2012年3月21日水曜日

シンドロームE〔下〕

シンドロームE〔下〕
フランク・ティリエ
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-テ-9-2 NV-1247
2011年11月
ISBN: 978-4-15-041247-0
C0197
341ページ
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Le Syndrome E
by Franck Thilliez
2010
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 下巻。

 早川書房にしても、東京創元社にしてもここ最近、英語圏以外の翻訳が結構力を入れているように見える。この作品は、フランス人作家の手によるものだし、他にもドイツや北欧などの翻訳物もちらほらと出版されている。英語圏(というか、特にアメリカ)のミステリ、スリラーだと、どうしても展開が似てくるというか、いかにも映画化し易そうなストーリー展開のものが多いような気がするが、たまにこういった作品を読むと、その種の予測が効かないというのが一番嬉しいところだ。

 今作についても、前半から中盤にかけての謎の提示の部分が非常に巧みだと思う。上巻と下巻の序盤ぐらいまでじっくりとなされているため、物語の世界にしっかりと入っていける。あえていうなら、以降の解決に向かう部分があっさりし過ぎているようにも感じるが、終盤まで最初の調子で行かれると、それはそれでややもたれることになりそうだし。その辺りのさじ加減は難しいが、個人的にはもう少し中盤から終盤のボリュームを増しても良かったのではと思う。

 本作のラストシーンは、次作への布石とも言える終わり方をしているが、そちらもどうやら翻訳が出るようなので、楽しみにしたい。

シンドロームE〔上〕

シンドロームE〔上〕
フランク・ティリエ
早川書房
ハヤカワ文庫NV NV-テ-9-1 NV-1246
2011年11月
ISBN: 978-4-15-041246-3
C0197
348ページ
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Le Syndrome E
by Franck Thilliez
2010
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 上巻。感想、その他下巻とまとめて。

鬼物語

鬼物語
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-26
2011年9月
ISBN: 978-4-06-283781-1
C0093
276ページ
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 『猫(白)』、『傾』、『花』、『囮』に続く物語シリーズ新章の5作目。

 タイトルと副題からは、忍が中心の物語が展開されるかと思いきや、確かに、それ自体は間違いとは言い切れないまでも、この巻で最も中心的な位置にいるのは、やはり八九寺真宵だろう。前作『囮物語』においても、どのように決着を付けるのかというのが、今後への大きな関心事として残ったが、前作がある程度解決可能な印象を受けたのに対し、今作のは、やや不可能に近いように思える。勿論、このシリーズについては、ある意味なんでもありな部分もあるが、それでもシビアだと思う。

2012年2月27日月曜日

ケモノガリ2

ケモノガリ2
東出祐一郎
小学館
ガガガ文庫 ガひ 1-4
2010年7月
ISBN: 978-4-09-451219-9
C0193
342ページ
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 シリーズ2作目。

 前作は、中2病的な妄想が絶妙なところでバランスよく上手い具合に配置された結果でき上がった作品だという印象を受けた。それとは異なり、今作は真面目に考えて小説を書いた結果という風に感じた。同じ方法ではダメだと考えてそうしたのか、それとも勝手にこちらがそう思っているだけなのかは不明だが。その意味で、今作は、前作ほど尖っているわけではないが、一方で、キャラクターの背景だとか、どんでん返しだとか、技術的な部分は巧みになっていると思う。その分、ボリュームも増している。

 前作を読んだ時、これ一作で続きは出ないだろうという作品だったが、今作を読む限り、以降の作品いついても書けそうな感じを受けた。勿論、内容的にはかなり問題作だとも思うが(正直、小学館でよく出せたと思う)。

2011年9月16日金曜日

囮物語

囮物語
西尾維新
講談社
講談社BOX ニA-25
2011年6月28日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-283776-7
C0093
283ページ
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 新章第4作目。千石撫子編。

 千石撫子というキャラクターの性格を考えたら、こういう方向というのは十分にあり得ると思うが、正直最後の方に関しては予想外だった。どういう展開であれ、この巻でキレイに解決すると思っていたので全く想定していなかった。

 『猫(黒)』までの第1シーズンがある種のパターンがあったのに対して、『猫(白)』以降の第2シーズンは必ずしも決まった形を取らないので、その分、色々バリエーションがあって前シーズンとはまた違った読み方が出来るのでこれはこれで面白いと思う。また、あとがきでちらっと次の第3シーズンにも触れている所も読む側としては嬉しい。

カンナ 出雲の顕在

カンナ 出雲の顕在
高田崇史
講談社
講談社ノベルス タS-35
2011年7月6日 第1刷発行
ISBN: 978-4-06-182785-1
C0293
254ページ
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 カンナシリーズ第8作目。

 いよいよシリーズ終盤になり、クライマックスが近づいてきた感じがする。これまで明かされなかったことが次第に明らかになり、単純に作品としての謎解きにプラスして、シリーズ全体にかかわるより大きな謎も明かされつつ作品としては非常に盛沢山になっている。また、今作は出雲行きに当たっていつもとは違うパーティを組んでいるのも少し新鮮に感じられる。

 作品としての出来に文句はないが、裏表紙の内容紹介がちょっと残念な出来になっている。こういうものは見る人の関心を引きつつも、内容のネタバレは避けるのが普通だと思うが、今回は、「残酷な運命」とか「裏切り者」とか正直やりすぎだと思う。

2011年9月12日月曜日

英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う

英国パラソル奇譚 アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う
ゲイル・キャリガー
川野靖子 訳
早川書房
ハヤカワ文庫FT FT-キ-3-1 FT-532
2011年4月10日 印刷
2011年4月15日 発行
ISBN: 978-4-15-020532-4
C0197
398ページ
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Soulless
by Gail Carriger
2009
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 アレクシア・タラボッティを主人公とするシリーズの第1作。既に日本以外の幾つかの国で翻訳が出ていたり、評判のようだ。なにより、この1作目の邦訳が4月に出版され、2作目が6月に出る辺り、早川書房も熱心にプッシュしているようだ。ただ、その力の入れ具合からするとイマイチである。

 舞台は、普通の人間とともに、吸血鬼やら人狼やらが共存する19世紀英国というパラレルワールド。そこで主人公であるアレクシア女史が事件に巻き込まれて、という割とよくある展開で始まる。こういった舞台設定や、登場するキャラクターなど色々と面白いとは思うが、作品としてみた場合、なんとも物足りない印象を受ける。

 そう感じるのはストーリーの面似よるものと思う。アレクシア女史をはじめとする物語中の会話は確かに面白いが、そこに対する比重が大きくなっており、ストーリーが動くのが終盤に近くなっている。その点、キャラクター小説としての面白さの一方、この舞台を、あるいは設定を活かした展開を期待して読むとやや期待はずれな感がある。

 幸か不幸か、早速続きも邦訳が出ているし、2作目などは、NYタイムズのベストセラーに入ったようなので、どうなっているのか読んでみたい。ついでに、Amazon.comを見ると、どうも本作の漫画版も出るらしい。