様体の話とか、メインのストーリーとも謎解きとも関連が薄く、無理矢理のキャラ作りのように見えてしまう。全体的に装飾過多の割に地味、という印象。